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そう言えばと思い俺も動きの確認をしてみるが流牙拳の修行の成果なのか抵抗を感じることなく素早く動けた。
目の前を泳いでいる魚を指先だけで捕まえることが出来た。
これなら海中の依頼も問題なく受けることが出来るなと思いギルドに向かった。
掲示板を見て最初に目についたのはデビルクラブの討伐と言うものだった。
依頼書を見ると海都の北にあるケイコウ島からの依頼で海岸に住み着いたデビルクラブの影響で漁が出来ないと言うものだった。デビルクラブは3mほどの蟹らしいが甲羅の形が悪魔の顔に見えるというところから名前が付いたらしい。おまけに外殻は非常に頑丈で自重の50倍以上の荷重に耐えれるらしい。
魔法が主な攻撃手段で暗い場所に隠れ岩に擬態し魔法で獲物をしとめ完全に動かなくなってから食べるほど警戒心も強いらしい。
早速船に乗ってケイコウ島に行くと昆布やわかめなどを採取して生計を立てている人が多い島のようで海岸に陣取られることで死活問題だという。
目撃情報を元に近づくといきなり魔法が飛んできた。不壊を付与した大楯を出して防いでいるので問題なく場所を把握して接近し思い切り殴ったが傷一つ付かない。
殻の節の部分を斬りつけると問題なく切断できた。全ての足を切り落とし動けなくしてから止めを刺した。
チャミがハサミの部分を食べると皮膚を硬質化できるようになっていた。そもそも不壊があるのでそのままでも切り落とすことは出来ないから必要ない能力ではあるが面白いと思った。
俺がデビルクラブを探しながら駆除している間にチャミは魚系の魔物を海中で倒して吸収したようで下半身が魚のようになり人魚のようになっていた。
「どう、シリューちゃん? ウチもイケてるでしょ」
なぜかポーズを取って存在をアピールしてきたが元のままでも十分可愛いと思うので敢えて返事をしなかった。
海都に戻り報告を行い証明として魔石と甲羅を見せる。
甲羅は防具の素材としても有名らしく買い取ってくれると言われたので3匹分を売った。
残りは異次元庫に入れておけば腐らないのでそのうち調理して食べてみようと思った。
防具の材料という事だったが流石に海の中で鍛冶は出来ないだろうからと陸上の鍛冶屋を覗いてみた。
海人国では金属の採取が難しいので魔物の素材を使って装備を作ることが多いらしい。この前俺が倒したデビルクラブは討伐依頼だったが素材としての依頼も出ているらしい。鍛冶屋では魔物の素材を熱して叩いたり削ったりしながら作っていたが限度があるようで元々の形を残している物が多いようだった。
俺個人としてはミスリルの剣があるので武器や防具を新たに買うことはないので冷やかし半分のウインドーショッピングではあるが見て回るのは楽しかった。
武器類は買わなかったが珍しい食材は色々買い込んで宿に戻る。
独特な調理方法もありチャミも興味を示していた。
数日のんびりしてギルドに行くと海都から少し離れたカクザ島の周りにクラーケンが出たという。その島を含めたいくつかの島は年中雪が降り積もり海も凍るほどだという。普通のクラーケンは寒い場所には居ないらしいがなぜか住み着いたようで困っているらしい。
他の冒険者が挑戦したらしいが大けがをしながら逃げて来たらしい。
デビルクラブを討伐した実力を買われ受けて欲しいと頼まれた。
「島の周りの氷があって船は近づけるのか? 」
「氷自体は人が乗っても大丈夫なんですが所々割れていたり薄い部分があって海に落ちたりする場合があります。それだけ注意してもらえば歩いて島まで行けます」
それは大丈夫というのかと思ったがイカなのかタコなのか知らないが食料にはなるだろうから行く事にした。
海都から西に進んでいくとだんだんと寒くなってきて所々流氷が見えてきた。
氷を避けながら進んでいくと流氷が折り重なり先に進めなくなった。慎重に船を操作し氷の上に乗ると本当に歩くことが出来た。ただ割れている場所や薄くなっている部分の見分け方が付かないので大楯を浮かせて島を目指すことにした。
