㊺
国王からは気長に待つという感じで返事をもらい謁見というか食事会が無事済んだ。
シャドー種の進化については個体や成長環境などにより異なるとのことではっきりとは分からないがアンコの場合は基本形はそのままで角や羽が生えるような感じになるという事だった。
アンコの場合というのはタイガー系のシャドー種は既に強者で最終形に近いらしい。タイガー、ドラゴン、ナイトなどが行きつくところらしい。
中には変わり種でスライムのようなシャドー種も居るらしい。
宿に戻って考えていたがあの大亀がここに呼んだのはもしかしたらアンコをココに呼び寄せたかったのかもしれないと思ってしまった。
急ぐ旅ではないしあの王様は良い人の様だったので助けたいと思っている自分がいる。
「チャミ、アンコが進化して脱皮するまでここで過ごすことにしたけど問題ないか? 」
「問題ないかって言うけどその黒猫がいつ進化するかも分からないのにここにいるって言うの? 」
「俺の勘ではあるが多分そんなに時間はかからないと思うぞ。それにしてもチャミはこの島に滞在するのは嫌なのか? 」
「シリューちゃんと一緒ならどこでも良いけどその黒猫の為って言うのが何となく気に入らないだけよ。どうせウチが何と言っても卵が出来るまで居るんでしょうから好きにしたらいいじゃない」
チャミが不貞腐れてベッドに寝てしまったので俺も寝ることにした。
翌日から王様から教えてもらったダンジョンに行く事にした。街の近くの魔物を倒しても良いがそんなに強い魔物が居ないので効率が悪いと思い聞くとダンジョンを進められた。ただ注意点として貴重な資源の素なのでコアの破壊はしないように釘を刺された。
ダンジョンに入って最初に思ったのは『普通』だった。土地柄シャドー種や闇属性の魔物がウヨウヨ出てくるのかと思ったがよく考えれば簡単に出るようなら神聖化しないなと納得した。
基本的に戦闘はアンコに任せ俺は補佐的な動きをすることにした。
見かけた魔物をどんどん倒し下の階層へ進み倒すのが難しくなったら帰って最初から倒していくという動きを繰り返した。
1月ほど繰り返していくと50階層までは補助なしでも行けるようになった。ちょっとした補助をすれば70階層まで行けるがアンコの成長、進化の為なので危ない時以外は補助をしないことにした。
ほぼ毎日ダンジョンに行っているので手に入れた魔石や素材が大量に有ったので夜都の商店で売って金に換えるとかなりの額になった。
更に2か月ほどするととうとうボスの扉の前まで来た。
扉の中に入るとリッチが待ち構えていた。神眼で確認するとリッチはガーディアンだった。リッチは魔法を乱射して攻撃してくるがアンコは影に隠れならうまく避けて反撃を仕掛ける。しかし魔法は無効化され影の爪は光を出してかき消されダメージを与えることが出来ない。
決定打に欠けて長期化しそうだった。ガーディアンなので倒すかこっちが殺されるまで扉が開かないので仕方なく俺が倒すことにした。
一気に近づき魔力を込めたミスリルの剣で切り付けるとあっさりと倒せた。
リッチを倒したがコアへの接触許可のメッセージが聞こえないしコアも出てこない。下の階層があるのかと思ってボス部屋を探してみたが見つからず壁を叩いて調べていると一部分で先に空洞があるような音がした。
ダンジョンの壁などは壊せないので開ける方法を探したが小さな隙間を見つけるだけで開けることは出来なかった。
開けられないなら向こうから出てくるように仕向けるため隙間から大量の水を流し込んでいく。中からは慌てたような声が聞こえたかと思うと岩がスライドし眼鏡をかけたずぶ濡れの少年が出て来た。
「うわっぷ、何をしてるんだい。溺れちゃうじゃないか」
「それはお前が閉じこもって出てこないから仕方なくしたんだ。それでお前がダンジョンマスターで間違いないな。お前を倒してダンジョンの所有権を貰うとするか」
「ちょちょちょちょ、ちょっとまって、待ってってば。なんでそんな物騒なはなしになるのさ。オイラは好きでダンジョンマスターになったわけじゃないんだから簡単に殺すって言わないでよ。」
「好きでなったわけじゃないってどういうことだ。リッチを倒したからコアに触れてマスターになったんだろ」
「違うよ。オイラはボスの討伐に来たパーティーの荷物持ちだったんだけど相打ちで生き残ったのがオイラだけで訳も分からず頭に響く言葉に従ったらダンジョンマスターになってたんだ。一応冒険者パーティーについて来れる体力や魔力があったから良かったけどなってみて下手したら死んでたかもって分かって冷や汗をかいたよ。おまけにマスター権限で命令を出せるのはガーディアンだけで他の魔物からは攻撃を受けると分かってここから動けなかったんだ。ダンジョンの挑戦者が居たからダンジョンのポイントで色々生活しやすい環境を整えたけど不老であっても不死ではなし大した能力もなかったから隠れてることしかできなかったんだ」
(ん? マスターは不老なのか? そんな話聞いた覚えがないんだが……、もしかして城の地下のダンジョンでコアを触って気絶したときにメッセージが流れたのか? まあ、その件は後で考えるか。とりあえずこいつをどうするかだな)
「それでお前はどうするんだ。このままここでダンジョンマスターとして過ごすのか? 」
「それについてなんだけど実は長くマスターをしていたからなのか権利を委譲できるようになったんだ。リッチも委譲しようかとも思ったんだけどその瞬間殺されると思ってしなかったんだけど僕をダンジョンから出してくれたら君に権限を委譲するよ。コアやダンジョンマスターの話に詳しいってことは君も他のダンジョンのマスターなんだろ」
(戦闘能力はないようだけど伊達に長年生きてきたわけではないな。俺の口ぶりから情報を整理して理解できている)
「分かった。それならお前をダンジョンの外まで連れて行ってやろう」
アンコに先頭を走らせ少年を抱え出口まで駆け抜ける。数時間後には入り口が見える場所まで着いていた。
「あそこがダンジョンの入り口になる。ここからは魔物も出てこないから帰れるだろう? 」
「ありがとう。多分家族は既に死んでいると思うけど何もない場所で暮らすのは嫌だったから助かったよ。 『権限移譲』 」
少年が言葉を発すると頭の中に声が響いてきた。
『管理するダンジョンが5か所になったためダンジョンマスターからダンジョンクリエーターにランクアップします。ダンジョンクリエーターの権能について情報を確認してください』
いきなり頭の中に大量の情報が流れ込んできて激しい頭痛に襲われた。幸い気絶することはなかったが座り込んでしまった。




