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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
冒険編
34/48

技術チート

魔王はいない。

卒業後、問題になりそうな人物は捕まった。


万能魔法戦士が必要となる“魔王討伐”と“悪人退治”は出来そうにない。


(悪人はまだいるだろうが、因縁のあるのはロドリコぐらいだったし・・・。)


だがまだ方法はある。

魔法戦士として戦えなくても、新たな技術を作り上げることは可能だ。


この世界は遺跡に自動ドアや自動照明があるが、それらは一般的に広まっていない。

科学技術が中世に少しましな程度の様だ。


その代わり、比較的楽な?食べ物(グルメ)関係は豊富である。

なんせ、ドラゴン・ハンバーガー、ドラゴンの肉のハンバーグを魔法の小麦で作った胚芽パンで挟んだものが存在する。

当然、ポテトチップや|チキンナゲット(コカトリスの肉)も存在するのだ。


(料理には詳しくなかったから問題ないけどね。)


“ライブラリー”の能力でいくつかのレシピは知っている。

だが、知っているのとやったことがあるのは大違いで、レシピを再現しようと試しても思った通りには出来なかった。


フレデリカ曰く、「謎の物体」なのだそうだ。


そこで、科学技術。

前世でやったことの無い料理はおいといて、やったことのある工作類である。

これなら、便利なものが出来るに違いない。

取り敢えず、何を作るか?


基本となる冒険者にとって役に立つものが良いだろう。


冒険者にとって重要なのは装備の他に移動手段。

もしくは輸送手段である。


移動が早ければそれだけ問題解決が早くなるだろうし、輸送が楽になればより多くの物を手に入れることが可能だろう。


よし、ここは内燃機関、エンジンを作るか、幸い設計図はある。


まず燃料。

これはアルコールでいいだろう。

比較的楽に手に入る。

蒸留してアルコール濃度を上げる必要もある可能性を考慮しなくてはならないだろう。



必要な部品の図面を描き、それを見ながら白と橙の系統の魔法を使い部品を作り上げる。

わざわざ図面を描いたのは寸法を正確に把握する為である。

内燃機関の場合、わずかなズレが問題になりやすい。


しかし、魔法は便利である。

パイプを作り場合でも通常は板を丸めて作るか、塊を引き抜いて成型するか・・・。

魔法の場合、引き抜いて成型する方法に近いが、精度はそれ以上の物が出来る。

(板を丸める方が精度の高い物が出来る。)


それは他の部品についても同じで、やはり精度の高い部品が出来る。

これは魔法技能のレベルが高い事も関係しているのかもしれない。


金属部品だけでなく、パッキンなどの部品も魔法で製作する。

何故それが可能かと言えば、魔法だからとしか言えない。


部品は完成したが、部屋で実験をするには狭すぎる。

火を使う為、周りに引火すれば大惨事だ。

庭を見ると剣の稽古をしていたり、魔法の練習をしていたり、世間話をしていたりと人が多い。

やはり家の裏庭で実験をするしかない様だ。



裏庭に部品を並べ、橙系統の魔法で組み立てる。


「よし!完成だ。」


手作業では半日仕事だが30分もかからず内燃機関が組み上がる。

燃料タンクに蒸留したアルコールを投入する。


大量のアルコールを買い込む時は飲むものと勘違いされ止められたが、実験の為と説明すると何とか数を確保できた。

飲料のアルコールは水分も多いので蒸留して水分を除去する必要があったのだ。

(解り易くする為、蒸留と書いているが実際は魔法による分離である。)


「燃料ヨシ!接続ヨシ!」


始動キーを握り


「イグニッション!!」


キーを捻ると、内燃機関内に燃料が投入され動き出す。


ドゥドゥドゥドゥ


大きめの音と共にエンジンが動き出す。


「成功だ!」


これを組み込めば自動車が出来る。

・・・と考えていると


ゴフォォオオオー!!!!!!!!


発光と共に轟音が鳴り響き家の壁に叩きつけられ気を失った。


次に目が覚めたのはベッドの上だった。


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