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シリューside
とりあえず女将さん達の恨みは晴らせたと思うのでこれからどうしようかと思っていたが特に目的もないので一旦ドイナーカ村に戻ることにした。
待機させていたアビスリッチとドラゴンゾンビを連れて村の近くのダンジョン入り口から入って住処を準備する。地下5階層の一部に広めの空間を作ってそこで過ごさせることにした。
食事も睡眠も必要ないので好きにさせることにした。
豊穣亭に戻ってくると隣のおばさんとマータギーさんが掃除をしていた。
スーガラキ王国が滅んだことであちらの国から人間が来ることはないしシャクショー公国の役人もほとんど来ることはないしそもそも村に泊まっていくことは今までもなかった。
つまり宿屋は必要ないという事だった。
避難民たちが通って行ったこともあったらしいが少しでも離れたいという気持ちがあって留まることはなかったらしい。
隣国のごたごたもあるしダンジョンがあると報告もしていないので冒険者が来ることもない。
でもこの村はそんな静かな雰囲気で良いと思う。
宿の使っていた部屋でのんびり過ごしチャミの料理を食べていると避難民に付けていたキラーバットたちが続々と帰ってきた。
街に送り届けたが騙される人も居ると聞いた。
おまけに広大な土地の所有者が居なくなったことで周辺の国が慌ただしくなっているという。
今まで迷惑を被っていた周辺国がこの機会に何もしないということはないだろうとは思っていた。
荒れ地になるよりはマシだろうと思ったので放置しようとした。
ただ何となく気になったのでチャミを連れて国境付近を散策することにした。
ダンジョンで食料を確保してチャミに料理を作り置きして貰い異次元庫に入れていつでも食べれるようにして出発した
村を出て東に進んでいくと大きな山がありそれを越えるとディプブ共和国になるらしい。
歩いて越えるのは面倒なので飛んで山を越えると荒れた平原が広がっていた。
出てくる魔物も岩のようにゴツゴツした皮膚を持つトカゲや硬い甲殻を持つ昆虫で普通の剣では刃こぼれしてしまいそうな魔物ばかりだった。
魔物を倒しながら進んでいくと街が見えてきた。
「ようこそアプラジャの街へ。あなたたちもスーガラキから逃げてきたのですか? 」
街の入り口では兵士が俺たちに声を掛けてきた。
「いや、俺たちはシャクショーからスーガラキを抜けてこっちに来た」
流石に山を飛び越えてきたとは言えず無人になった国を抜けてきたと話すと信じてくれた。
「確かにあの国は今や国境を守る兵すらいない状態なので山を越えるより簡単ですもんね。なんせ山には恐ろし魔物が住んでいると言われてますから我々も今までシャクショーに行くには高い通行料を払うか危険な海を船で移動しないといけませんでしたからね。ところでお二人はなんで我が国へ来られたんですか? 」
今までの和やかな表情から真剣な顔になりこの国へ来た理由を聞いてきた。
「大した理由はないが武者修行と言えばかっこいいがあの国の話を聞くと少しでも強くなって置かないと守りたいものが守れないからな」
冒険者のカードを見せるとFランクと低いことを見て元の笑顔になっていた。
情報収集のためスーガラキの街で依頼を受けていたのでFランクには上がっていたが最低のGランクの上なので大した実力はないと思われたようだった。
「ウチの街はあの国の近くと言うこともあって今なら色んな依頼が出てると思うからランク上げや鍛えるにはうってつけかもしれないですね。頑張ってください」
街の中に入るとなぜか物々しい雰囲気になっていた。
とりあえず宿に泊まるとなぜか2人部屋に泊まることになった。
一緒の部屋に寝ると起きたときに俺のベッドにチャミが潜り込んでくるので別の部屋にしたかったが頑として譲らなかった。
部屋でゆっくりして食事のための居りてくるとかなり繁盛しているようでほとんどの席が埋まっていた。
宿の女将に声を掛けると席を準備してくれたのでおすすめ料理を頼んだ。食事を待っている間も周りの会話をそれとなく聞いていると色んな話が聞けた。
