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月影を倒してフラッシュモブ!  作者: 五月 萌
桜歌とガウカが歩く世界
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番外編2 桜歌とガウカの冒険譚3

「少し情報を整理しましょう」


ネニュファールが周りを見渡す。


「お主が仕切るな!」

「ネニュファール、桜歌を見張って置かなかったのか?」


太陽は今にも爆発しそうな声を押し殺すように言った。


「ロ、いえ、陛下との練習の合間の仮眠の時に、「お兄ちゃん、桜歌、寂しいよ」と申されてました。そのうちに走って中庭の世界樹の球体に入って、すぐにおそらくジムノペディを弾こうとしたのです。それが、その、なんていうか、彼女は未熟な腕でして……。というのも球体には弾かれるとその間は他の人が入ることはできないシステムなのです」


就寝の時間に起き出した桜歌は日本に帰ろうと思い、中庭の世界樹のワープゾーンから、おそらくはジムノペディを弾いた。そして、それはあまりにもお粗末な演奏だったのでどこかわからない所にワープしたということだ。


「僕が眠っている間に起きたんだ。申し訳ない……。ネニュファールは普段から僕のバイオリンを見てるから、球体に映った桜歌さんの手腕を見抜いたということだろう」


ローリはポーカーフェイスで呟いた。


「ロ、いや陛下は何も悪くありません。罰するならわたくしを」

「先程ニーベルングの指輪で観たが、10分前のの記憶だと、薄暗い場所で誰かに捕まっているようだった。1時間前の記憶だと船に乗せられ、エーアイロボットのフェルニカ兵に捕まったという事がわかった。居るのは奴隷船のようだ。女王だと勘違いされているので痛い目にはあってない」

「よし! そうと決まれば話は早い、助けに行こう」


太陽は船にいる桜歌を助けに行く決意をして、勇ましく手を上げた。


「なぜ助ける必要があるのじゃ?」

「……ガーさん、桜歌さんに代わって楽しい時間を過ごしたようだが、成長してないね。ガーさんは城で待ってなさい」

「ロー君、怒らないでほしいのじゃ、冗談じゃよ」

「笑えない冗談は置いておいて、その場所まで願い石で行けるか?」

「場所の特定が難しいから、できそうにない。一応あるに越したことないと、持ってきてはいるよ」


ローリの言葉に焦燥に駆られる太陽。


「じゃあ、どうやっても無理なのか」

「ガーさんの水龍の力なら行けなくもないのだけど……」


皆の視線がガウカに集中する。


「わしが送り届けてやっても良いぞ、また桜歌と入れ替われなくなるのは申し分なく嫌なのじゃ」


ガウカはここぞとばかりに鼻息を荒くする。


「ありがとう、それにしてもいつも一言多いね」

「ごほん! さてすぐに向かうのじゃろう?」

「それではテイアに向かおう、ウォレスト。太陽君は日本に行けるように弾かなくていいからね」


ローリは赤みの帯びたバイオリンを出した。


「「ウォレスト」」


ネニュファールとガウカも武楽器であるニッケルハルパとコントラバスを具現化させた。


「グリーンスリーブスだよ? 準備はいいかい? せーの!」


ローリの声が耳に貫通して、ガウカはコントラバスの弦と弓を擦らせる。

3人の演奏はプロ並みで間違えたら目立つ。

ガウカは赤子を抱いてあやしているような感覚になる。

ゆったりとした時間が流れた。その演奏はとても美しかった。琴線に触れるには秒速だ。

演奏が止むと木の4人は赤い濁流の中に入り込んでいた。


「パース」


ローリの箱が足場となり、全員はきれいに着地することができた。

4人はテイアについた。ここでは岩山が目立つ。

相変わらずの温暖な気候だ。


「願い石で海辺まで飛ぶ、それからはガーさんの腕の見せ所だよ」

「お任せなのじゃ」


ガウカの水龍は大きく、その姿は青空に翻っていた。

ガウカの背中は海を一望できるロケーションだった。

ウミネコの半月がチロチロとこちらを眺めている。


「どうする戦うか?」

「ここは逃げるが勝ちですわ」

「戦う必要はない。ガーさん、最大限の力で翔んでくれたまえ。皆はガーさんによく捕まっておきたまえ!」


ガウカは素早さを上げて、ウミネコの威嚇を無視する。そして、ただまっすぐ翔んでいった。


「見つけた」


水平線を流れる船だ。

ガウカはヘビのようにうねった後、船に着陸した。

(おそらく桜歌が居るに違いない)


四角い頭の四角い人間型のロボットがうじゃうじゃいた。


「さ、武楽器の使い所だ」

「ここまで翔んでこれたゆえにわしは見物で良いようじゃの?」


ガウカは滲んでいる汗を拭いた。


「ガウカは空から来る月影に気をつけて!」

「お任せなのじゃ」


ガウカは座って戦況を見守っていた。

海に放り込まれるロボットをじっと見ていた。


ウミネコの月影がやってきたが、旋回して逃げていった。


「ほう、頭のいい月影じゃな」と関心した。



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