第三十五章: 全てのものが大地に触れる.
突然、夢が変わった。
私は、もはや尖塔にはいなかった。密林にもいなかった。オイクーメンのどこにも、いなかった。
私は、自分の仕事場に戻っていた。
数え切れない締め切りを通して、手首が休まっていた、あの擦り切れた縁。
完成した単行本の隣に積まれた、参考書。灯りの静かな唸り。インクの匂い。
私は、白紙の原稿用紙の前に座っていた。Gペンは、自然に指の間に収まっている。
なぜ、ここにいるのか、疑問には思わなかった。夢は、決して許可を求めない。
私は、ただ、描いた。
一つのコマ。
二つの人影。
一人は、石の壁に向かって立っていた。
もう一人は、その反対側に、同じ壁に背を向けて立っていた。どちらも、互いを見ることはできない。
ただ、壁だけ。
ただ、自分自身だけ。
その構図は……**重要**に感じられた。
劇的ではない。
**正確**。
読者が一度は流し見するだろう、あの種類のコマ。
そして、何年も後になって、思い出すだろう。
最後の線を描き終えた。
それから、ページの向こうを見た。仕事場の窓は、ある街を見下ろしていた。
**東京。**
少なくとも……
それが、私の予想だった。何かが、おかしかった。建物の向こうの山々は、日本のものではなかった。光は、東京のものではなかった。
地平線は、異なる曲がり方をしていた。
私は、立った。
窓に向かって歩いた。
街は、ぼやけた。建物は、谷へと溶けた。通りは、川になった。山々は、残った。
どういうわけか……
私は、それらを**知っていた**。見たことがあるからではない。
なぜなら……
私は、それらを**描いていた**。
奇妙な確信が、私を覆った。私が創り出してきた世界は、決して本当に**発明**ではなかった。ただの**翻訳**だった。私が理解する言語で語られた物語。
手の下の漫画のページが、波打った。
石の壁は、土になった。
土は、線になった。
線は、両方の人物の下に広がった。コマの下で、見えないまま。それらを**繋いで**。どちらも、それを知らないけれど。
夢は、溶けた。
目が覚めた。人形は、私の脇で温かい。水晶の天井は、その静かな光を保っていた。私は、長い間、そこに横たわっていた。夢は、まだ鮮明だった。それが何を意味するのか、わからなかった。何かを意味するのかどうかさえ、わからなかった。
しかし、それは、あまりに**明確**だった。あまりに**意図的**だった。その構図。その重み。ページが彼らの間の空間を保っていた、その仕方。
目を閉じた。コマは、まだそこにあった。解釈しようとはしなかった。ただ、それを意識の中に置いた。密林が、**わからないこと**と共に座ることを教えてくれたように。
ある問いは、追いかけると、より小さくなる。ある問いは、より大きくなる。
この問いは、ただ待った。
私は、再び眠った。
---
朝は、いつものように訪れた。光が水晶を通して移ろい、尖塔は、そのゆっくりとした、忍耐強い呼吸をしている。私は、コマがまだ心に鮮明なまま、目を覚ました。二つの人影。それらの間の壁。それらがほとんど触れ合う、その空間。
私は、しばらくそこに横たわっていた。人形は、私の脇で温かい。その夢の何かが、重要に感じられた。緊急ではない。恐ろしくもない。**重要**。残響が、それらが何であるかを理解する前に、感じられたように。
素早く服を着た。魔道書を脇に抱えて。
妖精王を書斎で見つけた。壁には、夜明けの領域の景色が映し出されている。柔らかな琥珀色と深い紫色。ありえない空を漂う雲。私が入ると、彼は向きを変えた。その星屑の瞳は、既に私の顔を読んでいた。
私は、夢を説明した。コマ。二つの人影。それらの間の壁。どちらにも見えないものを見ることができる、その感覚。壁が土になり、線になり、振動になった、その仕方。
彼は、静かに聞いた。私が話し終えると、彼は、しばらく動かずにいた。
**「土の精は、お前に何かを託した」**
脈拍が、速まった。**「残響視のように?」**
彼は、かすかに微笑んだ。**「関連している」**
**「それは、私に何を残したのですか?」**
答える代わりに、彼は尋ねた。**「壁の下には、何があった?」**
**「土」**
**「そして、土の下には?」**
私は、眉をひそめた。**「わかりません」**
彼は、一度うなずいた。**「私にも、わからない」**
それから、彼は窓に戻った。
教えは、終わった。
あるいは……
それは、**始まった**。
---
訓練場は、私たちが到着した時、静かだった。戦士は、もうそこにいた。肩を伸ばし、練習刀は壁にもたれかけている。私たちが入ると、彼は顔を上げた。その視線は、私から妖精王へと動いた。
**「彼女が、聞くのを手伝え」** 妖精王が言った。
戦士の眉が、ひそめられた。**「何を聞くんだ?」**
妖精王は、床を指さした。
それから、去った。
ケイレンは、私を見た。
私は、彼を見た。
どちらも、理解していなかった。
**「彼の言う通りにしろ」**
私は、ひざまずいた。
掌を石に当てた。
