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このまま村で平穏に暮らしても良いのだがこの世界には他にも大陸があるらしいので世界を見て回ることにした。
シャンバリア大陸を回っている時に聞いた話では東西南北に大陸は有るらしいが東側にしか航路はないらしい。見た目は海も穏やかで船で行けそうに見えるが山のような大型の海獣の住処になっているようで今まで数多くの冒険者が挑戦したらしいが船の残骸が流れ着くことは有っても生きて帰ってきたものは居ないらしい。
俺なら何とかなるかもしれないが敢えて危険を冒したいわけではないので東へ向かうことにする。
それぞれの国に幾つか港は有るが東の大陸への直通の港はディプブ共和国のタンセーという港町らしい。
シャクショー公国の街を回り冒険者のランクを上げるため依頼を受けながら東に向かっていく。
海岸線を北上してタンセーを目指した。
途中で成り行き上仕方なく助けた商人を襲っていた魔物が強い個体だったとかで商人が買い取ってくれたが出所を自慢げに話すのでギルドから呼び出しを受けた。
偶々攻撃が上手く効いて倒せただけだと誤魔化したがギルマスが問答無用でBランクにしてしまった。
受付嬢のミスで一気にランクが上がった事を周りに知られてしまい長年かけてようやくBランクになった冒険者が卑怯な手段でランクを上げたに違いないと喧嘩を売ってきた。
チャミが怒ってその冒険者を殴り倒してしまったのでギルド内は騒然としたがまずいと思って街を飛び出した。
何故チャミがあの冒険者を倒せたのか訳が分からず心眼で確認した。
『チャミ:擬態バトルスライム
HP 134、MP 257、攻撃 337、防御 406、敏捷 368、魔力 584、知力 667、運 97
スキル:U補食強化A R感情復元P S調理A R洗濯A R掃除A R裁縫A U不壊P 』
種族が変わりいつの間にか進化していた。見た目は女将さんのままだったので気づかなかった。おまけにスキルも少し変わっており魔物の素材を捕食することで自分を強化できるようになっていて納得できた。
行く先々で高ランクの依頼を頼まれ仕方なく受けて解決していった。
報酬だけでかなりの金額になってきたが特に欲しいものはなかったのでそのまま貯めておいた。
ようやく着いたタンセーの街は他の大陸との交易で栄えており見たこともないような食材や品が並べられていた。
いつもこんなに賑わっているのか店の人に聞いてみるとこのタンセーの街が出来た日を祝って祭を始めたのがきっかけで今では毎年多くの商人や客が集まってくるらしい。
年に一度の祭りに行き当たったのなら楽しまなければ損だろうということで見て回ることにした。
食器などの器やこの大陸では見たことが無い武器など色んなものはあったが中でも特に目を引いたのは米と香辛料だった。
この世界に召喚されて二度と食べれないと思っていた米があった。
残念ながらこの大陸ではなく隣りの大陸で作られているらしくそれなりの値段で大量購入は出来なかった。
香辛料に関しても色んなものを組み合わせて作られた料理を食べてチャミが作り方を聞き出していた。
ほとんどの出店を食べ歩き満足したので次の大陸に行くため港に行ったが驚きの真実を告げられる。
「すまないがアリンケ大陸に行く船で一番早く出港するのはいつになるかな? 」
「あんたら何言ってるだ。まだ祭りも始まったばっかりで船がでるわけないべさ。おらたちの船は祭で商品を売ってしまってから持ち帰る品を買ってそれから船の準備をしてからの出発だども他の船もたぶん同じような段取りだべ」
言われてみれば確かにその通りで持ってきたものを売り切って元の港に持ち帰る品を買わずに帰る船はないだろう。この世界の物流能力を詳しくしらないが少なくとも無駄がある状態で船を出すことはない。
「おかしなことを聞いて悪かった」
とりあえず作戦を考えるためその場を後にした。
多くの船が停泊しているがどの船も頼れない。祭が終わる10日後まで待とうかとも思ったが既に祭は堪能してしまったので飽きて来るに決まっている。
浮塊で飛んで行くことも考えたが行き先までの距離や方向なども分からず無暗に飛び出すべきではない。それにいざ休憩したいとき足場になる物が無いのは困る。
そんなことを考えていると港の端に小舟が集まっていた。
