ロドリコと第三戦
ロドリコを更に悪役にしました。
「まったく忌々しい!」
ロドリコは部屋で一人になるとそう言い放った。
二人部屋を一人で使っているらしく、明日の対抗戦の準備だろうか?
ベットの一方にはロドリコの武具が置かれていた。
その武具は魔法の灯りと窓からの月明かり照らされている。
窓からは学園外周にある森が見え、森の途中にティアマト寮が見えていた。
ロドリコは栄光あるファフニール寮の代表である自分がここまで苦戦することになるとは思ってもいなかった。
かれの苦労の原因?となったティアマト寮は他の寮からはみ出された者や身分の低い者、身内に重犯罪者がいる者、つまり社会の底辺(ロドリコの中では)である。
底辺の人間が高貴な自分を苦戦させること自体が罪なのであると考えていた。
「思い起こせばあのヴィンフリート!
万年Lv1の役立たずであったはず。それがいつの間にか中級呪文を使うようになっている。」
「奴め。イカサマを使ったに違いない!でなければこんな短期間にレベルが上がるものか!!」
確かにロドリコの言う通り、ユニークスキルである、“EXP追加補正”のおかげで極短期間のレベルアップが出来た。
だが、そのスキルを活用できるまでの長い間ヴィンフリートが並々ならぬ苦労をしたのは事実である。
それが一気に開花しただけの事なのだが、ロドリコの頭の中にはそんな考えが浮かぶ事は無かった。
「思えば入学当初から胡散臭い奴だと思っていた・・・。」
ロドリコはヴィンフリートの入学当初、“魔法戦士”という事で手下に加えようと見に行ったことがある。
その時、彼の目に映ったのは、レベル1の魔法戦士だった。
“魔法戦士”よりも上げ辛い“魔法騎士”
その“魔法騎士”のクラスも学園の三年間でレベル20に達している。
レベル10を20にするための経験値はレベル1を10にする経験値よりも10倍以上必要である。
通常の訓練ではそこまで上昇しない。
ロドリコの取った方法は褒められたものではない。
スキルを上げるために必要な経験値は相手がいた方がより多く習得できる。
その為、ロドリコは自分に逆らわない、逆らうことのできない者に対してスキルを行使し大量の経験値を得ていたのだ。
ロドリコの実家は伯爵家である。
彼らの多くはその伯爵家の領地からこの学園に入った者だったのだ。
逆らえば実家の家族に害が及ぶ(実際そうなった者もいた)
彼らはじっと耐えるしかなかったのだ。
だが、当のロドリコにとって“高貴な自分の為に役に立つのは当然の事である。”と考えていた。
従って、自分の役に立たないどころか邪魔になるヴィンフリートは身の程知らずの憎むべき相手である。
「ヴィンフリート!明日は目にもの見せてくれる。首を洗って待っていろ!」
ロドリコは燃え滾るような憎しみの目で窓から小さく見えるティアマト寮を睨むのであった。
「・・・ロドリコのやつ、こっちを睨んでいるよ。」
「ヴィンはん、なんかしたんちゃいますか?」
「えええええ?なんで俺が?」
「最初から出し惜しみなしの全開の様ね」
ロドリコは闘技場へ着くなりこちらを睨みつけていた。
この対抗戦、いやこの戦いに対し今までにない気合の入れ方をしている事が見て取れた。
パメラの言う通り、最初から全開で来るだろう。
(はたして、俺の解呪がロドリコに通いじるか・・・。)
解呪の呪文は使った者のレベルよりも対象のレベルが高い場合、効果を発揮しないことがある。
ヴィンフリートは睨みつけるロドリコに対して一抹の不安を覚えている様だ。
「対抗戦、第三戦、ティアマト寮対ファフニール寮。試合開始!!」
ロドリコ達は開始の掛け声と同時に身体強化の呪文を使いこちらの息の根を止めようと接近してくる。
「ディスペル!」
前衛として突出した三人に解呪を試みる。
三人の内二人の加護が外れる。
加護の外れた二人にカーティスの矢とフリッツの剣、そしてパメラの拳が唸る。
相手はニ、三合打ち合うとすぐに離れていった。
打ち合っていればカーティスの弓による狙撃の的になっていたのだが、流石に実力者集団だけあって隙が無い。
離れる相手を追撃しようとフリッツ、パメラの両名は前に出るがその前に火焔壁が立ちはだかる。
ロドリコの赤色系統魔法である。的確に張られた呪文は両名を威嚇する。
「一旦下がるぞ!」
対抗戦はまだ始まったばかりである。




