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一家全員、処刑確定!? 悪役令嬢の妹のはずでした   作者: うり北 うりこ@ざまされコミカライズ開始


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危険のある自由と保護という名の檻②〜アリウムside〜


「……もう一度言ってみろ。殺してやる」


 護身用に持ち歩いている短刀を抜く。


「ミルベラだから、婚約した」


 本当なら、俺だって閉じ込めてしまいたい。

 けれど、そんなことをしたら、もう信頼してはもらえない。笑顔を向けられることもない。


 俺がどれほどの理性を動員して、気持ちを抑えていると……。


「ルミアス、はき違えるな」


 短刀をルミアスの首にあてる。

 引きさえすれば、そこから大量の血が流れるだろう。


「お前はラットゥース公爵家の養子でしかない。代わりなど、いくらでもいる」


 いつでも俺はお前を殺せる。


「……知ってますよ。そんなこと」


 ルミアスは笑みを浮かべ、短刀の刃を握る。

 その手からは血が流れ、ソファーへと落ちていく。


「あーぁ。僕が殿下に傷付けられたと知ったら、ベル姉様はどう思いますかね?」

「言えばいい。問題はない」


 問い詰められるだろうが、それで崩れるような関係は作っていない…………はずだ。


「…………面白くないなぁ」


 ぼそりと呟くと、ルミアスは短刀から手を離す。

 そして、ポケットから白いハンカチを取り出し、傷口にあてた。

 ハンカチは、みるみる赤く染まっていくが、ルミアスは痛がる素振りすら見せない。


「大切なら、きちんとしまっておかないと。そのうち誰かにとられちゃいますよ?」

「しまおうとして、逃げられたやつもいるけどな」


 そう言いながら、短刀をしまう。


「へぇ。それは、さぞかし残念だったでしょうね」


 わずかに視線は鋭くなったが、表情は崩さない……か。

 まぁ、いい。今回会ったのは釘を刺すためだ。


「ミルベラのために、懸命に働けよ? 不要にならないようにな」


 エリーカがもうすぐ帝国へ立つ。

 そうなると、ルミアスの動きを抑制するものが減るな……。

 ルミアスの監視を増やすか。

 公爵への注意喚起はどうするかな。


 ローテーブルにのっているベルを鳴らす。


「ラットゥース公爵子息が帰るそうだ」


 部屋へと入ってきた従者のうちの一人に指示を出し、ルミアスに微笑む。


「最近、ミルベラはお前に微笑んだか?」

「…………」


 動向が散大した……ということは図星か。

 馬鹿だな。

 自由を奪えば、そうなることくらい予想がついただろ。


「依存させればいいんですよ」


 すれ違う瞬間、ルミアスはそう呟くと部屋を出ていった。


「狂人め……」


 だが、その気持ちが分かってしまう。

 それは、俺の願いでもある。


「似た者同士ってことか……」


 違いは、育った環境と背負うもの。

 そこが俺とルミアスの差だろう。



 ***



 ルミアスを帰らせ、俺は商人のレナールと取引に入る。

 ルミアスのした取引内容も悪くない。ラットゥース公爵家なら、ここが限界だろう。

 だが、まだ改善できるな。


「──なるほど。だが、そうなるとここの領地へ流通されない」

「そこに行くには、ぐるっと迂回しなければなりません。途中に通るこの領地の通行料が高すぎます。それに、この先の橋は数年前の大雨で流されています」


 レナールは地図を指を差しながら話す。


「橋は直ったはずだが?」

「いつですか!?」

「半年ほど前だな。あと通行料だが……」


 目配せすれば、従者はすぐさま小さな木箱を開き、ローテーブルへと置く。


「これは!?」

「いつもよく働いてくれてるからね」


 王家直属に命を受け、行商を行う証であるカードにレナールは目を見開く。


「もちろん強制はしないよ」


 受け取るも受け取らぬも、レナール次第。


 このカードを持てば、通行料の免除や新事業を行う時の支援など、数多くの恩恵を受けれる。

 その代わり、王家からの依頼を最優先しなければならない。

 だが、得難いものもある。


 それは、王家に信頼されているという証。


 商売は信頼だ。それがなければ、どんなに良い品でも適正価格で売買することはできない。


「…………あ、ありがとうございます」


 レナールは震える手でカードを受け取ると、頭を深く下げ、最敬礼をした。


「これからも期待しているよ」


 きっとレナールはこれをうまく使うだろう。

 決して大きな商会ではなく、設立してまだ浅い。

 急成長したレナールの商会を面白くないと感じている奴らも、これで黙るはずだ。


 邪魔をできなくさせるには、力を与えるのが一番だからな。


 さぁ、ここ数年、目をかけてきたんだ。

 投資した分、きっちり返してもらおうか。


「それと、ウィリブ商会が後援として名乗り出てくれた。どうする?」

「ウィリブ商会ですか!?」


 国で一二を争う大商会にレナールは目を剥いた。

 まぁ、そういう反応になるだろうな。と思っていれば、従者が咳払いをする。


「も、申し訳ございません。ウィリブ商会って、あのウィリブ商会ですよね?」

「そうだ。悪い話ではないと思うが、どうする?」

「…………何が条件でしょうか」


 さすが、よく分かっているな。

 俺はにこりと笑みを浮かべると、カードに視線を移す。


「ウィリブ商会ですら、そのカードは持っていない」


 レナールは背筋を伸ばし、顔を引きつらせた。


 潰せないのなら、取り込んでしまえばいい。

 きっとウィリブ商会はそう考えている。


 だが、そのくらい上手くやれるよな?

 がっかりさせないでくれよ。

新作短編

「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します

を公開しました。


「お前を愛することはない」と結婚初夜に言われ、旦那がいなくなった瞬間に膝から崩れ落ちて笑い転げるヒロイン爆誕です。

よろしければ、そちらもお願いします。

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