「すまないがこの舟は何の舟なんだ? 」
小舟の近くで作業をしていた男たちに話を聞く。
「おいらたちは魚を捕ってるだ。祭を見に来た客が多いから食堂やら宿屋がどんどん買ってくれるから稼ぎ時なんだ」
確かに男たちの手元には網のようなものがあり手入れをしているようだった。
「ちょっと聞きたいんだが使っていない大きめの舟はないだろうか? 」
流石に小舟で大海原に飛び出す勇気はないので少し大きな舟を買おうと思った。
「使っていないというか使えない舟ならあそこにあるべ」
指さした先には地球で言うクルーザー程度の舟が停泊しており鎖でがっちりと係留されていた。
「あれはどういう事なんだ? 」
「あの舟の持ち主が借金をこさえちまってカタに差し押さえを食らっちまってるのさ。あんちゃんが金を持ってるんならあれを買えば好きに使って良いと思うべ」
早速家を聞いて持ち主の所にいく。
「すまないがここはスーカンピンの家で間違いないか? 」
締め切られたドアの前で声を掛けてみたが反応がない。
「港に有った舟を買いたいんだがスーカンピンは居ないのか? 」
舟を買うと聞こえたのかすごい勢いでドアが開けられた。
「舟を買ってくれるべか。いくらなら買ってくれるべか」
「いくらなら売ってくれるんだ。俺が出せる金額ならその金額で買っても良いぞ」
下手に金額を提示して吊り上げられても嫌だったので先に金額を言わせることにした。
スーカンピンはしばらく考え込んで考えがまとまったようで金額を告げて来た。
「200万リルダだ。金貨2枚であんたに売るだ」
(200万リルダってことは2千万円ぐらいってことだよな。地球で舟なんて買った事ないけど二千万円も出せばかっこいいクルーザーでも買えるんじゃないか)
少々納得できない金額ではあったがこいつが舟を失うってことは仕事が出来なくなるということだから生活保障って奴を考えると妥当なのかもしれないし懐には金貨どころか白金貨まで入っているのを考えると素直に払うことにした。
「分かった。それじゃあ金貨2枚だな。確認してくれ」
懐から出すふりをして異次元庫から金貨を2枚取り出し渡す。
まさか即決で払うとは思わなかったのか驚いていた。
動かすには差し押さえた商会にも伝えないといけないので話をつけに行く。
アコーギ商会へスーカンピンと一緒に行って話をつけに行く。
店に入ると目つきの悪い連中が出迎えてくれた。
「おー、スーカンピンじゃねえか。嫁さんの治療費として貸した五十万リルダは準備できたのか。いくら利子は取らないと言ったが早くしないといつまでも舟は返せねえぞ」
(柄が悪いので揉めるかと思ったらめっちゃ良心的でスーカンピンもギャンブルかと思ったら奥さんの治療費とか言ってるし疑った俺がめっちゃ心が濁ってるじゃないか)
「はい、こちらの人が舟を買ってくれるというのでお金は準備できましただ。それで借金を払うので鎖を外して貰いてえだよ」
スーカンピンの話を聞いた強面の男が俺に寄ってきて顔を覗き込んでくる。
「どこのどいつか知らないがあの舟は最新式で百八十万リルダはするんだぞ。足元見て買い叩いたんじゃねえだろうな」
(うわー、スーカンピンもそこまで吹っ掛けたわけじゃない金額設定してる。疑ってホントごめん)
「いえいえ、その人はオイラが言った金貨2枚を即決で買ってくれたんだべ。とてもいい人だ」
(ホントにごめん。疑ってた俺が悪かったから褒めないで。申し訳なさ過ぎて顔を直視できなくなる)
あまりの申し訳なさに黙っていると強面の男が謝ってきた。
「そうなのか。疑って悪かった。頑張っているこいつを助けたいと思って金を貸したが金を工面するために漁に出るかもと思い差し押さえたんだ。あの舟は一人では操作できないんだ。奥さんの病気が完全に治る前に一人で漁に出ては行けないと思ってな」
(2人の話を聞いていて見た目で判断した自分を罰してやりたい気持ちになる)
「いえ、俺の方も丁度舟が必要だったので助かりました。鎖は自分で外せると思うので舟は頂いていきますね」
俺はこの場に居るのがつらくなりさっさと商会を出て港に行った。係留してある鎖を腐界で壊し舟に乗る。
帆を広げ風魔法で風を当てると舟が進みだした。
舵取りも何となくではあったが出来たので港を出てアリンケ大陸の有る東南東方向に向かって進んでいく。




