表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フカイのフカイな異世界の旅  作者: アングリー尺損


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/24

 シリューside


 何となく精神的に疲れたのでさっさと宿の部屋に入りチャミの膝枕を堪能しながらゆっくりしていた。


(そういえばさっきの卵に魔力を吸わせたけど何か変わったかな)


『?????の卵:魔力を吸収させることで孵化させることが出来る』


 やはり詳しいことが分からず心眼以上になるのか分からないが鑑定系の最上位を目指すことにした。

 使い続けると進化するという事だったが今までは不便が無かったのと魔物からの攻撃で死ぬことが無かったのでほとんど使っていなかったので今後は事有る毎に使って行こうと思った。

 とりあえず卵に魔力を流し込んでいると俺の頭を撫でながらチャミが話しかけてきた。


「シリューちゃん、ところで明日はどうするの? また坑道に行ってミスリルでも掘るの? 」


「そうだよな。ギルド長にあんなこと言っちまったから坑道には行きづらいしかといってランクが低いから討伐系の依頼も受けれないからさっさと別の街に行くか」


 俺の返事にチャミは黙ってうなずくと頭を撫で続けた。


 夕食の時間になったので卵を異次元庫に入れておく。

 何が生まれてくるのか分からないので席を外したときに危険な魔物が生まれて問題を起こさないとも限らない。

 その日の夕食を美味しいサボテン料理を味わって寝ることにした。


 翌日の早朝俺とチャミは朝日も昇る前に街門の近くに来ていた。

 昨夜食事を終えて王都アンチュウに行く事を伝えると「それなら朝一番の馬車に乗った方が良いわよ」と教えられたので素直に聞いた。

 馬車には俺たち以外にも数人いたが早い時間と言うこともあり開いている席が目立った。


 時間になり出発した馬車は他の馬車が街道に居ないということもありかなりの速度で進んでいく。その代わりかなりの振動が伝わってきてとても乗り心地が悪い。


「ちょっと聞きたいんだがかなり馬車を急がせているようだがいつものことなのか? 」


 他の同乗者に話を聞いてみるとポカンとした顔で見られた。


「もしかしてあんちゃんたちは始発の意味を知らずに乗ってきたのかい? 始発は移動の邪魔になる馬車や人の往来が無いから別名急行馬車って言われるんだ。ハギャシからアンチュウまでは普通の馬車で5日以上かかるが全部始発を使えば3日もかからない。まあその分料金も割増しになるが急がないといけない時なんかは助かってるよ」


 夕方にはハギャシから数えて4つ目の村に到着した。


「坊主たちは明日も始発に乗るかい? 」


 馭者が明日の始発に乗る人間を確認していたので断った。


「いや、俺たちは急ぎではないから普通の馬車で向かうことにするよ」



 宿で食事を済ませゆっくり休んで翌日は普通の馬車に乗り込んだ。

 見える景色ものどかに進み見える物に片っ端から心眼を掛けていく。


『低級薬草:傷薬の材料となるがあまり適していない』


『岩:石材に適している』


『劇毒草:触れるだけで毒に侵され解毒剤は発見されていない』


 何か良からぬものを見た気もするが俺が植えたわけではないので触った人間の自己責任だろうとスルーした。



 夕方には予定通りの村に着き前日よりも大きめの村だったが見て回るようなものはなさそうだったので宿でゆっくりした。

 翌朝乗った馬車であと2日でアンチュウにつくと聞いたので安心していたらトラブルに見舞われた。

 馬車の前方に10人ほどの盗賊が待ち構えていた。馭者が雇っていた冒険者が迎え撃っていたが決着がつく前に馬車の後方から30匹近くのゴブリンが奇声を上げながら突撃してきた。

 4人の冒険者は盗賊の相手で手一杯のようだった。


(俺とチャミは客として載っているが流石に知らん顔は出来ないよな)


