教唆扇動
どうやら、提訴に行った時にロドリコや他の寮の代表者連中もいたのだそうだ。
「・・・と言う訳で俺たちの寮は啓示の制限を要求するで。」
競技会本部に着くなりカーティスはそう宣言した。
「ふむ。だが、啓示はスキルである以上使用可能にすべきだと思うが?」
フェンリル寮の代表者、アルゴス・アダマンティンがそう反論する。
赤髪で目つきの鋭い男であるが
「ですが、次の競技は探索が主のはずです。前もって探索に関することを手に入れるのは競技として問題があるのでは?」
「我らとしてはそれを含めての競技だと認識しているわね。」
リバイアサンのロレーナ・ベロギ、高レベルの青色系統の魔術師。
ダークブロンドのショートウェーブ、狙ったような扇情的な服装。
啓示を使っているのもこの人物だろう。
「前もって探すものが判っていんやったら、その場所に行くだけの駆けっこなってしまうんとちゃいますか?」
カーティスがそう反論すると、ロドリコは
「ならば、ここで決を取ればよいでは無いか。
各代表もそろっていることだしな。」
そう言うと俺達の後ろに視線を向けた。
見るとそこにはヨルムンガルド代表、ヴィルマ・カンドリンがいた。
アッシュブロンドのロングヘヤーの彼女はこの学園では中堅どころの僧侶だが、その人望はここに居る各寮の代表でも断トツで一番である。
また、僧侶らしい清爽な服装はロレーナの隊教区にあると言ってもいいだろう。
「重要な会議があるとのことで来ましたが・・・?」
どうやら、今日提訴することも啓示で分かっていたみたいだ。
(でも、啓示で受けたのは提訴の日だけだった様ね)
「各寮の代表が揃っていることだし、この件について速やかに決を採ろうでは無いか。」
「俺達フェンリルとしても問題はない。」
「右に同じ」
「同じだ。」
「よし、ならば決を採ろうでは無いか。」
ロドリコが議長気取りで話を進める。
フェンリルやリバイアサン、ハフニールが啓示制限に反対を表明するする。
ベヒーモスの番になった時、パメラが突然ヴィルマに対して
「ごめんなさいね。何とか啓示を制限できないかと頑張ったんだけど、そうでもしないと勝てない腰抜けのベヒ・・・おっと何でもないわ。」
「なんだと?」
ロドリコが声を荒げながらこちらを睨んできた。
「そやな。そうでせんとワイらに勝てん程の腰抜けやからしゃあないな。」
カーティスがロドリコに対し鼻で笑うかのような態度で煽る。
「貴様ら、言わせておけば!!!」
ロドリコは腰抜け(・・・)と言われるのを異常に嫌う。
「でも事実でしょう。そうしないと勝てない腰抜けなのだから。」
「そやそや、ほんまに腰抜けやなぁ。」
パメラとカーティスが更に煽りだした。
「・・・いいだろう。」
怒りが限界まで達したのかロドリコは低い声で
「啓示制限に賛成してやる。」
「とまぁ、こんな感じでロドリコをあおって賛成させたのよ。」
「おいおい、そんなことをして大丈夫なのか?」
フリッツが心配そうに尋ねる。
「大丈夫よ。ロドリコ自身、大勢の前で我々を叩き潰したいと思っているでしょうけどね。」
「逆にそれ故に闇討ちされることはないという事か。」
「そう言う事よ。」
パメラはウインクしながら答える。
「でも結局、目標についてはどうなるんだ?」
俺は啓示の対策をどうやるのかが判らなかった。
「あ、それはやな、学園長がやってくれるそやで。」
「学園長が?」
「あの人自身、結構な呪文の使い手やから、啓示妨害もお手のもんや。」
「後は時間との勝負か。」
「啓示の詠唱時間は1時間。まずリバイアサンの目標を調べて、次がベヒモス、ハフニール、フェンリルの順番でしょうね。」
「時間は2時間以内。出来れば1時間以内ってとこか。」
とフリッツは短い時間での探索になると言った。
「その場合、俺、仲間、空、探す。」
アルフレートは空からの探索を行う予定の様だ。
「俺は効果時間を延長させた加速をいっぱい使う事になるか・・・。」
「時間延長はどのぐらいになる?」
「効果時間を1時間にした場合、加速の効果は1.5倍ってとこだね。」
通常、加速は10分ぐらいの時間、動ける速度を2倍から3倍にする。
俺はまだ無色のレベルが低いため2倍だが高レベルになると3倍近くになるらしい。
「よし、加速は効果1時間のものを使おう。ヴィンいいか?」
「判った。」
「アルフレートにはそれからの誘導や探索をお願いしよう。」
アルフレートは黙ってうなずく。
「カーティスは鷹の目と疾走で行動。」
「まかせてんか。」
「パメラは・・・。」
「肉体強化による敏捷力の向上と疾走ね。」
「よし、ではこの方針で行くぞ!」
「「「「おー!!」」」」
方針は決まった。
現状、次の対抗戦で点数が取れないと優勝は出来ない。
俺たちは更なる準備や訓練に励むのだった。




