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フカイのフカイな異世界の旅  作者: アングリー尺損


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 大亀に別れを告げて陸上に行くと本当に真っ暗だった。

 回りを見回すと南東方向にうっすらと明かりが見えたので光魔法で足元を照らしながら進んでいく。

 魔物は出てもなかったが本当に真っ暗でこんな世界があるのかと思っていた。

 1時間ほど歩いて明かりに近づいていくと更に明るくなってきたが明かりに引き寄せられるように魔物がちらほら出て来た。それなりに大きな魔物だったが問題なく瞬殺し異次元庫に入れて先に進む。

 更に1時間ほど歩くと明かりの正体がわかった。


 頑丈な壁が作られその中はまるで昼間のように明るくなっていた。

「シリューちゃん、とっても明るいわね。どうやってこんなに明るくしてるのかしら」

「そんなの俺が知ってるわけないだろう。俺もチャミと一緒にここに初めて来てるんだぞ」

「確かにそうね。じゃあ街に入るために入り口を探さなくちゃね」


 壁に沿って歩いていると門のような場所が見えた。しかし固く閉ざされており入ることが出来なかった。

 街の中が明るいので誰かいるかと思い門をたたいてみたが返事はなく諦めて門の近くで待つことにした。空が暗いので時間の感覚がなくチャミが太腿を叩いて寝るよう促してきたので寝て待つことにした。


「おい、お前たち何者だ。そこで何をしている」


 頭上から声がして目が覚めた。


「俺達は海獣の背中に乗ってこの島に来たんだが街に入れなかったからここで門が開くのを待ってるんだよ」


「なんだと、海獣の背中に? お前たちは身分を証明できるものを持っているのか? 」


 門が開くことはなく壁の上から兵士が身分証の提示を求めてきたのでギルドカードを見せる。

 ようやく不審者じゃないと分かってくれたようで街へ入ることを許可された。


「この島は全てが夜魔国で4つの街とその中央に夜都がある。ここは東の街 ネビュラだ。身分証を確認して街に入れたが問題を起こすんじゃないぞ」


 街の中を歩いていると店自体も明るいが街の至る所に光を発する魔道具が置いてあった。建物は瓦が乗っている日本家屋のような作りで浴衣や着物のような服を着ている者がちらほら見受けられたが着物を着ているのは黒髪で肌が白く赤い目をしていた。


「とりあえず宿を探して落ち着こうか」


「そうしましょう。美味しそうな匂いもするから食事も楽しみだわ」


 門に通じる大通りは色んな飲食店が並んでいるようで各店から美味しそうな匂いがしている。

 大通りを進んでいくと老舗旅館のような佇まいの建物があり宿だと分かった。早速止まるために宿に入ると内装も日本家屋で入り口で靴を脱いで上がるようになっていた。


 部屋は畳が敷かれており座布団や座卓が置いてあった。


(この国の関係者は間違いなく日本人が絡んでいるんじゃないか? 俺達とこの世界に来た連中ではないだろうから俺達より前にこの世界に召喚されたが生まれ変わって前世の知識を持っている可能性もあるな)


 色々考えたが答えが出なかったので海では出せなかったアンコに声を掛けると嬉しそうに影から出てきて俺に体を擦り付けてくる。

 ここまでに海中以外では戦闘もさせていたのでそれなりに成長しているようで影だけでなく闇にも紛れ込めるようになっている。自分以外の影も操作できるようになっているが動いている相手の影はまだ動かせないようだった。


 アンコの成長をさせるためにこの島でしばらく過ごすことにした。


「ここはアンコにとって活動しやすいようだからしばらくここで冒険者として活動することにするが問題ないか? 」


「シリューちゃん、どうして黒猫には優しいのにウチには優しくないの? 」


 どうもチャミはアンコに対抗意識を燃やしているようで事有る毎に何か文句を言ってくる。


「お前のことを気遣っているから問題が無いか聞いているんだろう。色々文句を言うようならどこか適当なダンジョンのガーディアンにして動けないようにするぞ」


 チャミは頬を膨らませ不機嫌にしていたがそれ以上の文句は言ってこなかった。


 とりあえず部屋にあった檜風呂で疲れを癒し宿の食事を楽しむことにした。


 日本食を期待していたのだが出て来たのはエビチリやマーボードーフのような中華料理やお好み焼きのようなジャンクフードで日本人の関与に確信を持った。


 翌日宿に来るまでに見かけた冒険者ギルドに行ったがめぼしい依頼はなかったので適当にアンコが倒せるような魔物を見つけて狩ることにした。

 街の出入りに関しては24時間自由に行えるが門の近くにある魔道具で兵士を呼び出すことになっているらしい。


 街の近くの森に入って行くと夜目の利くようなオウルベアやダークボアを見かけた。

 はじめは怖禍威で動きを止めてアンコに攻撃させる。

 慣れてくると魔物の影に干渉して固定させ身動きできないよう拘束してからとどめを刺していた。

 影を飛ばして相手の影に攻撃してダメージを負わせることも出来るようになって来た。


 更に成長するとアンコの影の爪が大きくなり魔物の影を斬りつけ俺の手助けを必要とせず工夫しながら魔物を倒していた。


 街の探索を行っていたが提供される食事について詳しく聞いてみるとこの島にというか亀の背中に初めて住み始めた国の最初の王が伝えていたらしい。

 その王は太陽の光を嫌いこの島に辿り着いたらしく探索に来ていた連中に料理を振舞っていたたしいがあまりの美味しさに料理を作ってもらうためにどんな頼み事も聞く様になりいつの間にか配下になっていたらしい。

 その時に食べた料理を見よう見まねで再現したのが街で売られている料理の原点らしい。


 夜都に行けば更に美味しい料理が食べれる店があるというので早速や都に向けて出発した。

 暗闇の中ではあったがアンコが大活躍して隠れ潜んでいた魔物まで見つけては狩ってきた。


「すごいじゃないか。アンコは着実に強くなっているな。これからも期待しているからな」


 チャミは俺がアンコを褒めたことで不機嫌になりその日の夕食は味付けもしていないゴムのように固い肉の丸焼きだった。


 またかと思いつつもへそを曲げられるとマズイ飯を食い続けることになるので機嫌を取ることにした。


「あれー? おかしいなぁ、チャミのご飯はいつも美味しくて楽しみだったのになぁ。もしかして具合でも悪いのかなぁ。あー、心配だなぁ」


 我ながらの大根役者に機嫌を直してくれたのか心配になったがチラリとチャミを見ると嬉しそうな顔で料理を作り直していた。


「シリューちゃん、ごめんね。ちょっとウチ考えことしてて料理間違って作っちゃったわ。これ、シリューちゃんが好きな唐揚げなんだけど食べてぇ」


 あんな棒読みのセリフに騙されるチャミを憐れに思いつつもこの島で見つけた本物の醤油を使った唐揚げは旨かった。



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