 お飾りではあったが腰に下げていた剣でゴブリンどもをあっさり切り伏せる。

 冒険者たちも盗賊を倒してしまうと俺の方に駆け寄ってきた。


「すまない。客のあんたに討伐をさせてしまった」


「大したことじゃない。それに俺が勝手に出しゃばっただけだ。確認もせずに倒して悪かったな」


「いやいや、あんたが倒してくれなかったら馬車は襲われてしまっていたと思う。助かった」


 話もそこそこに倒した28匹のゴブリンの右耳と魔石を取り出すと火魔法で灰にしてしまった。


「あの手際は並じゃないぞ」「なんだよ、あの火魔法の大きさで無詠唱とかすげえな」


「お客さんのおかげで助かりました。これはお連れさんの分も合わせた運賃です。ありがとうございました」


 馭者が運賃を返して礼を言いに来たがありがたく受け取った。


 その後はトラブルもなく城壁に囲まれた大きめの街オンバに着いた。

 馬車を降りるときに護衛をしていた冒険者から報酬の件で話があった。


「さっきはあんたの手際に驚いていたが護衛の報酬について相談していなかった。これからギルドに報告に行くんだが付いて来てもらえないだろうか。5等分は納得できないと思うが何とか勘弁してほしい」


「それなら俺は必要ない。俺は得族の討伐には参加していないしゴブリンの魔石や耳は俺が全て貰ったんだから気にしなくていい」


「そうは言うがゴブリンの討伐も護衛のもごもごもごもご」


 リーダーらしき男が俺に食い下がってきていたが他のメンバーがリーダーの口を塞いで引きずって行きながら俺に頭を下げていた。

 律儀なのは良いことだし嫌いではない。軽く手を上げて了承の意思を伝えた。


 大きな街だったので数日滞在することにしたのでギルドは後回しにして宿に行く。

 相変らず宿はチャミの強い希望で同室に泊まることになる。本来はダンジョンマスターの意思を優先するのだろうが吸収した女将さんの意思が強く反映されていると思えば嬉しい部分もある。


