依頼書
たった1匹のゴブリン退治で5SPというのも破格だが一つ上のDランク依頼もゴブリン退治しかない。
5SPと聞くと貨幣価値がわからないのでピンと来ないかもしれないが、SPとは”シルバー・ペニー”と言われる銀貨のことである。
その一つ上がGC(ゴールド・クラウン、金貨)一つ下がCS(カッパー・シリング、銅貨)である。
他にもAG(アダマス・ギニー、金剛貨)とかがあるのだが見たことはない。
で、銀貨1枚で食事付きの普通の宿屋に泊まることができる。
ゴブリン事態、危険な生物ではない。
ほおっておくとの作物に深刻な被害が出たり、鶏や子牛に被害が出る。
過去には”ゴブリンは繁殖のために女性を連れ去る”といわれたことがあったが、それは完全なデマである。
粗末な武器(錆びた銅剣など)しか持っていないう上に力も子供並みである為、冒険者が後れを取る生物ではないのだ。
依頼書のゴブリン1匹の討伐にしては破格なことが判ってもらえただろうか。
とりあえず、“ゴブリン退治1匹以上“の依頼を受けることにした。
依頼書によるとゴブリンを退治した場合、その耳を持って来れば良いそうだ。
ギルドの受付に受ける依頼書を渡すと微妙な顔をされたが何なのだろうか?
ゴブリンと言えば森。
そのために森へ来てかれこれ3時間は過ぎた。
だが、1匹のゴブリンも見つけることが出来ない。
橙系統魔法の生命探索で探すが、ゴブリンらしい反応は無かった。
おかしい。
今日はここまでとし、俺たちは情報収集のために村に戻ることにした。
情報を得るには年長者から聞くのが一番だろうと家にいた爺ちゃんに聞いてみる。
すると、爺ちゃん曰く
“討伐報酬が高いのはゴブリンがほとんどいないからじゃ。”
その上、
元々、この村でのゴブリン討伐報酬は他の町や村より格段に高かった。
その為、ここ数年でゴブリンの乱獲が進み今では見かけることが極めて少なくなったのだ。
この事はこの村の冒険者には常識と言えることであり、受付の微妙な顔はそういう意味だった。
少しがっくりしていると
「うむ。まあ、気を落とすことはない。初心者が一度は通る道じゃ。
これからは事前の情報収集は忘れんようにな。」
「あと、受付に聞けば適正ランクの依頼を紹介してくれるぞ。」
次の日、ギルドの受付に依頼は無いか聞いてみる。
「丁度、遺跡の調査の依頼があります。
難易度も低いためEランクの依頼となります。」
「で、報酬は?」
「調査項目のすべての達成で2SPです。」
依頼書の調査項目を確認すると多岐にわたっており、これを一人で行う場合、2,3日はかかる量である。
限りなくいめんどくさい作業だが、その分危険は低いのだろう。
「遺跡かぁ・・・。」
面倒な作業が多いこともあってフレデリカはあまり乗り気ではない様だ。
「他に良い依頼はないし、これにしよう。」
他に適当な依頼は無いらしく、この依頼を受けることにした。
幸運な事?にゴブリン退治の依頼は期限が無いようだ。
依頼失敗にならないようで一安心と言ったところか。
遺跡は近くの森の奥、村から2時間ほどの距離にある。
森の奥とは言え遺跡までの道は整備されており危険な魔獣が出る心配はない。
ただし、今回の調査は遺跡までも道の調査も含まれている為、1時間ほど余分にかかった。
遺跡の入り口には冒険者ギルドが扉を取り付けており鍵がかかっている。
これも遺跡が盗賊のアジトになることを防ぐなのだ。
鍵は魔法でも保護されている為、盗賊では開けることは出来ない様になっている。
「鍵に異常はないね。開けて中に入るよ。」
フレデリカにそう言うと鍵を開けて遺跡の中に入る。
遺跡に一歩踏み入れる。
すると、それに呼応するかのように天井に明かりが灯る。
何百年も経っているのにまだ機能している。
遺跡は三層からなっており、最下層から順番に部屋を点検してゆく。
「しかし、見事に何もないね。」
「中身は全部ギルドに移されたみたいよ。
なんでも研究の為だとか言ってた気がする。」
それは良いことを聞いた。
遺跡の調査報告のついでに聞けば中身について見せてくれるかもしれない。
そう考えた俺は早々と遺跡の調査を終え帰路につくのだった。




