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安堂 曜子side
ウチは小学校の頃いじめを受けていた。そんな時深井君が助けてくれた。それでもいじめは無くならずウチは逃げるように転校した。
新しい学校では校長先生の方針で武道の授業があり体と心を鍛えると言うものだった。そんな学校だったのでいじめなど無く体を鍛えたことで中学ではウチに逆らうものは居なくなっていた。
復讐をしたいとは思わないが深井君に会いたいと思って昔住んでいた地域の子たちがほとんど行くような高校を受験した。
小学校時代の奴らが居るかもしれないと思い気合の入った格好で行く事にしたがウチのことを覚えている奴は居なかった。深井君を見つけることは出来たがウチのことは覚えてくれてなかった。少しショックだったがあの時とは見た目が変わっているので仕方ないかと受け入れた。
残念ながらクラスが一緒になることはなく3年になってようやく同じクラスになった。それでも共通の話題が無く話しかけるきっかけを作れなかった。
そんな時訳の分からない場所に飛ばされ自分の能力を調べさせられた。ウチの鑑定が終わり誘導されたが深井君の結果が気になりこっそり覗き込んだ。
「なに、深井のステータス低すぎない? 」
うちが思わず呟いた言葉を聞いて深井君が鏡から手を放してしまった。そのせいで係員から怒られていたので謝りたかったがそんなことが許されるような雰囲気ではなく次の場所へ移動させられた。
食事をしていたが深井君を見ると周りから避けられているようだった。小学校の時の自分を思い出してしまい深井君の所に行こうとしたが一緒に食事をしていた筋骨隆々の男たちがウチの近くに来て話しかけてきた。
「確か攻撃やHPがかなり高かった子だよね。俺たち盾騎士の部隊に居るんだけど一緒に訓練をしようよ」
「そうだよ。君の力なら盾を使うことをお勧めするよ」
「分からないことがあれば俺たちがしっかり教えてあげるからさ」
色々教えてくれるのはありがたいが今ではないと断りたかったが下手な断り方をして逆恨みをされても困ると思い無理に話を切れなかった。
王女 ミーコ・スーガラキside
王である父の発案で異世界から戦力を呼び込むという事だったが大量の魔石や奴隷などの生贄を使ってようやく呼び出せたのは15人だった。確かに過去の勇者と同様のスキルや高いステータスの者も居たが他がぱっとしない。
それにしてもあのヒロエという男は感情が顔に出て操りやすい。逆にハルノとかいう女は色々話を聞いてきてこちらのすることに反抗してくる。何か対策が必要だなと思ったのでビキーニャ魔法大臣を呼び出した。
「ミーコ姫、お呼びでしょうか」
「ビキーニャ卿、今回の召喚した者たちのことについてだ。あのヒロエには女をあてがい篭絡すれば簡単に操れるがホウトクという男とハルノという女には従属の腕輪を渡しておけ」
「腕輪でございますか? 逆らわぬよう隷属の首輪を使用してはいかがでしょう」
「馬鹿者、逆らうことはなくなるがそれではスキルやステータスの力を十全に発揮できんではないか。数少ない有力なコマは大切に使わんと損であろう」
「おっしゃる通りにございます。確かに考えを誘導するだけの従属の腕輪であれば強制力がないのでステータスの減弱は起こりませんね。さすがは姫様です」
「フン、ビキーニャ卿も分かっていて言ったのであろう。それよりゴミは捨ててしまうのが良いのではないか? 育てるにしてもどれぐらい成長するかもわからん奴に金も手間も掛ける必要は無かろう」
「かしこまりました。腕輪とゴミ掃除はわたくしの責任でしっかり行ってまいります」
「待て、召喚した者の扱いについては分かっているだろうな」
「はい、存じております。召喚者を粗末に扱うと天罰が下ると言うものでございますね」
「そうじゃ、多少の装備や金銭を持たせていつもの場所に送るように」
姫と魔法大臣は悪い笑顔を浮かべていた。
深井side
食事が終わり部屋に案内されたが案内してくれたメイドさんも僕を見て何とも嫌な顔をしておりこれがスキルの効果なのかと思った。
部屋を見回してみるとベッドやテーブルなどはあるが最低限と言った感じだったが明日からは訓練もあるという事だったのでベッドん入ろうとするとドアをノックする音がした。
「夜分に失礼。大臣から大切な話があるということなので一緒に来ていただきたい」
鎧を着た兵士が3人で僕の部屋に来て事情を説明してきた。呼ばれているのなら行くしかないと思い兵士に付いて行く。
案内された部屋に入るとビキーニャ魔法大臣が待っていた。お酒でも飲んでいるのか少し顔が赤く機嫌は良さそうにしていたが僕の顔を見た瞬間台所のGを見たような殺気を帯びた視線を向けられた。
おそらく僕が授かった不快というスキルのせいだろうとは思うが呼ばれた要件を尋ねることにした。
「お話があるという事でしたがどういった内容でしょうか? 」