 翌日ギルドでゴブリンの報告を済ませ報酬を受け取ると街を散策して回る。

 心眼で確認しながら見て回っていると魔法的な効果はなかったがチャミに似合いそうなペンダントがあった。

 買ってチャミに渡したが意味が分からず受け取ろうとしなかった。


「お前に似合いそうだったからプレゼントとして買ったから受け取れ」


 ようやく意味が分かったようで嬉しそうに顔を綻ばせていた。


「何か有効なスキルでも付与するか? 」


「壊れないように不壊を」


 俺の質問に被せ気味に返事をしてきた。


「壊れたらまた買ってやるから」


 納得していないようでふくれっ面になったので希望通り不壊を付与してやった。

 これで満足だろうと思い渡そうとしたが俺に背を向けてきた。


「やっぱりペンダントは要らなかったのか? 」


「シリューちゃんが付けて頂戴」


 振り返って頼んできたので仕方なくペンダントをつけてやった。

 振り返ったチャミはペンダントトップを持ち満面の笑みを浮かべていた。


 二人?とも不壊があるので防具も必要ないし主な攻撃手段が魔法なので武器も必要ない。

 ただ手ぶらだと色々まずいこともあるため剣を持っているが昨日以外ほとんど使っていない。

 それでも先日ミスリルを見つけたことでミスリルの武器に興味が湧いてほしくなってきた。

 武器屋を巡りながら心眼で確認をしていったが見つけられなかった。


 目立つ場所にある武器屋は見て回ったが見つけられなかったので諦めて帰ろうかと思っていると細い路地の奥から怒鳴り声が聞こえてくる。

 何事かと近づくと口論している集団で白髪で白髭の爺さんを冒険者風の男たち数人でとり囲んでいる。

 爺さんは赤ら顔で明らかに酒を飲んでいるようだが男たちは話の通じない爺さんに我慢の限界も近いようだった。


 中には腰の武器の柄を持って攻撃しようとしている者もいた。

 口論の内容が分からずどちらの言い分が正しいのかも分からないのでとりあえず弱めに怖禍威をだしてその場を収めることにした。

 驚くことに爺さんは嫌な顔はしているが特に苦しい様子は見せなかった。


「物騒な話が聞こえてきたのでいきなりで申し訳ないが介入させてもらった。とりあえず威圧を解くから事情を聞かせてもらいたい」


 出来るだけ丁寧な口調で話を聞かせてもらえるよう声を掛けた。


「オレ達もかなりの金を払っていたのに手に入れたのがナマクラだったからつい興奮しちまった。止めてくれて感謝するぜ」


 リーダーらしき男は行き過ぎていたことを理解してくれたようで話を聞かせてくれた。

 内容を要約すると金を貯めてミスリルの武器を作れるという鍛冶師を紹介してもらい作ってもらったが手にしたのはミスリルの武器とは名ばかりの全く使い物にならない剣だったらしい。

 金を返すか作り直すように鍛冶師である爺さんに話をすると金は飲み代に消えて武器は完成品だから作り直さないと主張が平行線だったという。


 爺さん曰く魔力を流さないと使い物にならないのは当たり前というが若い冒険者たちからすると流し込んでも変わらないという。


 どちらの主張もある意味間違ってはいない。鍛冶師としても魔力があれば使える武器を渡したし値段的にその程度の武器が限界で少ない魔力で使えるようにするには金額が足りない。

 実力不足だと言ってしまえば角が立つので遠回しに言っているが冒険者たちは気づいておらず自分たちの主張が正しいと思っているから引くに引けないのだろう。


 どうしようかと思っているとチャミが「シリューちゃんが買い取ってあげたら良いんじゃない」と耳打ちしてきた。


「ちょっとその剣を見せてもらえないか? 」


 リーダーらしき男が腰に下げていた剣を渡してきたので受け取り心眼で確認する。


『鉄の剣:刃にのみミスリルを使用したことで魔力を大量に流せば切れ味が増す』


 鞘から抜いてみると反りはないが日本刀のように片刃の剣で刃紋に当たる部分だけが青白くなっていた。


「試しに魔力を流させてもらって良いかな」


 リーダーに声を掛けて魔力を流してみると確かにかなりの量を流す必要があり刀身全体に魔力を行き渡らせると刃紋が浮かび上がるように淡い光を放っている。

 鉄の剣の割に軽くなった感じがして素早く振りぬけた。地面に落ちている石を放り上げて斬ると全く抵抗なく真っ二つになった。


 見ていた若い冒険者たちは驚き固まってしまった。

 気に入ったので俺が買うことにした。


「あんたたちがこの剣を使わないのであれば俺に売ってくれないか。爺さんに支払った金額を俺が払えばあんた達も文句はないだろう。爺さんも俺が買うことに文句はないだろう? 」


 冒険者たちは金が返ってくるならと了承し爺さんも文句はないようで黙って帰って行った。

 金を受け取った冒険者たちは頭を下げて帰って行った。思ったより礼儀は有る奴らだったので問答無用で斬りつけなくてよかったと思った。


「それじゃあチャミ帰ろうか」


 路地から大通りに方に行こうとすると先ほどの爺さんが声を掛けてきた。


「おい、銀髪の若造」


 俺も爺さんのことを爺さん呼ばわりしていたし名乗っても居なかったので仕方ないと思いながら振り返ると俺が買い取った剣より短めで脇差程度の剣を持っていた。

 爺さんが脇差ぐらいの剣を渡してきたので心眼で確認する。


『ミスリルの剣:総ミスリルの剣で魔力適合性に優れている』


 鞘から抜くと刀身全体が青みがかっておりびっくりして爺さんを見ると「持って帰れ」と捨て台詞を吐いてニヤリと笑って家に帰って行った。


 しばらく呆然としていたがくれるといったものなのでもらって帰ることにした。

 ただし江戸時代の武士ではないので腰に2本も剣を下げる気もなく鉄剣を腰に差すことにした。

 ミスリルの剣は異次元庫に入れておいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