遺跡の資料
「依頼書の遺跡部分は完了を確認しました。
後は周辺の調査ですね。
この調査は明日からでしょうか?」
ギルドの受付のエレルミアが尋ねてくる。
職員になって1、2年のはずだが実に堂々としたものである。
「そうですね。周辺調査は明日からにして・・・
実は遺跡の中にあった物を知りたくて・・・。」
「それは調査に必要なものなのでしょうか?」
「え、ええ、え。ひょっとしたらですが・・・。」
エレルミアは少し考えると
「判りました。
あの遺跡の出土品は調査中ですので担当者に直接会って尋ねてみてください。」
どうやら担当者との交渉で見せてくれるようだ。
「よかったね、ヴィン。でも何で出土品に興味があるの?」
フレデリカの疑問はもっともだ。
俺もあの遺跡を見るまでは興味はなかった。
だが、自動で点灯する照明、人工物で出来た壁や階段。
それらは遠い、今では記録となった記憶にある物と似ていた。
だから気になった。
エレルミアから教えられた担当者の部屋へ行くと正に遺跡の出土品について議論されている最中だった。
「だがら!ここに“クローナ”の名前があるでしょ!
あの遺跡は“クローナ”の住居い跡なのよ。」
“クローナ・ディルハム”、700年ぐらい前の人物で賢者と言われている。
「まてまて。でもその後に“ギルダー”の名前が出てくる。
名前が出てくるのであれば彼の住居であることも考えられる。」
“ギルダー・ラッツ”、“クローナ”と同じ時代の人物。聖騎士。
彼と“クローナ”ほか3人の5人のパーティで様々な偉業を成し遂げている。
「はぁん?“ギルダー”なんかにあの住居が作れるわけないでしょ。」
「あ゛!!“ギルダー”が“クローナ”に作らせたかもしれねえだろうがっ!」
「&#%&“‘!!!」(ちょっと人前では言えない言葉)
「$%&#“!!!」(非常に下品な相手を嘲る言葉)
何やら凄い罵り合いが始まっている。
フレデリカと二人しばらく眺めていると
「「そうだ!他の人に意見を聞いてみましょう!(みよう!」」
「「君たち!これについてどう思う!!」」
罵り合っていた二人は出土品らしい冊子を俺たちに近づけた。
「・・・え?これなんて書いてあるの?ヴィン判る?」
「・・・・・」
「うむ。やはり古代文字は難しいか。」
「そうね。
通常でも二種類か三種類。物によっては更に多くの言語で書かれている上に
それらが複雑に絡み合っているからね。」
「あ、申し遅れた。
僕は遺跡出土品の管理をしている“マグナス・A・プレイス”。
あそこの“クローナ”贔屓が“ソニア・I・キュリー”。」
「自分だって“ギルダー”贔屓のくせにぃー。」
はたから見たら似た者通しである。
(複数の言語が複雑に絡み合う文章か・・・しかしこれは。)
遺跡からの出土品の冊子には“日本語”で文章がつづられていた。
内容から察するに日記らしい。
「・・・7月5日、クローナ記す。今日、ギルダーがやって来た。
彼曰く、通貨の単位が間違っているらしい。
金貨はGCで良いのだが、その下の銀貨はSS、銅貨はCP(カッパ―・ペニー)だそうだ。
通貨なんてその内単位が変わるだろうから気にしないでおこう。・・・なんじゃこりゃ?」
と、内容を思わず声に出して読んでみると
「「!!読めるのか!!」」
「え、ええまぁ。多少は。」
「凄いよ!」「凄いは!」
「「これで文章の解析が捗る!!」」
「いや、俺には遺跡の調査が・・・」
「「大丈夫、大丈夫。別の人を代理にするから。」」
「フ、フレデリカも何か言ってやってくれ。」
「あら、お嬢ちゃんはフレデリカって言うの?
あちらに王都から取り寄せたお菓子や紅茶があるわよ。」
「いただきます。」
「うらぎりものぉ~。」
ズルズル
それから一週間ほど遺跡の資料室に缶詰の状態となった。




