結成してみる
はろーえぶりわん。あたしメア!どこにでもいる普通のブラックドラゴンだお☆
ある日ひょんなことから友達の救出のために母によく似た怪物の口の中に突入してしまい大騒ぎ☆
はにゃ~☆これからどうなっちゃうのー!?
それじゃあそんなわけで…オープニング、はっじまるよぉ~!
「…さてと、どうしましょうかね」
ニョロちゃんを追って死縛獣の中に入ったのはいいけれど、明らかに変だ。
口から入って喉を通って胃袋にぽちゃん。
そうなると思っていたのだけど、私がたどり着いたのは真っ暗な謎空間。
上を見ても下を見ても暗いし、どこを見渡しても暗い。なんか黒い霧が薄っすらと立ち込めていてそれ以外何も見えないのに、自分の姿だけがはっきりと見えていてよくわからない。
ただ少なくとも胃袋の中ではなさそう?
確かに死縛獣は大きかったけれど、それにしたって広すぎる。
いや見えてないから広い気がするってだけだけども…。
「…ん?でもなんだか見覚えがある気もするなぁここ」
食べるのは好きだけど、食べられた経験はない。
なのになんだかここに来たことがあるような気がする?…まぁ気のせいか!
そんなことよりニョロちゃんを探さないと。
「おーい!ニョロちゃーん!どこだーい!」
叫んでみても当然返事はない。
こういう時はじっとしている方がいいみたいな話は聞くけれど、私は今回探す側なのでそうもいかない。
なのでいざニョロちゃん捜索の旅へ。
「にょーろーちゃーん!」
声がどこまでも遠くに流れて行って返ってこない。
やっぱりこの場所はものすごく広いみたいだ。
これはもしニョロちゃんも移動しているとしたら探すのに相当な時間がかかってしまいそうだ。
でもまぁ諦めなければ何とかなるでしょう。
諦めなければ夢は必ず叶う──とはならないかもしれないけれど、夢をかなえた人はみんな諦めなかった人なのだと母が言っていた。
例え何時間、何日何年かかろうともニョロちゃんを見つけ出して見せるぜー!うぉおおおおおお!!
そして10秒後。
「────」
「あらニョロちゃん」
出会えましたとさ。
ただ人型じゃなくて、見慣れた小さな蛇さんの見た目だけど。
「どうしてそっちに戻ってるのん?」
「────」
「うんうん」
「────」
「ほほうほう」
「────」
「なるほどね」
「────」
大体わかった。
何もわからないという事がね。
ニョロちゃんとは100年以上の付き合いだけど、それでここまで意思疎通をとれないのはある意味で凄い事なのではないでしょうか。
いやもちろんだけど、ニョロちゃんがどういう感情を持っているかとかは分かるのよ?喜んでいるだとか、怒っているだとか悲しんでいるだとか。
でも細かな会話となると当然こうなってしまうわけで…。
これに関してはくもたろうくんのほうがおかしいのだ。うん。
ただとりあえず今のニョロちゃんが困惑しているというか、怒っているというかな感じになっていることは分かる。
何でかは分からない。
まさか追ってこられるとは思ってなかった…とかでしょうかね。
「とりあえず帰ろうか」
ニョロちゃんを掴んで首元にぶら下げ…装備する。
次は脱出方法を探さないとだけど…。
「────!」
「ぐえっ」
ニョロちゃんが首に巻き付いて締めてきた。
そこまで力は籠ってないから苦しくはないけれども。
「なになにどうしたの」
「────」
「んー…もしかしてまだ帰りたくないの?」
「────(こくり)」
どうもまだ帰りたくないらしい。
やっぱりニョロちゃんは意図して食べられてからここにやって来たっぽい。
…もしかしなくてもマリちゃんの事でしょう。たぶん。
「もしかしてここにマリちゃんもいるの?」
「────?」
「あぁえっと…金龍さんのこと」
「(こくり)」
やっぱり。
なんでか分からないけど、なんとなくマリちゃんもいる気がしたんだよね。
死縛獣と戦った理由にマリちゃんを元に戻すって言うのもあったし、なにか手掛かりでも見つかるかもしれないよね。
ということでマリちゃん捜索隊を結成した。
果たしてこの場所は何なのか。
マリちゃんはどうなっているのか。
死縛獣とはなんなのか…。
それらの謎の解明するために、死縛獣の体内の奥地へと我々は足を運ぶのだった。
1分後。
「あ、マリちゃんいた」
「────」
さっきよりはもったな。うん。
闇の中で座り込む金髪の女の子。
背を向けてはいるけれど、マリちゃんで間違いない。
「おーい、マリちゃーん」
声をかけるとゆっくりとマリちゃんが振り返って────
「おおぅ…」
「───」
振り返ったマリちゃんの顔が無かった。
ぽっかりちょうど目がある場所から口があるであろう部分までぽっかりと穴が開いている。
こわいです。
私が拾い食いをしようとしていたところを見つけたせーさん位怖い。
「う、うあぁ…う、ぁぁ…ガグ、ギギギギ…あぁああああああああああ」
顔のないマリちゃんがフラフラとしながら立ち上がり、襲い掛かってきた。
「さまそぅ!」
咄嗟にサマーソルトキックで反撃して顎を蹴りぬき、倒してしまったけれど大丈夫だろうか。
「マリちゃん大丈夫…?」
「────」
ピクリとも動かないマリちゃんをしばらく見守っていると、闇の中に溶けるようにして消えてしまった。
「…え、もしかしてヤバいかな…?やっちゃった…?」
「────」
心配して焦りまくリングしていたけれど、すぐにそれはただの杞憂になってしまった。
「「「「あぁあああああああああ」」」」
周囲の闇の中から無数に顔のないマリちゃんがはい出してきたのだ。
怖すぎる。
もしここに母がいたのならきっと大爆笑していたことだろう。
ホラーで爆笑するタイプだったらしいのでね。
ただ私は当然そんな奇特な精神構造はしていないのであらたいへん。
恐怖のあまりお腹が空いたのでひとまず懐の干し肉を齧るのでしたとさ。




