第93話
投稿者:係長のわし 2027年9月15日
やったぜ。
嘘じゃ。一ミリの「やったぜ」もない。
緊急事態というのは、一ミリの予告もなく発生する。現場のクレーンが突然パージ(落下)するのと同じじゃ。
朝、太郎(ビーグル、14歳)が、リビングの隅で一ミリの隙もなく固まっとった。システムフリーズじゃ。
わしは80kgの肉体を揺らし、太郎をホールドした。
「おい、太郎! いつまでアイドリング・ストップしとる。一気に再起動しなさい!」
太郎は、虚ろな瞳でわしを一ミリの狂いもなくスキャンしたが、反応はなかった。主機(心臓)の出力が、ドバーっと低下しとる!
「全機、スクランブルじゃ! 太郎を『白い深淵(動物病院)』へ緊急搬入するわ!」
わしの号令一発。現場にいたおっさん(アルバイト)、金髪、そして最近主機が完全にパグ化しているハゲ(元課長)が、一ミリの猶予もなくわしのアパートへ突入しおった!
動物病院という名の白い深淵。
太郎は診察台という名の「打設面」に横たえられ、白衣の獣医(監督官)によってスキャン(検査)された。
「……係長。太郎さん、主機の出力がかなり落ちてます。これは一気に、高圧洗浄(点滴)と内部改修(緊急手術)が必要かもしれません」
獣医の宣告に、事務所の空気は一ミリの出口もないほど冷え切っとった。
「太郎……死ぬんすか」
金髪が、新品の安全靴を握りしめて白濁した瞳で呟きおった。
「死なせん!!! わしが許さん!!!」
わしは咆哮し、80kgのトルクを全開にして、太郎の体に一ミリの隙もなく「氣」を圧入し続けた!
その時じゃ。おっさんが、白衣の獣医を一ミリの力学でパージ(回避)し、太郎の耳元へ口を寄せおった。
「太郎! 女子レーサー渡邉のイン逃げが決まったんじゃ! 一気に再起動しなさい! これは平和島からの、緊急・蘇生発注じゃ!」
白い深淵で、おっさんが一ミリの猶予もなく競艇パワーによる心肺蘇生をブチかましおった! 62歳のアルバイト、一ミリもブレてないわ!
さらに、ハゲが涙でドロドロになりながら太郎の前に立ちはだかり、持っていた「三郎のヨダレ付きタオル」を一気に展開しおった!
「太郎さん! あなたが逝ったら、誰がわしと一緒に、三郎さんの白濁したようなヨダレを、その磨かれたハゲ頭(反射材)で受け止めるんですか! 他種族合同サミットの、大規模・解体工事(崩壊)です!」
と、一ミリの生産性もない怪文書をブチかまし、三郎のヨダレタオルを太郎の鼻の穴に圧入(舐める)しおったわ! 白い深淵で、一ミリの猶予もないバイオテロじゃ!
獣医が「何してるんですか! 衛生管理がシステムダウンします!」と叫んだ、その瞬間じゃ。
三郎が、わしの膝の上から診察台へジャンプ!
太郎の耳元で「ぶひ」と一発、未知のパグエネルギー(波動)を咆哮しおった!
「ぶひ」。
その瞬間じゃった。太郎のシステムが、一気に再起動された!
太郎が目を開け、ハゲの持っていたヨダレタオルを咥えて高速旋回を開始! 白い深淵が、一気にハツリ工事現場へと竣工されたわ!
「おお……奇跡じゃ! パグエネルギーと競艇パワーのミキシング(配合)……やったぜ!!!」
わしと金髪が咆哮し、獣医が「……もう人間じゃねえな」と白濁した瞳で呟きおった。
夕方。太郎は一ミリの隙もない速度で白い深淵を退院し、アパートのソファでひっくり返って寝とった。竣工じゃ。
「三郎。お前のパグエネルギーで太郎が助かったぜ。感謝の打設はどうじゃ」
ぶひ。
「『貸し一、一気に女子レーサー渡邉のイン逃げに賭けなさい』か。……お前もおっさんに毒されとるな!」
ぶひぶひ。
死の深淵から、岡山の泥くさい日常へ。
わしたちのクレイジーな蘇生儀式は、一ミリの狂いもなく完全竣工されたわ。




