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万色無双の役立たず  作者: 士口 十介
学園篇
13/48

You Can FLY!

学園の東側に位置するその名もイースト大聖堂。

三つの尖塔を持つ寺院であり、中央に位置する尖塔の上部に来ていた。


「あったぞ!こっちへ来てくれ。」

尖塔にある鐘の中を調べていたフリッツが大声で叫んだ。

パメラが探索目標の書かれた封書を取り出す。


“お告げを知らせるモノの舌に私はいる”


「この封書をリバイアサンがとっていたら厳しい戦いになっていた所ね。」

鐘を鳴らすための“舌”に括りつけられた護符を取り外す。


尖塔からは学園に繋がる大通りが見える。

「ここから飛べたらショートカットできるな。」

俺は何気なくそう呟いた。


「・・・そうね。ヴィンは確か障壁(シールド)の他に落下遅延(スローフォール)も使えたわよね?」

パメラはそう言うと、アルフレートに

「グレータースワンはどれだけの物が運べる?」


アルフレートは少し考えた後

「短い時間なら一人。」


「決まりやな。」

カーティスが賛同する。


「すまないな。ヴィン。シールドが使えるのがお前しかいないのだ。」

フリッツがすまなさそうな顔で言う。


「ちょっと見て。ゆっくり議論している暇はなさそうよ。」

パメラが指さす方向を見ると、リバイアサンの連中が呪文を詠唱しながら移動している。

時々、轟音が聞こえる事を考えると爆発系の呪文の威力で前に進んでいる様だ。


「と言う訳で頼んだわよ。ピーターパンの様にね。」

ガチャリと音がすると上空で羽ばたきが聞こえる。


「骨は拾うてやるからしっかりしいな。」


トン


「え?わっわわわわわ、わが肉体を守りたまえ!!障壁(シールド)!」

何とか障壁(シールド)の呪文を唱える。

だが大通りが近づくと何人かの人が歩いている。

このままだと衝突してしまう。


「うおおおおおおお!どいて!どいて!どいて!」

俺は声を上げながら、大通りへとダイブした。


ズガガガガガガガ!!!


派手に転がりながら着地する。

着地の時に多少の打ち身や擦り傷を負ったが今はそれを治している余裕はない。

自分に加速(ヘイスト)を唱える。


「前列、障壁展開!!」

後ろの方で呪文の詠唱が聞こえる。


ガラガラガラガラ


地面を割りながらすごい勢いで迫ってくる連中がいる。

リバイアサンの連中だ!

やはり爆発系の呪文、(ファイアーボール?)の反動を利用して加速している。

その上、肉体強化(フィジカルエンハンス)で基本速度を上昇させている様だ。


無色魔法の加速(ヘイスト)が使える分、こちらが優位に思えるが、リバイアサンの寮は優れた魔術師が多い。

的確に障壁呪文を使い爆発系の呪文を防ぎつつその反動を利用する。

肉体強化(フィジカルエンハンス)を使うのは基本速度を上昇させるだけではなく衝撃のダメージを少なくするために使用している。


俺とリバイアサンの連中は全くの五分と言っていい速度でゴールである競技会本部を目指す。


バーン!!


勢いよく競技会本部にたどり着いたのは

リバイアサンとほぼ同着だった。


「!!同着だ!!」

「ティアマトとリバイアサンが同着だ!!」


続いて、ヨルムンガルド、ベヒモス、フェンリル、ファフニールの順番だった。



「何だと!どういうことだ!!」

ロドリコの大声が響く。


「・・・うるさいわね。ちょっと黙ってよ。」

ロレーナが眉間にしわを寄せながら答える。


「何という事だ。我が寮が!!!何という屈辱だ。」

全身鎧の人物、ファフニール寮のアンセル・マコーミックが不満を漏らす。


「おいおい、しっかりしてくれよ。

ま、俺たちは最悪ま免れたから問題はないがね。」


どうやら手を組んだ四寮が険悪な雰囲気になっている。



事の流れをの起こりは第二戦、“目標探索”が始まる一日前、ティアマト寮の談話室から始まる。

そこでは二人の男が密談していた。


「啓示(デビネーション)は具体的に示さないと答えを得られない欠点があるわ。

今回の場合、内容までは知りえないわよ。

答えも断片的な物だったり簡単な物だったりするから。」

「ほなら、もうひと手、謀を巡らそうか。」

「あまりやりすぎるとフリッツが良い顔しないわよ。」

「その辺はフリッツはんには見つからん様にせなあかんな。」

「で、どうするの?」

「確か封書を引く順番は最下位からやったな。そんなら、わいに引くのを任してくれ。」




(人間ちゅうもんは、視線にいろいろ現れるんや。)

カーティスはロレーナが入って来た時、その視線を観察していた。


(ロレーナはんは探索物の封書が並べられた時、右端の封書を真っ先に見て確認している様やった。

次に左から二番目の封書をみとった。

その時、ワイがクスリと笑ったんで目を逸らしたんや。

しばらくすると何か誘導出来ると考えたんか、最後の方は真ん中封筒を見続けてとった。)


そこまでやったらワイには丸分かりやった。

アルフレートに合図して騒ぎを起こさせた。


その一瞬の隙に真ん中の封書と右端の封書をすり替えた。


騒ぎが落ち着いた後、堂々と真ん中の封書を手にしたんや。

そして、ヨルムンガルドの横を通る時に「左から二番目にするか迷った。」と言っておいたら、ヴィルマはんはちゃんと取ってくれた。


全員が封書を手に入れた時点でクリヤーしやすい封書を持っているのはワイところとヨルムンガルドとなったんや。


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