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フカイのフカイな異世界の旅  作者: アングリー尺損


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 日程休息を取って次の依頼を受けることにした。

 

『アースドラゴンの素材(鱗、革、牙)を提出   報酬:金貨15枚

 岩の平原に住んでいる。鱗や革の状態によっては増額も検討する』


 王都から北に馬車で5日の位置に岩の平原という場所がありそこに生息しているらしい。

 平原の入り口と言われる場所について全体を見渡してみるとグランドキャニオンのような場所で入り組んだ地形に多くの洞窟がありそのどこかに居るため見つけるのに時間がかかるのでファイヤドラゴンより報酬が高かったようだ。


 おまけにアースドラゴンは鉱石を食べているため地上部分にほとんど出ず移動も地中を進むらしく個体によっては一生地下に居る。

 長年生きたアースドラゴンの皮膚は食べた鉱石の影響で硬さや色が異なるという。革の状態で値段が変わるというのはそういう事かと思った。


 地中を移動するので洞窟の入り口の大きさは参考にならず魔力を頼りに探していくが他の魔物だったこともあり見つからなかった。

 心眼でミスリル鉱石や宝石の原石などを採掘しながら探し続けた。

 夜営をしながらだったが異次元庫には大量の食糧を入れていたのでチャミに調理してもらいながら捜索を続けた。


 20日目にようやく目的のアースドラゴンを見つけたときは今までの鬱憤も貯まっていたのか頭を串刺しにして倒した。


 『アースドラゴン:竜種 

 HP 843、MP 419、攻撃 352、防御 667、敏捷 243、魔力 411、知力 198、運 94 

 スキル:SストーンブレスA S噛みつきA R物理攻撃耐性P R鉱石消化P』


「解体場に行かせてもらうぞ」


 ギルドに戻り受付に伝えてギルド裏の解体場に向かいエプロンおじさんに声を掛ける。


「おっさん、今度はアースドラゴンの解体を頼みたい。この前のファイヤドラゴンよりちょっとデカいんだが何処に出せばいい」


「またボウズがデカ物を持ってきたのか。今回は小物は居ないのか?」


「細かいのはこっちで解体してるから素材を受付で出すから問題ない。それでどこに出せば良い? 」


「この前よりでかいって言うなら場所を作るからちょっと待ってくれ」


 おっさんは部下らしき職員に声を掛けて場所を作ってくれたのでそこにアースドラゴンを出すと驚かれた。


「おいおい、今度は首が繋がったままで頭を一突きかよ。おまけにこいつはかなり珍しい鉱石食ってたのか初めて見る色をしてるぞ。確か今回は鱗や革がメインだったと思うから肉は持ち帰れるぞ。ドラゴンの肉は旨いからな。もちろんギルドでも買取してるから要らないんだったら全部売ってくれよ」


「うまいというなら半分は持って帰るかな。残りは買い取りでも良いぞ」


「とりあえず素材と肉に分けとくから明日また来てくれ。おい、おめえたち今日は徹夜になるから覚悟しとけ」


 おっさんが職員に檄を飛ばしていたが俺は預かり証を貰って受付で鉱石や原石を買い取って貰った。


 約束通り冒険者ギルドに行くと大量のブロック肉が部位ごとのメモを貼られ置かれておりチャミと相談して半分ほどを異次元庫に入れて持ち帰った。宣言通り残りは買取してもらったことで依頼の報酬と合わせて金貨50枚ほどを手にした。


 宿に帰って食堂の夜間の営業が終わった後で厨房を借りてアースドラゴンの肉とチャミに調理してもらった。ただの赤身肉と思っていたが塩コショウのシンプルな味付けにも関わらず柔らかくとても美味しかった。分厚いステーキがいつの間にか無くなったと思えるほど無心に食べてしまった。


(ドラゴンの肉がこんなにうまいんだったら半分と言わず全部持ち帰ればよかったかな)


 半分売ってしまった事をちょっと後悔してしまった。


 今度はサンドスコーピオンという魔物の討伐を受けることにしたがちょっとしたトラブルがあった。

 

『サンドスコーピオンを討伐   報酬:金貨10枚

 死の砂漠に住んでいる。討伐した証明として毒針を提出する』


「ちょっと聞きたいんだがこの依頼書はかなり年季が入っているようだがどれぐらい貼りだされていたんだ」


 掲示板に張り出されていた依頼書がかなり黄ばんでいたので気になって受付に聞いてみた。


「えーっと、それは私が仕事を始めたころには貼りだされていたので……ちょっと確認してきます」


 即答できないほど前からある依頼って報酬貰えるのか疑わしいと思っていると帰ってきた。


「そちらの依頼は10年ほど前に出た依頼でして砂漠を安全に移動するための国の事業の一環として発注されました。砂漠以外の場所はある程度進んでいるそうですがシリュー様が依頼を達成してくださると報奨金を倍増させるとのことです」


 めちゃめちゃ営業スマイルで圧を掛けてい来るので受けることにしたが場所を聞いて失敗したと思った。

 前回受けたアースドラゴンの居た岩の平原から行った方が近かったのである。


「確認なんだがどうして10年も討伐できていないんだ。何か難しい理由があるのか? 」


 討伐のヒントになればと思い聞いてみるとサンドスコーピオンは体を砂で覆っているため本体に攻撃が届きにくく多少斬り落としても周りが砂だらけですぐに元に戻ってしまうという。依頼された当初、数組が挑戦したが逃げ帰ってきたらしく噂が広まり誰も受ける者はいなかったと言われ騙されたことに気づいた。


