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 リンクコネクトには様々なボスキャラクターがいるが、今いる森のようなオープンエリアに出現するボスはエリアボスと呼ばれている。

 エリアボスには2種類いて、よく戦われるのはエリアの最奥のボスフィールドと呼ばれる場所で一定時間ごとに出現するボスだ。

 エリアボスは、そのエリアのモンスターを一人で相手取れるようなプレイヤーが、複数人集まって倒すことを想定されている。

 そのため本来は入念な準備をして、パーティを組んでボスに挑むのが普通だ。

 

 しかし、そう都合よくいかない相手もいる。

 それがもう一種類のエリアボス、徘徊型と呼ばれるエリア内にランダムで出現するボスだ。

 出現場所が固定されているボスと持っている能力は変わらないが、不意に遭遇するためしっかりとした準備ができず、プレイヤーはなすすべもなく倒されてしまうといった事が多い。


 目の前にいる人食い花も徘徊型のエリアボスだろう。

 本来なら、ただでさえ適正とは言いづらい場所で戦闘を行っているクラスメイト達は、ここで全滅しているところだ。

 格上狩りができるプレイヤーが何人かいるとはいえ、いきなりエリアボスと戦って勝ち目はない。


 とはいえ。

 あくまで複数人でしっかり準備をしなければ戦えないというのは、そのエリアで戦うのが適しているプレイヤーを想定している。

 もっと難易度の高いエリアやダンジョンで戦っていた俺にとっては、いくらエリアボスといえどこんな序盤に出現するモンスターは敵じゃない。


 「俺は人を守って戦うのには向いてないから、皆ちょっと下がってて」


 後ろにいるクラスメイトと、お尻を痛そうに抑えている雨森にここから離れるよう声をかける。

 おそらくろくにスキルを持っていない彼らでは、流れ弾が一撃当たるだけでも死んでしまうだろう。

 その言葉に頷き、立ち上がった雨森が周りのクラスメイトの手を引いて俺から距離を取る。

 それを見届けるのと同時に、人食い花の蔓が木から抜け新たな獲物である俺へと放たれた。


 「フィジカルブースト」

 

 身体強化スキルを使い攻撃を避け、強化された腕で放たれた蔓を思いっきり引っ張る。

 自分の身長の2倍以上ある相手だが、俺の腕力に耐えられず人食い花はぐらりとその体制を崩した。

 その隙に更に力を込め、蔓を胴体から引きちぎる。

 人食い花は緑色の体液を撒き散らしながら、苦悶の叫びを漏らした。


 「ソードエンハンス」


 敵が苦しんでるうちに使い慣れた愛剣を引き抜き、剣の能力値を一時的に引き上げるスキルを発動する。

 これで準備は整った。

 相手が体制を整える前に一気にケリをつけてしまおう。


 「瞬身!」

 

 さっき雨森達とエリアボスの間に割って入るときにも使った加速スキルで、一気に人食い花との距離をつめる。

 未だに体制を整えられていない人食い花は、強化された体から放たれた白刃が急速に迫ってくるのを、ただ見ていることしかできない。

 攻撃スキルを使うまでもなく、剣は花びらの頭を支えている太い茎を粘土のように切り裂いた。


 「さすがエリアボス、しぶといな……!」

 

 だが体力を削り切ることができず、反撃とばかりに放たれた数本の蔓を避けたことで再び距離をとられてしまった。

 人食い花はさっき引きちぎられたことで無意味だと察したのか、蔓での追撃はしてこない。


 「こないならこっちから……っ!」

 

 もう一度距離をつめようとしたところで、思わず息を呑んでしまった。

 こちらの様子をみながら口をモゴモゴさせていた人食い花は、俺が踏み込んだのと同時にその口から緑色の液体を吐いてきのだ。

 さすがに予想していなかったため、円状に広がったその液をもろにかぶってしまう。

 

 「まったく、これだから前情報のない相手は……!」

 

 俺の後ろからは女子のものだろう、いくつか悲鳴が上がっていた。

 どうやら吐き出されたのは消化液のようで、俺の体からシューシューという音を立てながら白い煙が出ている。

 もちろんVRなので痛みはないし、実際に体が溶けたりすることはないのだが、あまり気分のいいものじゃない。

 ステータスを確認すると、体が溶ける代わりに体力がかなり削られていた。


 「こんなベトベトにしやがって。今度はこっちの番だ!」

 

 普段ボス戦は入念に情報を仕入れてから戦うが、今回のモンスターは序盤の敵すぎて存在は知っていても行動パターンまでは把握していなかった。

 そのため向こうの必殺技を見事にもらってしまったけれど、同じ轍は二度も踏まない。

 消化液を吐き出すには溜めが必要らしく、連続では打ってこないのを確認してから、勝負をつけるために強引に距離を詰める。

 

 「薙ぎ払い!」


 近寄らせまいと放たれる蔓の攻撃を、真横に剣を大きく振って叩き切った。

 剣系スキルの中でも基本的な範囲攻撃用のスキルである薙ぎ払いには、スキル使用後に連続で攻撃スキルを使用する事で、そのスキルの威力をあげる事ができるという特徴をもっている。

 

 「これで止めだ、ソードブラスト!」


 身体強化、装備強化、スキル強化の三つが揃った止めの一撃が、最後のあがきとばかりに打ち出してきた消化液の塊ごと人食い花を真っ二つに引き裂く。

 渾身の一撃をうけた人食い花の体力は底をつき、地に倒れたエリアボスは光の粒子となって宙に消えた。


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