次なる決意をしてみる
「ぱちり」
目が覚めた。
おはようございます。お昼寝から目覚めた私こそがブラックナップドラゴン。
…正直スッキリしたとは言えない。
なんか頭が重いし、ずしっとした何かが身体にのしかかっているような、意味もなくモヤモヤしているような感覚がずっと続いてる。
でもだからっていつまでもね、どんよりしてても仕方がないのでね。私のキャラでもないのでね。
そろそろ起き上りますよっと。
はい、むくり。
身体を起こすとノロちゃんと目が合った。
私はなんかおっきくなったりしてたけど、ノロちゃんはまだ小さいままだ。私もまた小さくなってるから目線はピッタリである。
「おはようノロちゃん」
「…おはよう…ござい、ます。ご気分…は…どうですか…伴侶様…」
「あまりよくない!」
「…それは…たいへん…です…もう少し…休まれて、は…」
「おきる!」
「…は、い…」
適当に着替えて身だしなみをちょいちょいする。
髪ぼさぼさで外に出たりしたらいろんな人に怒られるからね。なんでかは分からない。
あのめったに怒らないと私の中で評判のアザレアでさえ怒る。
「あーそういえばアザレアとせーさん…」
寝る前になんとなく人肌が恋しくてとても恥ずかしいことをした気がする。
いやでもほら…私くらいの「くろどら」になるとさ?たまにさ?そんな日があるときもあるわけですよ。
そんな時に私がべたべたできるのってさ、あの二人くらいしかいないので…くもたろうたちはお友達だけど、同時に私が守らなくちゃいけない子たちだからさ…だからこれは不可抗力である。
でも忙しいところを邪魔してしまった気がするのであとで謝っておかなくては。
デキるドラゴンはこういうところもデキるのでね。
「よしっ…準備完了!」
「…どこかに…いかれる…のです、か」
言われて思ったけど別に予定はない。
強いて言えばせーさんに色々報告をしないといけないっただけ。
それもぶっちゃけ私より適任がいるだろう。
ヴィオさんとか、くもたろうくんとか。
ただ…何の目的もないわけではない。
「ノロちゃん。一つ聞きたいんだけど」
「なんで、しょう…」
「あの時さ、赤い髪の子…いたよね?」
あえてどの時とは言わなかった。
それだけでノロちゃんにはたぶん伝わるだろうから。
「は、い…」
そして予想通りノロちゃんの答えは肯定だった。
あの時────私がニョロちゃんとマリちゃんの亡骸を見つけた時。あの二人を助けたのは…私じゃない。
自分に何が起こったのかは分からないけど、私は無意識に二人に対して何かをしたんだと思う。
その証拠に絶好調に高まっていた私の中の力がきれいさっぱりと無くなってしまってるから。
それまでのように不調とまではなってないけど、確かに私は何かの用途で力を使ったんだ。
たぶん…二人を助けようとしたんだろう。
でもできなかった。
そして私の代わりに…あの赤い女の子が助けてくれた。
見たわけじゃないけど、何故かそう確信している。
だから私は…。
「ノロちゃん。あの子にどうすれば会える?」
「…時が来れば…いつか…」
「それじゃダメな気がするの。こっちから会いに行かないと」
「…それならば…方法は…ひと、つ…です」
「だよね」
辿り着きたい場所があるのなら、それがどれだけ遠回りだとしても歩かなくては始まらない。
そう母が言っていた。
私は今まで手を抜いていたわけじゃ断じてない。
でも…それでもどこか他人事のように思っていた部分は確かにある。
でも…もうそうも言ってられない。
あの子は…間違いなく私に関係がある。その子が私を「お姉ちゃん」とよぶのは伊達や酔狂じゃない。
きっと意味がある。
私はそれを知りたい。
「せーさんもあの子を探してるって言ってた。そして対抗するために色々準備が必要だって」
ならそれがきっと…私にとっての歩くということになると思う。
これまでは受動的だったけど、こっからは積極的だい。
「だからやっぱりひとまずせーさんのところに行こう。次に何をすればいいのか考えを聞きたい」
「それ、が…よろしいかと…思います…」
よし!そうとなればいざでっぱつ!
「…伴侶様」
「ん?どうしたの?」
急にノロちゃんに呼び止められた。
ノロちゃんはなんどか唇を開け閉めするという行動を続け…そして10秒ほどの時間をかけてから。
「…私は…何があろうとも…どうなろうとも…あなた様と共に…おります…」
そう言った。
────────────
せーさんはまだ黒神領にいるということで善は急げと屋敷の中を練り歩く。
途中でなぜかアザレアの匂いがする血だまりみたいなのがあったけれど、この量の出血を人間がしたとすれば間違いなく死んでいるだろうからおそらく勘違いだろう。
もしかして気が付いていないだけで、やっぱり不調なのかもしれない。
それは置いておいてせーさんが黒神領にいる時に使っている「しつむしちゅ」に到着。
私は礼儀オブマナードラゴンなのでちゃんとノックをする。余りに礼儀正しいので10回くらいしちゃう。
「せーさーんーはーいーるーよー!」
ドアを開けていざ侵入!そして中に入るとそこにはなんと…!
「…」
ぐったりとしているヴィオさん!
「…」
顔を抑えて机に突っ伏しているせーさん!
「んー…せっかくぅデザインしたんだしぃ、やっぱりソードを言いくるめてぇ…ヒップをもう少し盛って大きく…」
紙とにらめっこしながらぶつぶつ言ってるエクリプスちゃん!
そこにやってくる私!まさに混沌!!
…いや、部屋の中にはもう一人いた。
「よー!ちっこいの!さっきまで一人で暗い顔してがなんかスッキリしてるじゃんか!そうそうチビはそう言う顔してる方がらしいぜ?だーっはっはっはっは!」
そうだった。ちょっと気分が沈んでるドラゴンだったので忘れてた。
この人は私たちが金神領から連れて帰ってきたもう一人…厳密にはずっといたんだけど、いない感じになっていた人。
緑色の髪をした細身でスラっとしてて身長の高いお姉さん。
そう、この人は…ヴィオさんがずっと死骸として連れていた先代の【緑】さんだ。




