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フカイのフカイな異世界の旅  作者: アングリー尺損


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20/22

 港が小さくなってくると少し波が高くなってきた。周りに船も居ないので船体や帆に不壊を付与して浮塊で2mほど浮かせて帆に思い切り風を当てる。

 今までの速度の数倍は出ているようで振り返ると港は見えず微かにシャンバリアの山が見えていた。それでもすぐに見えなくなり全方位水平線になっていた。


 何かが海中を泳いで追いかけてきていたが追い付けず突き放した。

 昼前に出向したが夕方ごろには隣の大陸の形が見えてきた。

 流石に浮いたままでは驚かせてしまうので波も穏やかになったので着水して普通の舟の速度で港を探す。


 陸地を左に見ながら南下してくると舟が止まっている港を見つけた。

 風と水を操って舟を港に向かわせると陸に人の姿が見えてきた。

 背は低いが筋肉質で髭面の男たちが忙しそうに動いていた。


 俺の舟に気づいた誰かが声を掛けてきた。


「あんたたちはどっから来たんんだ? この大陸ではあまり見かけない顔だが」


「オレ達はシャンバリラからやって来たんだ。この港に舟をつけるのにどっかの許可を貰ったり使用料を払うことになったりするのか」


 舟の上から返事をすると怪訝そうな顔で俺たちや舟を見ていた。


「5日以上港に舟を止める時は港の使用量を漁師ギルドに払うことになるが港に入るのは問題ない」


「わかった。ありがとう。ちょっとその辺に舟を付けさせてくれ」


 空いている桟橋に舟を付けると俺とチャミは舟を降りた。

 舟もそのままではまずいと思ったので異次元庫に入れると男たちは驚いて声を掛けてきた。


「あんちゃんはシャンバリラから来たといったがあんなちっこい舟でよくこれたな。それにさっきのは収納魔法か。あんなの入れたら他の品なぞ何も入らんだろう」


 ちょっと怖々だが話しかけてくれるので答えていく。


「帆に風魔法を当てて急いで来たからそんなに大変じゃなかったが」


 そう言って周りを見るとこの国の舟は鉄でできているようで木造船は珍しいのかもしれない。


「あんちゃんは運が良かったんだろうな。この頃の海は波が荒く風も方向が定まらないもんだから船乗り泣かせって言われてんだ。あと1月もすれば少し収まって行き来しやすくなるんだがな」


 話を聞いてタンセーの街で舟を出さないのにはこれも原因の一つだったのかもしれないと今になって思った。


「ところでここはアンリケ大陸の何という国なんだい? 」


「この大陸には偉大なドワーフ王が統治するアリユサキ王国しかないぞ。ちなみにこの港町はジンギュでもう少し南に行くと大型の商船も入港するハギャシの街がある」


「この大陸の大きさは知らないが一つの国で統治するというのはすごい国なんだな。王様の統治も行き届いているから反発する者もいないということだろうから素晴らしい王様なんだな」


「あんたは人族だが話が分かるじゃないか。この大陸の真ん中あたりに大きな火山があってその麓に王都のアンチュウがある。ハギャシからは広い街道も通っているから行ってみると良い。」


「それは行ってみる必要がありそうだな。ただ今からここを出てハギャシという街に今日中に着けるだろうか? 」


「そりゃあ、ちょっと難しいな。何日もはかからないが歩いていくなら朝から出ても夕方になっちまう。今日の所はこの街の宿に泊まっていくといい。俺たちが捕ってきた魚も上手く料理してくれるから楽しみにしてくれ」


 教えてもらった宿に行き一晩泊めてもらうことにした。宿で出された料理は焼く蒸す揚げると色々な調理法で魚を美味しく食べることが出来た。

 料金を支払う時になってそういえば俺たちが持っているのはシャンバリアのお金だけだったと思ったがどうやら世界共通らしく問題なくリルダで支払えた。


 街を出る時の兵士に盗賊や魔物に注意するよう言われたがいくら良い王様と言えども盗賊などを完全になくすことは出来ないのだなと思ってしまった。


 街を出てしばらくは草も生えていたが1時間も歩くと辺りは殆ど草も生えておらず岩が転がっている荒れ地が続いていた。

 どんな魔物が生息しているのか気になったが襲われることはなく陽が暮れ始める前にハギャシの街に着いた。


 街に入る前に身分証の提示を求められたのでギルドのカードを見せた。


「お前たちはこの大陸で冒険者登録をしていないのか」


「シャンバリアでは冒険者として活動していたがもしかしてこの大陸ではまた登録し直す必要があるのかい」


「そうだな。どうしても魔物の種類なども違うので再登録をしてもらうことになる。なぜかあちらの大陸よりも魔物が狂暴であっちから来た連中をそのままのランクで依頼をしても失敗することが多かったらしい。再登録というか審査をし直すことになる」