 歩きや馬車での移動が面倒になったので武器屋で2mほどのタワーシールドを買ってきた。

 ついでに座布団になるクッションも2使って街の外に出ると早速タワーシールドを地面に置いてクッションを乗せる。タワーシールドに浮塊を付与し浮き上がらせた。チャミをクッションに座らせようとしたが拒否してきた。


「そんな場所には座りません。ウチが座るのはシリューちゃんのお膝の上です。か弱い女の子が上から落ちて怪我なんてしたらそうするんです」


 チャミは力説しているが最初から落ちないように盾の縁を持っていれば大丈夫な速度しか出さないし、そもそも不壊があるから落下しても傷一つ付かない。

 諦めてクッションを2つ重ねて俺の尻に敷いて胡坐をかいた上にチャミを座らせる。


「この場所が世界中で一番安全です」


 チャミが嬉しそうにしているので何も言わずそのままタワーシールドをさらに上昇させ風魔法を使って目的の砂漠へ移動する。


 その日の夕方には砂漠の近くにある街に着いたので一泊して翌朝砂漠へ入って行った。

 聞いた話ではサンドスコーピオンは10m越えの大きな魔物という事だったので砂漠の奥へ浮かんで進んでいくが魔物が出てくることはなかった。

 ある程度進んでから魔物を刺激するために弱めの怖禍威を広範囲にばらまくことで魔物を引き寄せることにした。


 3~5mほどのワームと言われる魔物が襲い掛かってきたので倒していたが足元の砂から飛び出してくることもあったので土魔法で足元をガチガチに固めて土台を作って対処することにした。

 土台を突き上げる衝撃が時々あったが土台の縁から襲ってきて倒したワームはチャミが開けておいた異次元庫の中に片付けていく。


 暫くすると少し離れた場所の砂が盛り上がってきて見あげるほどの砂を纏ったサソリが出てきた。

 試しに水魔法を纏わせたミスリルの剣で鋏の部分を切り落としてみたが足の部分から砂を吸い上げてすぐに鋏を復元していた。

 心眼で確認してみたが『砂:砂漠の砂でサンドスコーピオンの魔力で操られている』としか出ずステータスなどは見れなかった。


 手当たり次第に斬りつけて本体に当たればラッキーぐらいのつもりで斬りつけて行った。両方のハサミや尻尾を切り落とすとしばらくは大人しくなるがすぐに回復して暴れ始める。

 魔力を大量に注ぎ込んで胴体を真っ二つにしたら形を保てず砂が崩れてしまったので倒したかと思ったらまた砂が盛り上がり元の大きさで現れた。


 砂を吹き飛ばすために風魔法で竜巻を作って削っていくが効果は薄かった。既に半日ほど戦っているが決定打が無くズルズルと時間だけが過ぎていた。

 腹も減ってきて白い砂が鯛の塩釜焼をイメージさせたので蒸し焼きにすることにした。


 風魔法の壁で覆い火魔法で包み込む。火力や風速を上げることで高温が維持されている。最初は気にしていなかったサンドスコーピオンも30分ほどして暴れ始めた。仕上げとばかりに更に温度を上げていくと砂が形を保てなくなったのか崩れてしまった。

 しばらく待ったが復活することはなかったので砂を回収して本体を見つけることにした。

 異次元庫に砂を入れながら確認していくと『サンドスコーピオンの死体』と頭に浮かんできた。


 異次元庫から出してみると50cmほどの砂に擬態したようなサソリだった。

 あの大きさからこのサイズを見つけて倒すのは難しだろうなと思い蒸し焼きが間違いないだろうと思った。

 他にもサンドスコーピオンが居るかもと思いしばらく魔物を誘引して倒して回り何か所か場所も変えたが出てくることはなかったので王都に戻ることにした。


 ワーム、ヘビ、トカゲなど砂漠に居た魔物の死体はかなりの数になっていた。ギルドに出そうかとも思ったが金には余裕が出てきたしあまり食べようと思えるビジュアルではなかったのでダンジョンに吸収させてポイントに還元することにした。


 2週間ぶりにギルドに行ってサンドスコーピオンの毒針を提出した。

 受付嬢が道具を使って鑑定しているようだったが確認が取れたようで驚いていた。


「シリュー様、申し上げにくいのですが本当にサンドスコーピオンを討伐されたんですよね」


「ああ、半日ほど斬りつけたが終わりが見えなかったからヤケクソで蒸し焼きにして倒した。何か所か回っておびき出そうと思ったが出てこなかったから大丈夫だと思う」


「確かに鑑定の魔道具でもサンドスコーピオンの毒針と出ていますがまさかこのサイズだと思わなかったので」


 受付嬢も困惑していたが俺も最初に見たときは疑ったほどなので仕方ないと思う。



「俺も最初は嘘だろって思ったぐらいだから気にしていない」

「そう言っていただけて助かります。それではこれは報酬になりますのでご確認ください」


 差し出されたトレーには金貨が20枚乗っており本当に倍増されていると思った。


 お金を受け取り帰ろうかと思ったらエプロンおじさんが声を掛けてきた。


「おう、ボウズ、今日は解体依頼はして行かないのか? ちょうど暇だから引き受けるぞ」


「それならサンドワームが大小で300匹ほど居るから頼んでいいか? 」


「いや、そいつはちょっとやめておこう」


 顔を引き攣らせていたので冗談だと答えておいた。


「あんたが揶揄ってきたから言っただけでその数を持ってくるわけがないだろう。素材としてもあまり価値がないと聞いていたから砂漠に捨ててきた」


 ホッとした顔のエプロンおじさんを置いてギルドを後にした。



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