五対五戦 第1戦 後編
第1戦を 前編、後編にとしました。
一部、表現も変えています。
「何とか間に合った・・・」
試合会場入口では他のフリッツ、アルフレート、カーティスの三人が俺とパメラの到着を待っていた。
「その顔、どうやら何かつかめたようだな。」
「ほな、いこか。作戦はわいとパメラの旦那の二人での電撃作戦やな。」
「オレ、強い子、用意。」
アルフレートは角熊の”プーさん”(命名:パメラ)を連れている。
角熊は名前の通り、一本の角が生えた熊の魔物で力強く皮膚も固く頑丈だ。
「いや、今回は俺以外の全員で行ってくれ。それと、“プーさん”は今回出さないで行こう。」
「おいおい、それじゃ“ベヒモス”の突撃はどうするんだ?」
「そやな、“リバイアサン”の連中も障壁を張っとったけど簡単に飛ばされたんやで?」
「うん、うん」
三人とも反対している。
「心配ない、任せろ。その為の対策は十分だ。」
と言うが、三人は納得していない様だ。
「それは私が保証するわ。」
「・・・パメラがそう言うなら大丈夫なのか・・・。」
「ま、失敗してもワイが怪我するわけやないしな。」
「うん、うん」
パメラがそう宣言すると、三人は納得したようだ。
フリッツが全員を集めて
「よし、作戦の最終確認をする。」
「最初にヴィンが加速の呪文を使用する。
効果を受けると同時に左右から相手の陣を目指す。
ヴィンは続いて中央部に対して減速を使いの減速エリアを構築する。
更に、ええと?」
「“障壁の呪文を使い相手の突撃を遅らせる。”だ」
「で、その遅らせた間に相手の陣にある寮旗を倒す。
以上だ。」
「“ベヒモス”の突撃を遅らせるのに角熊を使う必要が無いのは今後有利になるわね。」
パメラの言う通り、防御力の高い角熊を温存するのは“ティアマト”にとっても悪いことではない。
今回の代表は攻撃力は結構高い(一番高いのはパメラ)が防御力の高い者(一番高いのはフリッツ)が少ない。
五対五戦後半になると防御力の差が勝敗を分けるのが多くなる。
「“ティアマト”さん入場を開始してください。」
係員の合図でアリーナへ入場する。
俺たちが入場すると一際大きな歓声が上がる。
アリーナは立ち見が出るほど観客が集まっているようだ。
(上から見るのと景色が違うな。)
一挙手一投足が注目されている気がする。
「見て、“ベヒモス”が入場してきたわよ。」
ドッとさらに大きな歓声が上がる。
やはり五対五戦の有力候補だけはある。
双方がアリーナに登場し所定の位置に着く。
審判の合図と共に対抗戦が開始された。
“ベヒモス”は思った通り密集隊形を取り、槍を構えての突撃体勢だ。
俺は予定通り加速の呪文を使い全員の行動速度を上げる。
加速された四人は左右に別れ相手本陣を目指す。
俺は行動の邪魔にならない範囲で中央部に減速の呪文を使う。
“ベヒモス”は突撃の効果を最大級にあげる為、こちらの本陣までまっすぐ突き進んでくる。
突撃はかなり速度の速い攻撃なのだが、減速エリアを構築したのでまだこちらへ到着していない。
俺は続いて障壁の呪文を唱える。
だがその呪文は“ベヒモス”の進行に対して斜めに構成された。
俺が“リバイアサン”と“ファフニール”との試合で疑問に思ったのは、“リバイアサン”が攻撃に対して正面から障壁を使っている事である。
確かに突撃を受け止めた。
だが次の瞬間、突撃の威力に耐えられなかった“リバイアサン”の術者ごと吹き飛ばされたのだ。
たとえ受け止めることが出来ても支える力が必要なのだ。
力の低い魔法使い系が突進を受けると吹き飛ばされるのは無理もないことだったのだ。
その対策として、相手の攻撃を逸らす目的で石壁を斜めに展開する。
展開し終わったと同時に“ベヒモス”連中が突撃してきた。
“ベヒモス”の突撃を防ぐだけならば障壁の呪文でも良いのだが、半透明の壁を作り出す為その裏も見えてしまう。
見せたくない裏の部分が相手に見える。
その為、石壁の呪文を使用した。
その形状は“リバイアサン”が使っていたような板状ではない。
断面が台形になるように形状変化させ一部を地面に埋めている。
その上、中には鉄の棒を網目状に配置しているのだ。
つまり、鉄筋コンクリートの擁壁を出現させているのだ。
鉄筋コンクリートとなった石壁は容易に破壊されることはない上、台形の形状を変化させたことで後退させることを困難にしている。
ガガガガガガガガガ
斜めになったことで“ベヒモス”の槍の穂先は石壁によって流され寮旗の方向から大きく外れる。
そして俺は“ベヒモス”に対し減速の呪文を使用した。
「ぐぁ!また減速とは!」
呪文の影響で、方向転換の動きが緩慢になる。
ただでさえ重装備の“ベヒモス”の連中からすると致命的な時間の損失となる。
「勝者、ティアマト!!」
“ベヒモス”の連中が方向転換を終えたと同時に試合終了が告げられた。
本陣に向かった四人が相手の寮旗を落としたのだ。
俺は戻ってきた四人、パメラ、フリッツ、カーティス、アルベルトとがっちり握手を交わすのだった。