冷たい。
滑らか。
沈黙。
何もない。
再び。
何もない。
再び。
何もない。
数分が、過ぎた。
おそらく、もっと。
その時……
**何か**。
音ではない。
**重み**。
小さな脈動。
**一歩。**
**間。**
**一歩。**
**間。**
目が開いた。
ケイレンが、歩いていた。
**「感じた」**
彼は、止まった。
**「何も聞こえなかった」**
**「いいえ」**
**「感じたのか」**
私は、再び掌を石に押し付けた。足音が戻った。それぞれが、耳に届く前に、地面を通して運ばれた。
再び。
再び。
再び。
やがて……
私は、足音を聞くのを止めた。
その代わりに……
私は、聞き始めた……
**距離**。
耳ではなく。
**手**で。
大地は、沈黙していなかった。
決して、そうではなかった。
全ての一歩。
全ての根。
全ての流れ。
それに触れる全てのものが、最も小さな会話を残していた。
ケイレンが、柱の背後を歩いた。
**「どこにいるか、わかる」**
**「見たんだろ」**
**「見てない」**
彼は、方向を変えた。
私は、目を開けずに、従った。
左。
右。
近く。
遠く。
地面が、教えてくれた。
戦士は、ゆっくりとうなずいた。
**「それが、最初の教えだ」** 彼は言った。**「大地は、それに触れる全てのものを運ぶ。ただ、それが何を言っているのか、読むことを学べばいい」**
私は、まだ地面に押し付けたままの掌を見下ろした。
土の精は、私に何かを残していた。
---
何時間もが、過ぎた。
訓練は、変わった。
刀もなく。
インクもなく。
ただ、**聞くこと**だけ。
やがて、私たちのどちらも予期しなかったことが、起こった。
大地は……
**開いた**。
物理的には、ではない。
**理解**において。
一つの、不可能な心臓の鼓動の間……
全てが、**繋がった**。
木々の下に伸びる根。
見えない石を通って動く水。
トンネルを横切る小さな動物。
苔に触れる、落ち葉。
記憶よりも古い岩を通って旅する、ケイレンの足の重み。
何も、単独では存在しなかった。
全てが、何かに寄りかかっていた。全てが、どこかに属していた。
その時……
はるか下。
はるか彼方。
**何か、巨大なもの**。
**眠っている**。
**古代の**。
動かない。
待っている。
繋がりが、消えた。
私は、手を引き離した。
呼吸は、乱れていた。
ケイレンは、凝視した。
**「何が起こった?」**
**「私は……」**
答えられなかった。
ほとんど理解していないことを、どう説明すればいいのか?
---
妖精王は、書斎で待っていた。
私が感じたことを説明した。大地が、一瞬、開き、その下の繋がりを見せた、その仕方。小さな動物たち。根。水。さらに下で眠る何か。
彼は、聞いた。それから、うなずいた。
私が話し終えると、彼は、長い間、黙っていた。
ついに、彼は部屋を横切り、そっと手を石の壁に当てた。
**「ほとんどの者は、大地が重みだけを運ぶと信じている。それは、**関係性**を運ぶ」**
**「それは、決して沈黙していなかった」** 彼の指は、石の上に置かれたまま。
私は、自分の手を見下ろした。
夢が、戻った。
**壁**。
**二つの人影**。
互いを見ていない。
しかし、両方とも、**同じ大地**の上に立っている。
**「芸術家は」** 私は、呟いた。
**「……ページ全体を見る」**
妖精王が、私を見た。
**「登場人物たちは……」**
**「……自分のコマだけを見る」**
彼は、微笑んだ。
今度は……
**完全に**。
**「お前は、理解し始めている」**
私は、最後にもう一度、掌を床に押し付けた。
非常に優しく。
探すのではなく。
**聞く**。
一つの心臓の鼓動の間……
私は、それを再び感じた。
**眠っている存在**。
王国よりも古い。
歴史よりも古い。
あまりに広大で、大地でさえ、その周りで呼吸しているように見える。
その時……
**何もない**。
**「あれは、何でしたか?」**
彼を知って以来、初めて……
妖精王の表情が、変わった。
好奇心ではない。
承認でもない。
**懸念**。
彼は、遠い地平線を見つめた。
その声は、ほとんどささやきだった。
**「……答えるべきではなかった何かが」** 彼は、私に向き直った。その星屑の瞳は、かつて見たことのない重みを宿していた。**「お前は、まだ聞かれる準備のできていないものを、聞き始めている。気をつけろ、エルスベス。大地は、誰にでも語りかけるわけではない」**
**「あるものは、世界がそれらを忘れることを選んだから、眠っている」**
部屋は、沈黙した。
私の手の下で……
大地は、語り続けていた。
私は、ただ、それを聞くことを学んだだけだった。
エルスベスは、元素から二つの力を手に入れた...
次に彼女は何をするのか?
次回、同じ時間に、同じ場所で。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。




