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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
学園篇
14/48

勝って兜の何とやら

「ティアマト寮の勝利を祝して!」

「「「かんぱーい!!」」」

俺たちはここ数日浮かれていた。


目標探索戦の競技が終わって、75ポイント(同着だったので1位と2位の点数の平均点となった)も入った事が浮かれている原因だ。

始まるまでは、0ポイントのお先真っ暗な事情も加味すれば無理もないと思う。


それまで普通に宴会に参加していたパメラだった。

だが、この日は違った。


グワダッーン!!!


テーブルの縁を持ってひっくり返した。

所謂ちゃぶ台返しだ。


「うわ!」

「なんや?なんや?!」

「!」

「パメラ君これは・・・」


「なに浮かれているのよ!本番はこれからよ!!」


「「「「!!!!」」」」


そうなのである。

この次に待ち受けているのは、各寮の対抗戦の本戦ともいえる“五対五戦”

チーム戦なのである。


このチーム戦は各寮総当たりで行い、勝率の良い寮から順位が付ける。

同率だった場合、同率チーム同士の戦いで勝っていた方の順位が高くなる。

引き分けであった場合、どちらかが勝つまでの無制限回数の再試合となる。


過去には同率引き分けのチーム同士の試合が1週間にも及んだことがあった。


次から始まるのはそんな試合なのだ。


「いい?一日二日は勝利に酔いしれるのもいいわよ。

でも、私たちの目的は何?

相手を出し抜く事?それとも勝つこと?


違うでしょう!


私たちは、この対抗戦で優勝する!!


その為に集まったはずよ!!」


パメラが勝利に浮かれている俺達に檄を飛ばす。


「そうだな。そうだったな。明日から気を入れ直して頑張るよ。」

フリッツも浮かれていたことを猛省している様だった。


「すまんな、せわかける。ワイも少しはしゃぎすぎたわ。明日から気を付けるわ。」

「気を付ける。反省。明日頑張る。」


他の二人も同じ様に反省している。

俺も

「そうだな、今日はここを片付けて明日から・・・・」


「・・・今日からよ。(怒)」


どうも地雷を踏んだようだ。


「ヴィンは鑑定(アナライズ)加速(ヘイスト)減速(スロー)を30人分!」

「はい!」

「カーティスとアルフレートは対戦相手の情報収集!」

「「はい!!」」

「フリッツは作戦立案と戦略の再確認!」

「Yes!Sir!」



数時間後、俺はヘトヘトになりながらなんとかノルマをこなした。

他の連中も同じ様だ。


「多少ポイントが入ったからと言って浮かれすぎなのよ。」

フレデリカが辛辣な言葉を投げかけてくる。

と同時に

「はい。ハルトホール乳のアックスビークの卵割。」


ハルトホールとはこの世界の牛の様な生き物で滋養強壮に優れた乳が取れる。

アックスビークは頭が斧の様になったダチョウぐらいの大きさの鳥で大変危険な種なのだが、その卵は疲労回復の効果がある。

そしてどちらも大変美味な食材(高級ではないが高い部類)である。


「ありがとう。」

俺は礼を言い受け取ると一気に飲み干す。

少し甘いがサラリとしたその液体は溜まっていた疲労が一気に回復しスッキリする。

ある種のポーションのような効果だ。

多分、乳と卵以外に各種ハーブも入れているのだろう。


「で?どこまでできそうなの?」

飲み終えた俺にフレデリカは訓練の出来をたずねてくる。


「そうだな。95%と言ったところだなぁ。

あと少しなんだけど、流石になかなか上がらない。」


すでに鑑定(アナライズ)での経験値は基本1ポイントしか入らないが、“EXP追加補正”のおかげでまだ経験値を得られている。


(“EXP追加補正”はレベルがもうじき100か・・・。)


この時俺は“EXP追加補正”のレベルが100を超える意味をきちんと把握していなかった。


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