依頼を出していたカクザ島に着くと街の周りには氷のブロックで作られた壁があり幻想的な雰囲気があった。
冒険者カードと依頼書を見せると歓迎してくれた。
話を聞くと最初は漁で魚が捕れなくなっただけだったらしいがこの島から西側に移動するときにクラーケンの被害が出始めたということだった。
前に来た冒険者たちも西側で攻撃を受けて何本か足を切り落とすことは出来たが結局本体をどうにかすることが出来ず帰ってきたらしい。
氷の下の海水はかなり冷たいらしく寒さに慣れた島の者でも10分も居れば凍えてしまうらしい。
クラーケンがどうやって人間の接近を察知しているのか分からないがとりあえず氷の上を歩かず浮かんで進んでみる。
問題なく隣りの島まで行けたので水の球を氷にぶつけ振動を与えながら移動してみるが出てこない。
氷の下を探知しようとするが氷が邪魔なうえに岩に擬態しているのかうまく分からない。
とりあえず100m四方の氷を浮塊で浮かせて海底が分かるようにする。
邪魔なものが無くなったので場所の把握がしやすくなりクラーケンの場所を特定した。
水魔法で水流を操作しクラーケンを氷の上に引きずりあげる。
『クラーケン:軟体系
HP 924、MP 108、攻撃 781、防御 682、敏捷 1037、魔力 227、知力 94、運 37
スキル:S触腕再生P R擬態P R締め付けA R墨吐きA R環境適応P 用心深い 大食漢』
鑑定したことで攻撃手段などが分かってきた。
試しに足を切り落としてみたがやはりすぐに再生してしまった。切り落とした足は異次元庫に入れておく。
チャミと2人で吹き付けられる墨や締め付けようとする触腕を避けながらひたすら足を切り回収する。
かなりの数を回収したので頭部というか腹部になる部分に魔法を叩きつけると簡単に倒すことが出来た。
全てを異次元庫に入れてカクザ島に行くとクラーケンを出して見せると感謝された。
依頼書に完了のサインを貰い海都へ戻った。
ギルドでクラーケン討伐の報告をしてしばらく休もうかと思っているとチャミが上着の裾を引いて声を掛ける。
「シリューちゃん、あそこに貼ってある依頼書に書いてあるバブルシュリンプってとっても美味しいらしいの」
「えっ? そのシュリンプを捕りに行けってこと? 」
「それもあるけど折角なら依頼も受けるとお金も儲かるんじゃないかとおもって……」
実は俺もエビが好きなので依頼ついでに自分の分も確保するため書いてある海都の東にあるフキノ島を目指す。
フキノ島に着くと漁師たちの所に行って話を聞くとバブルシュリンプはそれなりに良るが周りには強力な魔物が居るからなかなか捕まえられないという。
「アンちゃんたちが捕まえられるなら自由にしていいぞ。ただし命の保証はしねえからその覚悟で捕まえに行けば良いさ」
早速海中を捜索していると半透明のエビが岩陰にいた。捕まえようとすると1mほどの蝦蛄のような魔物が攻撃してきた。
衝撃波のようなものを撃ち出してきて気絶しそうになったが踏みとどまりミスリル刀で真っ二つにした。
20匹ほどのバブルシュリンプを捕まえたがもう少し捕まえようと探すと蝦蛄の魔物がバブルシュリンプの落とす脱皮の殻を美味しそうに食べている所を発見した。
どうやら蝦蛄の魔物とバブルシュリンプは共棲関係にあるようだと分かった。確かのあの衝撃波は強力なので普通は捕まえられないと思う。
ただ俺の場合は不壊もあるので負けることはないので乱獲させてもらう。
バブルシュリンプは水中で処理すると食材として持ち運びできるが生きたまま空気に触れると水泡のように弾けて消えてしまうと聞いた。
捕まえたバブルシュリンプをチャミに調理してもらい提出数の20尾分を確保すると他は調理し異次元庫に入れていつでも食べられるようにした。
ついでに蝦蛄の魔物も茹でてみると案外美味しかったので異次元庫に入れて持ち帰った。
海都に帰りバブルシュリンプの剥き身を提出すると驚かれたが状態も良かったので報酬を上乗せしてくれた。




