第94話
投稿者:係長のわし 2027年9月25日
やったぜ。
嘘じゃ。一ミリの「やったぜ」もない。
台風というのは、一ミリの猶予もなく進路を曲げて直撃する。
金曜の夜、23時を回った頃。わしのアパートのインターホンが、突如として緊急警報(連打)を鳴らしおった。
ドアを開けると、そこには山口の田村(26歳、178cmの細身フレーム)が、一ミリの隙もない狂気を瞳に宿して立っとった。
腕には、山口で発注(購入)した仔パグの「ハツリ」がホールドされとる!
「係長! 山口のパグ(ハツリ)が、一ミリの猶予もない猛スピードで部屋を高速旋回し、わしの理性が完全システムダウン(崩壊)しました! 岡山に緊急避難(搬入)させてください!」
田村のやつ、深夜に山口から山陽道を三時間、仔パグを助手席にマウントしてブッ飛ばしてきおったわ! 一ミリの合理性もない深夜のバイオハザードじゃ!
「田村! 深夜に仔パグを抱えて他県へ不法投棄(来襲)するな! 係長の命令じゃ!」
わしが80kgのトルクで押し返そうとした瞬間、田村の腕から仔パグのハツリがパージ(射出)され、リビングへドバーっと突入しおった!
リビングには既に、おっさん(アルバイト)、兄ちゃん、金髪、そして最近主機が完全にパグのチップに侵食されているハゲ(元課長)が、缶ビール(聖水)を開けて待機しとった。
そこへ仔パグのハツリと、岡山の三郎が、一ミリの狂いもなくエンカウント(遭遇)したんじゃ。
岡山の巨星・三郎と、山口の新星・ハツリ。
二匹は無言で見つめ合い、次の瞬間、一ミリの猶予もない「他種族合同・超高速モンキーターン」をリビングで同時着工しおった!
「ぶひぶひぶひぶひぶひぃーーーー!!!」
リビングが白濁したようなヨダレと、高速回転する肉塊によって、一気に重機演習場へと竣工(変貌)していく! 畳が、い草が、一ミリの隙もなくハツリ倒されて宙を舞う!
このクレイジーな光景をスキャンしたおっさんが、ビール片手に咆哮しおった。
「田村! お前も女子レーサー渡邉の全通(全国追っかけ)に、一気に盛り合わせ(エントリー)なさい! このパグの旋回、平和島の第1ターンマークそのものじゃ!」
おっさん、深夜のパグ大乱闘をスキャンして、一ミリの躊躇もなく競艇の出走表(予想)を組み始めおった! 62歳のアルバイト、一ミリもブレてないわ!
さらに、ハゲが涙でドロドロになりながら二匹のパグの間に割って入り、
「山口のヨダレと、岡山のヨダレの、ハイブリッド・ミキシング(配合)……! あぁ~~たまらねえぜ! わしのハゲ頭を、一気に両県合同で高圧洗浄しなさい!」
と、一ミリの生産性もないバイオテロ(頭皮露出)をブチかましおった!
わしはハゲの頭(反射材)をホールドし、田村の背負ってきたリュックサックを重しにして、一気に部屋の隅へパージ(ぶん投げる)しておいたわ!
深夜二時。
大人五人と犬六匹、そして仔パグ一匹が、湿気とヨダレとアルコールでドロドロになりながら、岡山の静かな夜に「やったぜ」と咆哮し続けた。
わしは一人、冷めたローソンの唐揚げを喉の奥底へ流し込み、ソファで折り重なって寝ている三郎とハツリを見つめた。
三郎はハツリの顔の上に自分の腹を打設し、ハツリは三郎の尻尾を一ミリの隙もなくホールドしとる。
「三郎。山口の出張所、完全竣工(合体)じゃな」
ぶひ。
「『これで中国地方のハツリ工事は掌握した』か。お前、でーれー大物フィクサーじゃのう!」
ぶひぶひ。
深夜の山口からの不純物搬入。
わしたちのクレイジーな工区は、一ミリの狂いもなく拡大しとるわ。




