第065話 バトンタッチ
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「うわぁー、見て見て!本当に動物いるよ!」
「本当だ。自分達が飼ってるペットを連れて来たのか?」
「そうかもねー。こんなに人懐っこいのは珍しいよ。」
神崎の周りには、猫や犬だけでなく、小動物までもが近寄っている。
神崎にあやかって撫でてやろうとするのだが、手を近付けた瞬間に気配を察知して逃げていく。
動物にまで嫌われてしまうとは、前世でどんな悪行をして来たのか気になるところである。
「お待たせ致しました。動物と一緒に食べられるケーキです。推しの子と一緒に食べてあげてください。」
「なるほど、貢いであげるシステムまで。」
ほとんどの食べ物は人用に手作りで作られているが、明らかにあのケーキだけは店で買って来たのが分かる。
餌付けすれば、流石に近寄ってくれるかもと俺から与えてみると撫でれる近さまで来た。
餌に夢中になっている間に、可愛い犬の頭を何往復か撫でる。
最初は俺だと分かっているからなのか、露骨に嫌そうな顔をしながらも渋々撫でられる。
時間が経つと、犬の方から撫でるのを要求して来た。
腹を見せて、ゴロンと寝転がる姿は可愛いくていつまででも見ていられそうだ。
「可愛いね動物は。」
「人間と違って裏切ったり、悪口言って来たりしないからな。」
「そ、そういう意味じゃないけど。」
「冗談だっての。半分は。」
「このケーキ、動物だけじゃなくて人も食べれるらしいから不思議だよね。」
「でも、そう言うのって食べるのに勇気がいるけどな。」
「分かるかも。中々、食べにくいよね。」
そう言いながら周りの動物達に食べさせていく神崎。
その光景がなんとも神秘的で、神崎の周りだけ別の世界が作られているのではと思うほどだ。
「ふー、お腹も満たせたし満足だね。」
「ここを選んで正解だったかもな。ほら、見てみろ神崎。」
ハムスターが俺の肩からヒョッコっと顔を出す。
一番懐いてくれたのは、この子だったようだ。
こんなに可愛い姿を見せられてしまったら、藍連祭終了後にペットショップに寄りたくなるくらいには満足出来た。
誰かペットショップの回し者がいるのかと疑いたくなるほどに。
教室を出ると次は何をしようかと考えを張り巡らす。
もう一度、二年生のコーナーで遊んでも良いけど、ちょっと歩く事になりそうだ。
心地良い程度に満たした腹のせいで、今は何もしたくない気分。
「意外と一時間経ったみたいだし、私の番はこのくらいにしようか。」
「え?まだ遊べるような場所沢山あるぞ。外にも有志の屋台あるのに。」
「良いの良いの。またこうやって陽太と遊べると思ってなかったから、それだけで楽しかったし。」
俺が神崎を遠ざけるほど、彼女もまた見えない傷が付いてしまっているのかもな。
だけど、今はまだ不器用な俺は遠ざける以外の正攻法を知らない。
ちょっとずつ、ちょっとずつ近付いて、幼馴染として彼女の横に立てるのは、まだまだ先のことだろう。
「俺も楽しかった。また機会があれば、どこか遊びにでも行こうぜ。」
「えっ!本当!?その言葉信じて良いの。」
「いつか必ずな。みんなも呼べば絶対楽しいだろ。」
「みんなか。今はそれでも良いか。」
じゃあねと手を振ってくれる神崎。
その姿が見えなくなるまで俺も手を振り返した。
殆どの学生は自分達のことで忙しく、この光景を見られていなかったのが幸運だった。
もしも、仲良く遊んでる光景なんて見られたら、また呼び出しからのボコボコタイムが始まるのだから恐ろしい。
次は凛との約束なんだけど、その前に落とし物探しの経過をメッセージで聞いてみる。
しかし、短い文章でそんなこと気にするなとだけ返って来た。
その感じはまだ見たかってないと言うことか。
俺も一緒に探してやりたいのだが、本人が探すなと言うからどうしようもない。
とりあえず、凛にメッセージを送って待ち合わせをする事に。
いつも使っている教室で待っていてほしいと連絡が来たので、それを見て一年B組の教室へ。
誰かが練習で使っている可能性もあると思ったので、恐る恐る教室を覗くと、凛が一人で待っていた。
待たせてしまっていたのかと焦って教室の中へ入り込む。
「待たせたか?」
「いいえ、今来た所です。って言ったら、恋愛ゲームのヒロインにでもなった気持ちだね。」
「意外とそういう正統派の恋愛ゲーム少なくなってるぞ最近は。」
「そうなんだよね。ちょっとショックだよ。」
開口一番でゲームの話になるのは、流石凛と言ったところだ。
俺もある程度のネタなら拾ってやれるのが幸い。
「待っている間にお腹空いたなら、三年生の方から見て行くか?」
「多分、陽太くんは何か食べたばかりだよね。それなら、後からでも良いかな。」
「俺に遠慮する必要ない。凛が楽しめるようにするのが目的なんだから。」
「チッチッチ。それは違うんだよ陽太くん。二人で一緒に楽しまないと。」
ご機嫌な凛に連れられて、二年生のゲーム系に向かう。
神崎とはどこに行ったのか聞かれたので、何も考えずに脱出ゲームだと教えると、自然とその選択肢は外してくれたようだ。
友田同士でそこまで考えなくても良いのだけど、凛なりの配慮なのだろう。
「ウチ、お化け屋敷行きたい!」
「ホラーゲームとか得意だったりするのか?」
「そうなんだよ!部屋の電気とか消してプレイしちゃうからね。」
それを聞けば楽しめそうだ。
俺も残された選択肢の中だと、お化け屋敷に興味を持っていたからな。
しかし、凛が苦手ならわざわざ選ぶつもりはなかった。
本人から提案してくれたのは嬉しい話だ。
「ホラーゲーム好きって意外だな。無人島シリーズやったことあるか?」
「陽太くん、渋いセンスしてるねぇー。もちろん、プレイ済みだよ。」
ゲームの話で盛り上がりながら、歩いているとあっという間に会場へ。
どうやら、二つ分教室を使っているので相当な広さになっていそうだ。
「いらっしゃいませ!お二人でよろしいですか?」
「はい!二人でお願いします!」
「じゃあ、説明に入らせていただきますね。入りましたら、お配りします懐中電灯を使ってお進みください。走られますと、前に入られたお客様にぶつかる可能性があるので、走らないこととなるべく長く立ち止まらないこと意識してください。」
ミッションが用意されてる可能性も考えたけど、この広さでそれは無理があったか。
係の生徒に案内されるがまま扉のおくに入る。
ピシャリと強く閉められると中は懐中電灯無しでは見えないほど暗い。
「で、聞いてた話と違うんだけど。」
「ウチ、ホラーゲームは絶叫しながらプレイする方だから。」
腕にがっしりとしがみついて離さない凛。
怖いなら最初からそう言えよと思ったが、それを楽しむタイプなのかもな。
ガタッ
小さな物音が一つ。
この物音は予め録音されていた物が落ちる音だな。
実際に落ちていたとしたら、こんなノイズは入らない。
「キャーー!今、後ろから音が!」
「落ち着け、あれは録画の音だから。」
「今、すごい怖いんだけど、横に陽太くんいると怖さ軽減されるね。」
それはそうだろう。
一人だけ冷静な奴混じってたらそんな気持ちにもなる。
俺も怖がった素振りを見せるべきか迷ったが、余計に凛をびっくりさせる事になるだろうからやめておこう。
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