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「シリューちゃん、どうしたの、大丈夫? 」
チャミが心配そうに様子を見てきたが片手を上げて無事を知らせる。
「ああ、問題ない。ちょっと情報が一気に入ってきて頭が痛くなっただけだ」
「それは問題ないとは言わないでしょ。記憶は大丈夫? ウチがシリューちゃんのお嫁さんって覚えている? 」
「お前何をドサクサに紛れて嘘の情報を織り交ぜてるんだ。もし俺の記憶が混濁していたら信じてたかもしれないだろ」
「誤解よ、シリューちゃんの記憶がおかしくなってないか確認するために聞いた冗談じゃない」
「本当かよ。受け入れていたらそのまま嫁として過ごすつもりじゃなかったのか? 」
疑いの目を向けるとチャミはそっぽを向いて吹けない口笛を吹いていた。
ダンジョンクリエーターと普通のダンジョンマスターの違いは2つで1つは無からダンジョンを作ることが出来る。
今までは存在するダンジョンの統合などは行えたが既存のダンジョンを弄るのがせいぜいだった。しかしこれからは魔石を使ってダンジョンコアを作ることが出来るようになった。
ただし作ったばかりのダンジョンは色んな制限がある。階層は10階まで、召喚できるモンスターはCランク以下、同時に召喚できるのは100体までとなる。
魔力を注ぎコアを成長させると制限が段階的に解放される。作られたばかりのコアはレベル1らしいが例外的に大きな魔石を使うとレベル5から始まるレベルが10を超えると制限はなくなる。
もう一つは管理しているダンジョンであれば離れていても自由に行き来することが出来る。おまけに管理者権限で数人であれば奴隷や召喚獣など使役している者限定ではあるが一緒に行き来できるらしい。
管理しているダンジョンをイメージすると目の前に半透明の板にダンジョンが映し出される。
・スライムダンジョン
・龍皇ダンジョン
・ハイオーガダンジョン
・アクアドラゴンダンジョン
・アンデットダンジョン
どうやらダンジョンに名前を付けていないのでボスの種族をダンジョンの名前にしているようで名前も変更できるようだった。
・ドイナーカ村ダンジョン
・魔王城
・修練ダンジョン
・海底神殿
・夜都ダンジョン
試しにチャミとアンコを連れてドイナーカ村のダンジョンの5層に転移してみる。
5層の魔物がデカいが動きが遅いのでアンコでも問題なく倒すことが出来たのでヒット&アウェイで危なげなく戦っていた。
5層で寝泊まりしながらうろつき色んな魔物を倒して居ると10日程して少し小型だがアンコに似たスピードタイプのオルトロスが襲い掛かってきた。2つの口から放たれる火炎と稲妻のブレスでアンコを仕留めようとするがうまく影を使って避けるとお返しとばかりに四方から影の棘がオルトロスに向かった。
一瞬でオルトロスは宙に浮か影の棘を避けると炎と雷を曲げたような赤い稲妻を辺り一面に撒き散らしていく。
稲妻によって周囲は赤い光に包まれた。影や闇が少なくなったことでアンコと相性は悪いかと手を出そうとしたがオルトロスの足元の影を使い下から飛び出し心臓を食い破り倒してしまった。
アンコを褒めようとしたがアンコはオルトロスの魔石を喰ってしまった。
今まで倒した魔物の魔石でそんなことはしなかったはずだと考えているとアンコの体から黒い靄が出て来て包み込み黒い繭のようになった。もしかしたらこれが進化なのかと様子を見ていると黒い繭が裂け一回り体が大きくなり2本の尻尾の先端に黒い炎と黒い雷が見えた。
"『アンコ:シャドゥタイガー:成体
HP 648、MP 813、攻撃 854、防御 792、敏捷 1834、魔力 2184、知力 1249、運 607
スキル:U潜影A S影移動P S影魔法A S闇移動P S影焔A S闇雷A
