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シリューside
呆然としたままどれほどの時間を過ごしたのか分からないが村人たちの遺体が腐敗しないように異次元庫に保管することにした。
全員を保管し終わると改めて破壊された村を見て心が締め付けられる。
卵に固執せず早く帰ってくれば助けられたのではないか。
村の家々に不壊を付与しておけば逃げ込んでやり過ごすことが出来たのではないか。
俺がダンジョンを破壊しなければこの被害はなかったのではないか。
城の地下のダンジョンを破壊したときに城もろとも壊してしまえばよかったのか。
どうすればよかったのか答えは出ない。
おそらくスーガラキ王国の連中はまたここにやってくるだろう。仕返しするために村を元の状態に戻す必要があり戻してから不壊を付与しても良いがダンジョンコアを持っているのでこの村をダンジョンにしてしまうことにした。
ダンジョンは基本的に破壊不可で破壊されても魔力を消費して元の状態に戻る。
それにコアに命令すれば必要な物資などの調達も簡単になる。ここがスーガラキ王国に復讐するための俺の拠点となるのでしっかりしたものを作っていく。
ダンジョンにしてから家の形を戻しても良かったが何となく俺の力で村を戻したかったので魔法を使ってではあったが30軒以上の家を全て修復させた。
コアを置く場所だが宿にしようかと思ったが村の中心は村長の家だったので村長の家にコアを置いてダンジョンとして村を登録させた。
次に召喚するモンスターだが選択肢に擬態スライムというのが居た。
説明では吸収した生き物に擬態することが出来る。人間を吸収した場合しゃべるには一定以上の知力が必要とあった。
村人分の擬態スライムを召喚した。
まずはダンジョンのボスをしてもらう村長の遺体を出してスライムに吸収させる。
名前をグラトンと命名して不壊を付与する。マータギーさんや宿の隣のおばさん、口は悪いが実は小心者の村の若者、最後に女将さんを吸収させてチャミと名付けた。
こんなことならホントの名前を心眼で見ておくんだったと後悔している。
好きな人の秘密を覗き見るわけにはいかないと意固地にならなければよかった。
ふとチャミと名付けたスライムが俺のことをじっと見つめている。
全てのスライムに不壊を付けているので死ぬことはない。それぞれの家を教えて後は自由に過ごさせることにした。
チャミにも宿に行くように言ったがなぜか俺のそばから離れようとしない。
心眼で確認して驚いた。
『チャミ:擬態スライム HP 30、MP 43、攻撃 24、防御 21、敏捷 24、魔力 61、知力 43、運 11
スキル:R吸収A S擬態A R感情復元P S調理A R洗濯A R掃除A R裁縫A U不壊P
ドロップ:スライムゼリー6、空3、調理1』
見た目だけでなく吸収した物のスキルなんかも再現できているし感情も残っているようだった。
つまりチャミさんは俺のことを気に入ってくれていたという事だった。
大切な人の気持ちを居なくなって知るなんてこんなにつらいとは思わなかった。歯を食いしばり涙を堪えているとチャミが俺を抱きしめてくれる。魔物の体の筈なのにとても暖かさを感じて堪えていた涙が溢れてくる。
シャイミーside
ウチは両親と夫が残した宿を切り盛りしている22歳の未亡人です。
夫は子供のころから一緒に遊んでいた中で舌っ足らずで滑舌が悪くいつもウチのことをチャミと呼んでいた。
そのせいで両親でさえチャミと呼ぶようになりウチが16才で夫が17才の時に結婚した。
夫は村長の3男で村から出るという話もあったがウチの宿屋の入り婿という形で残ることになった。
幼馴染の何人かは村から出て街に行く事もあったが残った物たちで平和な生活を送っていた。
しかし流行り病で両親や夫が立て続けに亡くなり宿も閉めようかと思ったが思い出の有る宿をなくすことは出来ないと奮起し村長さんや隣のおばさんの協力もあり何とか経営出来ていた。
国境の砦を出て昼ご飯を食べる人は居てもほとんど宿泊する人はいないので儲けはないけど何とかなっていた。そんな中黒目黒髪の男の子が村に住みたいと言ってきた。
この辺りでは見かけない風貌の男の子で年はウチより少し若い17才だった。最初は弟みたいな感じだったがウチのことを見ているようでよく目が合っては顔を赤くする姿に夫の死と共に無くしていた感情が芽生え始めてきた。
しかしどうしても亡き夫の顔が瞼に浮かんできて女将と客という間柄から進むことはなかった。
そんな中彼が体調を崩した。ひどくうなされ高熱があるのに顔の血の気は引いてしまっている。ただ事ではないと思い両親や夫の姿を思い出し大切な人を亡くしたくないという気持ちが湧いたのを実感した。
