第8話 学園潜入 その5
私は、怪人ヒョウヘンダーに変身した川崎君と対峙した。
「川崎君、これ以上、対話をしても無駄のようね」
「俺は川崎彗星ではない。怪人ヒョウヘンダーだ」
と、ヒョウヘンダーは言いながら、バッ、と跳躍して、
「死ねッ」
と、私に飛びかかり、強い力で押し倒す。
「いや、止めて、川崎君」
「黙れ、おとなしくしろ」
「あっ、い、痛い、あぁ」
ヒョウヘンダーの腕力は強力で、
「もう止めて、川崎君」
私は抵抗したが、
「お前は力は、その程度か。俺は他の怪人とは強さが違うぞ、強さが」
抑え込まれて、首筋に噛みつかれた。
ガリ、ガリガリッ。
鋭い牙が、首筋に突き刺さる。
「あっ、ああぁっ」
このままでは私は殺されてしまう。しかし、まだ、死ぬわけにはいかない。その時だ。
ウイィィーン。
起動音が鳴り、
ガシャン、ガシャン、ガシャン。
と、世界最速のバイク・フェアリーが、全自動で人型のロボットへと変形した。
「これが、戦闘形態のフェアリーなの?」
私も、この変形は初めて見る。
動き出した戦闘形態のフェアリーは、私からヒョウヘンダーを引きはがし、高々と抱え上げた。
「な、なんだ、こいつは!」
驚くヒョウヘンダーを、
ドゴオン。
床に叩きつける。さらにジャンプして、
バヂゴオォーン!
フェアリーが、ボディアタックを炸裂させると、
「うぎゃあぁぁ」
圧殺されたヒョウヘンダーが、一瞬、川崎彗星の姿に戻り、
「た、助けてくれ、カオリちゃん」
と、苦痛に顔を歪めて言葉を漏らす。その直後、
バゴオオォォォーン!
大爆発して、川崎君の身体は飛び散った。
この後、警察署襲撃に加わった鷲ノ羽学園の生徒は全員逮捕される。事後の裁判では生徒たちへの洗脳は立証されず、全員が少年院に収監される結果となった。
「鷲ノ羽学園の生徒は、なぜ非合法薬物に手を出してしまったのでしょうか?」
私の問いに、庵納博士は、
「心の弱さに付け込まれたのだ。これが極悪秘密結社の手口なのだろう。だが、そんな心の弱さに対しても、自己責任を課す現代社会も冷酷だな」
と、何だか悲しい表情で答えた。