この街の統治者である部族長の弟が兵士や冒険者を募ってスーガラキの領地を奪おうとしているらしい。
まあ使っていない場所だから好きにすればいいかと思っているとどうもスーガラキから逃げてきた人間たちを騙して奴隷にして戦力にしているらしい。
スペクターに指示をして情報を集めさせることにした。
部屋で待っていると連絡があり聞くと移り住んだ者たちに金を貸したうえで借金奴隷としてコキ使っているという。その中でも戦闘が行えるものは今度の作戦に強制参加し新しい国境としての砦建造に従事させることになっているという。
しかも借金の原因となっている支払いに関しても敢えて高値の請求をして払えないように仕向けていたという。
つまり取り立てと貸す人間のマッチポンプで最初から奴隷にするための作戦だった。
おまけにこの街の統治者の指示だったことが分かりそのままにはしておけないと仮面をつけることにした。
屋敷に入るとスペクターに案内してもらい統治者の寝室にお邪魔する。
「ちょっと聞きたいことがあってお邪魔させてもらうが大声を出さないようにな。俺の機嫌を損ねるとこの屋敷の人間が全て死ぬことになる」
怖禍威をほんの少し漂わせると顔を青くして激しく頷いている。
「小耳に挟んだのだがあんたは戦力や労働力を確保するために移住してきた人間を騙したというのは本当のことなのか? 土地代や税金と称して法外な金額を請求しておいてお前の配下の金貸しが高い利息で貸して返せなくなったら奴隷にしているというのは本当なのか? 」
返事がなかったので少し怖禍威を増やすとガクガク震え出した。
「おお、すまんな。あまりに鬼畜の所業に思わず感情が昂ぶってしまった。まさか民の生活を守るべき人間がそんなことしていないよな」
返事が出来ず困っていたので助け舟を出す。
「まあ、もしそんなことをしていたとしても人間なんだから過ちは有るさ。そこで過ちを正せるからこそ人の上に立てるんじゃないのかい。俺はあなたが立派な人間だと信じているよ」
怖禍威を止めて部屋から出ようとしたときに振り返って声を掛ける。
「俺は見ている。俺の信頼を裏切るようなことがあれば命はないと思え」
低く冷たい声で脅しをかけると怖禍威を使っていないのに気絶してしまった。
宿に帰るとチャミは案の定俺のベッドに寝ていたので俺がチャミのベッドで寝ることにしたがなぜか女将さんと同じ匂いがして目頭が熱くなった。
翌朝街の入り口には移民たちに向けての告知がされていた。
『スーガラキ王国からの移民者への税や料金について誤解があり過分に徴収していた。返還を行い奴隷からの解放も行うため該当する者は申し出て欲しい』
金がないことで悪事を働いたもの以外は奴隷から解放されたので安心した。
ただ多くの移民を受け入れてこの街の人間にも迷惑をかけているのは事実なのでご褒美を上げることにした。
「流石は俺が信頼した優秀な人だ。そんなあなたにこれを渡しておくよ」
金の延べ棒を10本程床に置いた。
「上に立つ人間は綺麗ごとだけではうまくいかないだろうがあなたならきっとやり遂げてくれると信じている。これは少ないが俺からの援助だと思って欲しい」
光魔法で姿を消して屋敷から離れた。
数日街に滞在していたが領地を拡大する事業として正式に移民を雇い新たな国境を作っていくことになった。
キノさんにそれとなく様子を見るように連絡をして次の街へ移動することにした。
他の街でも似たようなことをする奴がいたので懲らしめて改心する者には援助を行い開き直る者には目覚めない悪夢を見せておいた。
故郷を潰し追い出した責任として多少は面倒を見れたかなと思いスーガラキ王国の国境周辺を一回りしてドイナーカ村に帰ってきた。
各国を見て回って分かったことは王を殺し城をダンジョンに変えたということと勇者と言われていた者が城に乗り込んだが返り討ちにあったとかでキノさんは世間では魔王と呼ばれており真の勇者の出現を願われていた。
それを言うなら俺が魔王になるのだがキノさんに迷惑をかけてしまっているが宜しくお願いしたい。
お願いついでに周辺国で悪さをするようなものが居ればそれとなく威圧しておいてもらうよう頼んでおいた。