 確かに能力に差があるのなら前に居た大陸のランクは当てにならないだろうから仕方ないなと思った。

 街に入る際の身分証としては問題ないそうなのでそのまま入れてくれた。


 聞いていた場所に向かい冒険者ギルドに入ると登録をすることにした。


「シャンバリアから来たんだがランクの修正が必要だと聞いてきたんだがどうすればいいんだ」


 受付で話を聞こうとしたがやる気のなさそうな職員が出てきた。


「あー、再審査ですか。とりあえず持っているカードを見せてもらって良いですか」


 カードを見せると何やらブツブツ言いながら機械のようなものを操作している。


「えーと、Bランク、Bランク?、うーんあんな弱っちい体でBランクのはずないからどうせ金に物を言わせたボンボンだろうから一番下でも良いけどそれだと文句を言ってくるだろうからEランクで良いかな。ホントは職員との模擬戦で判断するけど呼びに行くのも面倒だしそんなシステムなんて知らないだろうから3段階降格という事にしよう」


 渡されたカードにはEランクと表示されていたがランクにこだわりはなかったのでそのまま受け取った。

 おススメの宿を聞いたので泊まることにして部屋で寛いでいた。

 部屋に入ったときはチャミが立ったままだったので好きに寛げとは言ったがなぜか俺の膝の上に座って嬉しそうにしている。


 最近特に女将さんと同じような仕草をすることが多くなり女将さんが生き返ったのではと思う瞬間がある。

 そのため膝から降ろすことはせず好きにさせている。実際スライムの筈なのに触れている場所から温かさを感じて心地いいとさえ思っている自分が居る。


 夕食の時間まで過ごしていたが下から美味しそうな匂いがしてきたので食堂に降りていく。

 既に食堂には多くのドワーフたちが座って酒盛りを始めていた。

 何の肉か分からないが美味しそうに焼かれておりかかっているソースは食欲をそそる良い匂いがした。


 とりあえずおすすめの料理を頼んで待っていると他の客も頼んでいたステーキのような焼かれた肉とサボテンの角切りにドレッシングのようなものをが掛けられたものだった。


「悪いがサラダのようなものは無いか? 」


「そのサボテンサラダがウチの一番売れてるサラダだよ。あーもしかして人族のお客さんだから葉物の野菜を考えているならうちには置いてないよ。この辺は野菜が育たないから人族の大陸から買って来るんだけど輸送費もかかっちまうからウチみたいな大衆店では手が出せないんだよ。まあそのサボテンも栄養満点でウチの客たちは病気知らずだから食べてみなよ。味は保証するよ」


 料理を運んでくれたごつい体の女は豪快に俺の背中をバシバシ叩いて去って行った。

 確かに肉との相性は抜群で濃い味の肉の後に食べると口の中がさっぱりしてまた肉が食べたくなる味だった。


 料理を堪能していると言い争う声が聞こえてきた。話が聞こえる範囲ではお互いの嫁が最高だという内容の口論だったらしいが喧嘩かと思ったら机には大量の酒が並べられている。

 どうやら飲み比べでどちらの嫁が勝っているのか決着をつけるらしい。


 片や別の机では自分の作った武器が一番だったと言い争う連中が居てこちらは腕相撲で決着をつけるようだった。

 何とも平和的な解決方法でドワーフの人柄というか気性を表しており大きな争いにならない原因だと思った。


 食環境にも納得して料理を満喫して翌日は街を見て回ることにした。

 港町と言う割には魚などを提供している店が少なかった。話を聞くと輸出用の武器などを作る鍛冶屋が多くあるらしく食材などは基本的に他の街から買ったり冒険者の狩ってきた魔物を活用しているとのことだった。

 輸出する武器はかなりの値段で取引されているようで夢を求めて鍛冶師になる者が集まってくるらしい。


 暫くこの街で過ごしてみようということになりギルドで依頼を受けることにした。

 ギルドの依頼を貼りだされている掲示板を見てみると降格した俺のランクでは真面な依頼は無かった。正確には有るにはあったが下水道のトカゲ退治やサボテンに寄ってくる虫型の魔物の駆除ぐらいだった。


「悪いが魔物の討伐依頼は受けれないのかな」


 受付でカードを見せてそれとなく聞いてみたが相手にされなかった。というか無理をしないよう注意された。


「えーっと、そのランクでは魔物のエサになるだけなので辞めておいた方が良いですよ」


 人族の冒険者は少なく力が弱いと思われているようで併設されている酒場で飲んでいたドワーフの冒険者から笑われてしまった。


 今の俺のランクで実入りが良いのは鉱石の採掘だったので掲示板の依頼書を取りに行こうとしているとチャミが俺を笑った冒険者たちに飛び掛かろうとしていたので宥めて腕を掴み掲示板に向かう。

 掲示板から依頼書を外し受付で処理してもらい街から馬車で2時間ほどの場所にあり鉱山に向かった。

 俺たち以外にも鉱石を採掘する者がいるようで馬車に乗り合わせていたがここでは揶揄われることはなかった。ただ見た目がメイドなチャミは馬車の雰囲気に溶け込めていなかった。


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