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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
冒険編
32/48

ミッションの完了

1週間ほど冒険者らしい活動は出来なかったが、利点が無かったわけではない。


700年ほど前の人物の記録(どうやら日記らしい)には俺と同じ境遇や似た境遇の人間、


つまり“転生者”や“転移者”が存在した。


日記の人物、“クローナ・ディルハム”は“転生者”だ。


クローナが行った数々の偉業は“転生者”の知識があれば可能なことだ。


その数々の偉業の為、世間一般には“賢者クローナ”で知られている


が、日記を読む限り同一人物とは思えない。


日記のどのページにも“ギルダー”が出てくる。


ギルダーの日々の行動が逐一書かれている。


ある意味怖い。


(ストーカー日記だね、これは。)


そして、クローナと同じ時代、同じパーティにいた人物、“ギルダー”、“フラン”、“ランド”と“レアル”。


彼らも“転生者”だ。


日記やそのほかの資料によると彼らは高校生もしくは大学生でバスの事故で死亡し、その後この世界に転生し奇跡的に再会した、と言ったところか。



この研究所にある資料は残念ながら、“クローネ”の物が多く、他の四人の資料は少ない。


それぞれの研究所に行かない限り判りそうにない。


研究所の仕事も終わったし本業の冒険者家業に戻るか、そしてゆくゆくは・・・。



「ヴィン?もう帰るの?」


フレデリカは今までソニアとティータイムだったようだ。


多少は手伝ってくれたからいいようなものの、いや、ほとんどティータイムだったような気がする。



「今日はお父さんやおじさん達がミッションから帰って来るのでしょ?

 早く帰ろう。」


俺の父、コンラート・ジンネマン、叔父のラルフ、母のカティア、フレデリカの父のリック、母のドーラ、でパーティを組んでいる。


学園を卒業する三ヵ月ほど前からそのミッションに出かけている。


そのミッションをようやく完了して帰って来るのだ。



「しかし、ミッションはどんな内容だったんだろうな?」


「ん?“王命ミッション”とか言ってなかったっけ?」


“王命ミッション”はその名前の通り、国王から直接下されるミッションだ。


その難易度はかなり高い。


「王命ミッションか・・・俺もいつかそんなミッションを受けられるようになりたいものだ。」


「いつかなれるよ!きっと!」


俺とフレデリカは仲良く帰路についた。



家に戻るといつもより豪華な食事の用意がなされていた。


「おー、ヴィン、帰って来たか。」


どうやらミッション達成の祝宴会が行われるようだ。


宴会は俺の家族とフレデリカの家族と一緒に行われた。


「ではミッションの達成を祝ってカンパーイ!」


「「「「「乾杯!!」」」」」



「でさ。ミッションてどんな内容だった?」


とフレデリカがミッションについて聞いている。


「秘密事項ってなかったか?」


「いや、もうミッションは達成したし、そのうち王宮から発表があるだろうから大丈夫だ。」


「発表?という事はそれだけ重要な事か・・・領主か何かの陰謀か?」


「ほう、ヴィン。いい線をいっているな。」


父さんに感心されたが、ロドリコの奴の悪行を知っていればその答えにたどり着くのは必然と言える。


(いつか、ロドリコ達を・・・)


「いやー。領民を使っての不法行為での調査だったんだよ。」


「まぁ、そのおかげで粛清することが出来たのだけどな、“ロドリゲス伯爵”を。」


い?今、ロドリゲス伯爵って言ったよね?


「ふむ。調査によるとロドリゲス伯爵は一族揃っての極悪人ともいえる連中だった。

 主のダリオは領内の村々から若い娘を無理やりさらいその関係者の前で凌辱させる変態だった。


長男のエルナンは盗賊集団を秘密裏に組織し領地付近の村々を襲っている。

それも生存者は赤子一人残さないほどの虐殺行為を働いていた。


次男のロドリコは魔獣や不定形生物(スライム)などで領民を襲わせて楽しんでいる様な奴だった。


そろいも揃ってどうしようもない連中だ。」


「で、ロドリゲス伯爵達はどうなったの?」


「抵抗する連中は全て切り捨てた。

伯爵とその家族は拘束して王都へ護送、今頃、極刑・・・だろうな。」


・・・・・。


「どうした?ヴィン?いきなり黙って。」


「いや、父さんはすごいなって、ははははは。」


「何々、爺さんの方がもっとすごいさ。

 なんせ最後(・・)の魔王を倒した勇者様だからな。」


それからの宴会の内容はよく覚えていない。


その時、俺の頭の中には“最後の魔王”と言う言葉だけが繰り返されていた。


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