「要件というのはあなたにはこの城から出て行ってもらいます。あの時は気が付きませんでしたが改めて美味しいお酒を飲んでいたのにも関わらずあなたを見た瞬間不愉快な感情が湧き上がってきました。食事中の様子を聞いていてもお世辞にも良い雰囲気とは言えないようですね」
魔法大臣から発せられた言葉は真実を射ておりクラスメイトから向けられる視線は居心地が悪いどころではなかった。何とか返答しようとしたが誤魔化すことも出来ず黙っていると驚きの言葉を耳にした。
「こちらに少なくとも1月は暮らせるだけの金貨を用意しています。それとこれは城の兵士たちが装備している短剣や鎧になります。これをもって今すぐ出て行ってください」
「今すぐですか? 回りは暗くなってしまってますし明日の朝からではダメでしょうか? 」
時間を稼いだからと言って状況が良くなることはないと分かっているがいいアイデアを思いつくまで城に留まらせて欲しいと思ったが大臣の言葉で諦めがついた。
「明日と言いますが明日になったらまた明日と出来ない人間は結論を先延ばしにします。わたしは行うべきことはその時に行うのがベストだと思っています。よってあなたには今すぐ出て行ってもらいます。ただし城門は夜間の開閉が行えませんので特別に転移の魔法陣を使う許可を与えます。場所や魔法陣の使い方はそちらの兵士たちが知っていますのですぐに向かってください」
丁寧な言葉ではあったが反論を許さないと言った意志を感じたため兵士に連れられ魔法陣の有る部屋に来た。
小さな部屋の中央には丸の中に幾何学模様を組み合わせたような図形が書かれておりこれが魔法陣かと思っていると兵士が催促してくる。
「ワシ達も早く休みたいから急いでその丸の中に入って貰えるか」
確かに夜遅くになっているのは分かっていたので急いで魔法陣の中心に立つと兵士の人が壁際の水晶に手を振れると魔法陣が光り出し目を開けれなくなった。
浮遊感を感じたと思って目を開けると足元に床はなく落下している。かなり下の方にうずたかく積まれた何かがあるが固いものでないことを願い体を強張らせた。
安堂 曜子side
安堂は結局深井と話も出来ないまま食事が終わって部屋に案内され明日からのことを含め色々考えていた。
明日からの訓練でも一緒にやろうと誘われて悪い気はしないけど折角深井君と一緒のこの世界に来たんだから仲良くなりたいし助けてもらったお礼も言いたい。
転校してから8年以上経ってるしウチの見た目も変わってしまったから分かってくれてない気がする。
ただ深井君のステータスって言うのが低かったから一緒に訓練が出来るのか分からないけど明日こそはチャンスがあれば話しかけよう。
それにしてもウチが使って良いと言われた部屋はキンキラキンで目がチカチカして眠れるのか不安になる。
そう言えば後で風呂に案内するって言ってたけどウチはクラスでもかなり浮いてたから他の女子とあまり関わりないから一緒に風呂に入るのは抵抗があるんだけどな。
まあ見られたからって笑われるような体はしていないから開き直ればなんとかなるっしょ。
広江 幸永side
「ヒロエ様、お食事を準備しておりますのでどうぞこちらにおいでください」
僕は超美人なリアルメイドに案内されながら食事場所に向かっていく。しかし他のクラスメイトの姿が見えず不思議に思っていたら貴族たちの社交場に案内された。
「あのー、これはどういう事でしょうか? 食事という風に聞いていたんですが……」
「他の方と違いヒロエ様は大変優秀でいらっしゃいますので姫様の計らいで貴族の方との交流を持っていただくことになり一緒にお食事を摂られてください」
案内してくれたメイドさんに話を聞くとそんな返事が返ってきたがどうすればいいのか不安になってきた。
今までも強い者の後ろに隠れて当たり障りなく過ごしてきた僕がいきなり貴族との交流と言われても正直困ってしまう。でもここから逃げることも出来ないだろうから何とかするしかない。
覚悟を決めて部屋に入ると数人のドレスを着た女性が寄ってきた。
「あなたが姫様も褒めていた異世界から来られた大変優秀なヒロエ様ですか? わたくしは公爵の三女でディナラと申します。以後お見知りおきを」
「まあ、ディナラ様抜け駆けはよろしくありませんわ。私は伯爵の四女でライサですわ。今度一緒にお買い物などいかがですか? 」
「それならあたくしとお食事に行きませんこと? わたしは子爵の二女でインナと申しますの」
その後も若くてきれいな女の人から色んなお誘いを受けた。
その後は彼女たちのお父さんである貴族家の当主たちも僕に声を掛けて困ったことがあればいつでも相談に乗ると言ってくれた。
ここまで来ると流石の僕も期待されているとともに気を使うような存在なのだと分かってきた。
僕のステータスでどれぐらいのことが出来るのか分からないけど訓練でその辺も分かってくると思う。
明日からは頑張るけど今日はとっても良い匂いがする女の人たちに囲まれてとてもウキウキしている。




