第105話 奇襲
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
ランニングを暇な時にする習慣を始めて大分経つが、結構体力を付いてきたと自負している。
往復四キロでも息が続かなかった昔と違って、今では六キロを何とか走れているからな。
今日もそのトレーニングの為に外に出ている。
前までは外に出るのも億劫だったが、今の俺は少し楽しいとさえ感じ始めていた。
「ちょっとランニングしてくる。」
「おぉー、最近体作りして偉いねお兄ちゃん。なんか心境の変化でもあった?」
「適度な運動が大事なんだよ。お前も家に引き篭もってばっかいると太るぞ。」
「あぁー!お兄ちゃんが女の子に言っちゃいけないこと言った。だから、彼女いないんだよお兄ちゃん!」
「うっせー、余計なお世話だ。」
これ以上は質量のない会話を続けるだけだと判断して、外へ出る。
「あ、気をつけてねー。」
意外にもきちんと見送りをしてくれる妹を背に走り出した。
走り出してから数分後、誰かが後ろから後を付けていることに気付く。
学校では確かに恨まれる方だが、休みの日、それも夏休みにまで俺を追いかけてくる熱心なファンは生憎いない。
つまり、後ろにいる奴は限られている。
真っ先に思い付くのは、俺の知り合い。
ドッキリをしようと後ろから近付いている可能性だ。
ただ、ランニングしている俺を何キロも追い掛けてくるのは不自然なので、自然とその考えも除外される。
考えたくない選択肢もいくつかあるので、実際にこの目で見て確認しよう。
それが一番手っ取り早い。
角を曲がって待ち伏せしてみると、いつまで経っても追ってこなかった。
巻いたのかと思い、また走り出すと今度は違う奴に後ろをつけられている。
ここで集団で動いている事が確定した。
「俺に何のようだ。」
振り返って語り掛ける。
一見すると誰もいない場所に一人で語り掛けている滑稽な絵面だ。
それでもここから動かない。
蛇龍門が本格的に動き出したという確信があるからだ。
「まさか、気付くなんて。あの時はそんな鋭い感じしなかったんだけどなー。」
深澤か。
会うのは文化祭の時以来だな。
完膚なきまで叩き潰された記憶しかないけど。
しかし、あの時とは状況が違う。
人通りが少ないとは言え、いつどこで誰が見ているか分からない環境。
その中で好き勝手に暴れてくるとは・・・。
俺の認識が甘かった事をここで理解した。
見られているから暴れないなんて選択肢はないらしい。
それなら早く終わらせようってことかよ。
目の前の蹴りが眼前に迫る。
パンツ丸見えなのはデフォルトなのか?
「あぶねぇーな!」
今までは直接受ける事しか出来なかった人生。
これを避けれるようになったのは、俺が変わろうとしている表れとでも思ってくれ。
「チッ、なんで避けれるのよ。さっさと回収しないといけないのに。」
目的は俺を攫う事なのか。
そうだとすると他の奴らもやばいな。
華の交流がある人物で考えると真っ先に思い付くのは恋愛支援部。
最近、糸井先輩と七瀬先輩には連絡が付かないが凛は家にいる場合が多い。
偶々、散歩してるなんて事が無ければ捕まらないはずだ。
「余裕そうな顔してるのが腹立つ。」
「余裕なんてある訳ないだろ。弱い者いじめが趣味か?」
「そうだって前にも教えたでしょ?物覚え悪い子は嫌われるよー。」
そんな事言ってたか?
思い出せるのは異常者だった事くらいだ。
話なんていちいち覚えているはずがないだろ。
「手加減ってのはないのかよッ!」
「弱った所を完全に仕留めてやるのよ。これでも時間使ってる方だから感謝してよ。」
「全く持って必要のない感謝だな。」
悪態を付く元気も無くなってきた。
そろそろ避けるのも難しい。
しかし、深澤は時間を気にしている。
出来るだけ時間を使わせれば勝機があるかも知れない。
何度も何度も避けてみせる。
反撃こそ出来なくても逃げる事は出来るはずだ。
時間よ、早く過ぎてくれ。
「あーあ、ここでタイムオーバーみたい。」
撤退命令でも出たのか。
時間を稼いだから助かったみたいだ。
早く華や凛にもこの事を連絡しないと。
「おい、時間なのに元気そうだな。」
「ちょっとだけ手こずってしまったからさー。
「使えねー。まぁ、良い交代しろ。」
ここで天竹かよ。
アイツもかなりの実力者だ。
この間も音無がいたから助かったが、今回は周りに誰もいない。
ましてや、さっきの鬼ごっこで体力はかなり使い果たした。
深澤の言うタイムオーバーってのは、俺の負けを意味してたのかよ。
確かに化け物二人も同時に相手して勝てる訳がない。
俺にも抗う選択肢がある。
恐らく鬼龍院が設定した計画。
そのスケジュールは一秒たりとも遅れてはならないから、焦っているはず。
なら、俺に出来ることは。
二人を背に全力で走り出す。
遠くに逃げることだけに集中すれば、いくらコイツらが相手でも何とか逃げ出せるかも知れない。
そんな淡い期待を抱きながらひたすらに。
「残念だが、俺がここに来た時点で無駄だ。あの時の注告は意味を為さなかったみたいだな。」
「流石にこれはないだろ。」
後ろには十数人の蛇龍門メンバーが配置されていた。
それ程、この計画に力を入れていると言うことか。
薔薇姫・古東華にどれだけの恨みがあるのかは分からないが、一線を退いた人間に対して執拗に迫る理由はなんだ。
深い因縁に巻き込まれていることだけ実感出来る。
抵抗虚しく、容易く捕獲された。
手を後ろに組まされてロープで手も足も縛られる。
仕舞いには、口にガムテープまで貼りやがった。
絶対剥がす時痛いよな、なんて現実逃避するしか今は無い。
黒いバンに詰められて、そのまま出発。
この集団は高校生しかいないと思ってたけど、誰が運転してるんだよ。
・・・って、運転免許なんて無くても、この集団なら運転するか。
なんで目隠ししないのか不思議に思いながらも、抵抗せずに揺られながら移動した。
少しでも外の景色を記憶しておくべきだよな。
何かあった時に居場所が分かるのは大事だ。
車は大きな廃墟の前に止まった。
大きなショッピングモールの跡地か。
日本にもそんな場所が存在するのかと感心していると、他の車から凛が運ばれているのが見た。
まさかとは思っていたが、本当に凛まで運ばれていたとはな。
他にも人がいるかも知れない。
ここについていきなり口に貼ったガムテープを剥がしてくれる。
勿論、力一杯に引っ張られたけど。
「ぷはぁー。鼻は塞がれてなかったのに、息苦しく感じるのはどうして何だろうな。」
「第一声がそれで本当に良いのか。助けを求めたりとかあるだろ。」
「そんな事しても、こんな廃墟の周りには誰もいねぇーよ。いたとしてもらもっと日が落ちた頃に肝試しに来る奴らぐらいだ。」
「少しは頭があるみたいだな。それなら、ここがどの辺かもある程度把握しているんだろ。」
「包み隠さずに言うとそうだな。」
「それなら、ほらよ。」
携帯を地面に放り投げられた。
開いてあるのは電話の欄。
つまりはここに華を誘き出せって事かよ。
場所も覚えさせたのは、華をおびき寄せるための罠だ。
意地でも電話してやるかよと思い、唾でも吐いておいた。
「返事はそれで良いんだな。」
「あぁ、これで良いぜ。」
「連れて行け。」
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