ウチはこの人が好きだったんだ。瞼に浮かぶ夫は怒ることなく笑って応援してくれているようだった。
それからウチは彼に客以上の関りを持つようになった。
猟に出る時にわがままを言って特別な物を狩ってきて貰ったり私にだけ果物を持って来てもらったりした。
持って来てもらうのはお礼と称して抱き着くための口実でドギマギする彼を見ると本当に愛おしくなってくる。
今日も彼に卵を持って来てもらうようにお願いしたけど実は産卵の時期には少し早いので見つからないかもしれない。そんな落ち込んだ彼を慰める優しいお姉さんを体験してウチから離れられなくしてやるんだ。
彼が猟に出てしばらくすると村の入り口が騒がしい。見ると100人以上の兵士が村に入ってきた。村長が出向くがいきなり斬りつけられ村人たちは逃げたが斬り突かれどんどん死んでいく。
ウチも宿に逃げ込んで暴れたが殺されてしまった。
唯一の救いは彼がこの村に居なかったこと。この村には何もないから兵士たちはすぐに居なくなるだろう。そうすれば彼は兵士に会うことなく殺されることもない。ウチ達の姿を見れば逃げてくれる。生きて幸せになって欲しい。
生まれ変われるなら彼と一緒に過ごしたい。
シリューside
復元された村と村を歩いている村人の姿をしたスライムを見ると平和だったころを思い出す。しかしこれは本当の姿ではないことを俺は知っている。
スーガラキ王国に復讐するため必要な準備をしていく。
村長の家に置いたコアに触れてダンジョンを作り上げていく。
地下1階層には広大な農地と人口太陽を作り作物を作る。
死なないとは言っても食事を摂らないと餓死してしまう。
地下2階層では食肉にできる魔物を育てるため草原にして牛や猪の魔物を定期的に召喚できるよう魔法陣も設置した。
地下3階層には武器などを作る為の材料が採れる様に岩石地帯にして鉱石を掘り出すようにする。
それぞれ地下1~3階層は1km四方の迷宮を作り資源が採れる空間との間に10mの壁を作る。ただし完全に切り離すことはダンジョンの特性上できないので5cmほどの入り組んだ隙間を作って人間では通れないようにしておく。
地下4階層は5km四方の迷宮にしてここからは致死性の罠も設置し活かすつもりがない。
地下5階層は10km四方の超巨大迷宮で岩壁に擬態した不壊を持ったスライムが定期的に動くのでマッピングが通用しない仕組みにしている。
ただうろついている魔物は5m以上もあるような大型の魔物なので倒せるなら素材の価値は高くなると思う。
最後にダンジョンの入り口を村から少し離れた草原に作り地下5階層の最奥にある魔法陣に乗ると村長宅の地下に作った東京ドームほどの空間へ転移するようにしてそこに偽ボスである20m級の巨大ドラゴンを配置する。
偽ボスの所に行く魔法陣は岩に擬態したギガントスライムが塞いで手前にはダンジョン入り口への脱出用の魔法陣をこれ見よがしに設置している。
コアの置き場所は村長が酒を隠していた戸棚のさらに奥に置くようにしている。
城の地下にあったダンジョンに有ったコアだったのでそれなりにポイントは有ったが色々凝りすぎて足りなくなったので俺の魔力をこれでもかと吸わせてポイントに変換して完成させた。
『深井獅琉 HP 8、MP ∞、攻撃 325、防御 254、敏捷 403、魔力 3214、知力 5842、運 5
所有スキル:U怖禍威P U不壊P S腐界A R浮塊A R付加意A S心眼A U異次元庫A R水魔法A R闇魔法A R火魔法A、R風魔法A、R土魔法A、R光魔法A S状態異常無効P R隠蔽魔法A R偽装P R格闘P S錬金術P R鍛冶P』
復讐を万全のものにするべく俺に足りないスキルを身に付けようとコアに魔力を吸収させポイントでオーブを作り出し覚える。
住民の姿をしたスライムを鑑定されると困るので偽装も付与しておいた。
自分用の装備の材料集めと格闘を体に馴染ませるためにダンジョンに入って魔物を倒していく。
不壊があるのでそのままの拳や蹴りでもそこそこのダメージを与えられるが薄っすらと腐界を纏うだけでも格段に攻撃力が上がる。
蜘蛛っぽい魔物から糸を手に入れ岩場からアダマンタイト鉱石を掘り出しドラゴンから竜革を回収できた。
錬金術や鍛冶を使ってフード付きのコートやブーツ、グローブなどを作り上げた。最後に復讐の象徴として黒い鬼の面を作った。
準備が出来たのでスーガラキ王国へ出発しようとしたが相変わらずチャミが俺に付いて来ようとしている。
他のスライムたちは指示を聞いて村に留まっているので理由が分からない。
仕方ないので多少の攻撃手段を身に付けさせるため火魔法と水魔法と光魔法を付与した。操られたりしないように状態異常無効もおまけに付与して一緒に村を出て行く。