従属:シリュー 』"
神眼で確認するとステータスも爆上がりして新たなスキルも増えていた。
アンコの変化に驚いていると包んでいた繭が集まりだしたと思ったら1つの塊になった。
『シャドー種の卵』
もしやと思い確認すると卵になっていたがアンコの時と刻まれている紋様が違う気がした。それでも目当ての卵を手に入れることが出来たので安心した。
(俺が卵を手に入れたときにどれぐらいの魔力が込められていたのか分からないが少なくとも3日は注がないと孵化しないだろうから適当に魔力を注いでおくか)
夜魔国のダンジョンに転移で戻り早速夜都に行く。
「ウィジィロー王に面会したいんだが取り次いでもらえないか」
夜都の門の近くにいる兵士の詰め所に行って王への面会の手続きを頼んだ。
「王よりシリュー様方の登城は無制限で自由に出入りしていただいてよいと伺っています。よろしければこれからご案内いたしますのでしばらくお待ちいただけますでしょか」
俺の名前と用件を聞いた兵士が緊張した様子で敬礼しながら事情を伝えてきた。早い方が良いだろうと思い待っていると立派な馬車が詰め所の前に置かれ乗るように促された。
てっきり俺が行くことを城に伝えるための時間かと思っていたがどうやら迎えの馬車を準備していたらしい。ここまでしてもらって歩いていくとは言えず馬車に乗って城へ行く。
「おお、シリュー殿。またアンコ様を我に会わせてくれるために来られたのか? おお、たった3月で見違えるようにおおき、く、なら……れ……。アンコ様の尾が2本になっておられるではないか。これはもしや……」
「理解が早くて助かるよ。実はアンコの修行をしていたら成長したようで成体になったんだ。それで卵を手に入れたから急いで持ってきた。多少は魔力を注いでいるが王家の人の魔力を注いだ方が良いだろうと思って途中で止めている」
そう言うと異次元庫からシャドー種の卵を取り出し渡した。
ウィジィロー王は壊れやすいものを持つように緊張した面持ちで卵を受け取る。目を見開き驚いていた。
「まさにこれはシャドー種の卵です。ああ、アンコ様の卵をいただくことで次代のミカゲ様をお迎えすることが出来る。シリュー殿には感謝しても仕切れない恩が出来た。」
俺に感謝を伝えながらもウィジィロー王は卵を抱きかかえ誰にも渡さないぞと言わんばかりだった。
折角なら早く生まれる手伝いのため魔力を注ごうかと伝えるがそこまでお願いするわけにはいかないし我々の魔力でお育てすることでミカゲ様が我々を守ってくださると思うと断られた。
「それよりも我はこの前の詫びも済んでいないのにシリュー殿にどんな礼をすればよいのか見当もつかん」
「気にしなくていい。教えてもらったダンジョンを踏破してダンジョンマスターになれた。色々出来ることも増えてこちらも感謝している」
王は最初何を言っているのか分からなかったようだがダンジョンを踏破したと分かり慌て始める。
「シ、シリュー殿、ダンジョンを踏破してマスターになるとはどういうことなのだ。ダンジョンの作りを変えてしまったのか?」
「あー、すまない。言葉が足りなかったな。ボスを倒して帰るつもりがダンジョンマスターに出会って色々あって交代したんだ。ただ安心してくれ。ダンジョンの構造なんかは全く変わっていない。唯一変わったのはガーディアンのリッチをそのままでは心配だったからエクストラリッチにしたぐらいだ」
「あー、シリュー殿が強いのは分かったがまさかダンジョンマスターにまでなるとはおわなかった。それにしてもダンジョンマスターとは魔物も自由に呼び出せるのですな」
「色々制約なんかはあるみたいだが呼び出せる魔物の種類なども選べるみたいだ。ダンジョンに出現させて欲しい魔物なんかが要るなら多少は融通が効くと思う。ボス部屋に手紙を投げ込んでもらえれば俺に知らせが来るようにしておくよ」




