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人形怪奇  作者: 詞記ノ鬼士
第七章 家族ハプニング
99/141

005 春夢の計画、ショッピングセンターへ

その頃、雪野たちが出かけてから、春夢は一人家に残されてひまを持て余していた。

「う~ん」

 春夢の部屋には自分の見守り役のクロとシロがごろごろと寝転がったり、本を読んだりしていた。

「あ~」

 春夢はそんな光景を見ながら唸っていた。

 そしてごろんっと横になる。

「春夢、どうしたニャ? 一緒にお昼寝するかニャ?」

「うう~」

 それにシロも本を読むのをやめてこう切り出した。

「春夢、なんだか先ほどから元気がないようですニャン。何かありましたかニャン?」

 それに春夢は少し考え込むようにしてから二匹にだけは先に告げた。

「誰も春夢の誕生日に気づいてない……」

「ニャニャ! 春夢、今日は誕生日かニャ?」

「それは、お祝いしないといけないですニャン!」

 二匹は顔を見合わせてから春夢の方へと顔を向けて……

『春夢、誕生日おめでとう』

 語尾にニャとニャンが混じりながら祝いの言葉をかけた。

「うん、ありがとう。クロとシロ……」

 春夢はためていた不満を二匹に向けて呟いた。

「もう、みんな春夢の事分かってない!」

「ンニャ? どう分かっていないニャ?」

「聞かせてほしいですニャン」

「おるすばん、ちゃんとできる? 外に出たらだめとか、危ない人を家に入れたらいけないよとか、みんな変な所で春夢を子ども扱いするし、春夢のこと気にかけてくるのに、ぜんぜん春夢のこと分かってないよ。春夢はまだ子供だけど子供じゃない!」

 そう言って、春夢は頬を日くらませる。

「子供だけど子供じゃない……どういうことニャ?」

「クロ、春夢が言いたいことはつまり、子供扱いしないでほしいって事ですニャン」

「ん、そういうこと!」

 春夢は強く言いきる。

「このまま、誕生日だってこと誰にも気づかれなかったらどうしようって思うんだよね」

「それなら、最終的に言っちゃえばいいんじゃないかニャ?」

「チ、チ、チ、分かっていないな~、ただ言うだけじゃつまらないよー」

「それじゃあどうするんですかニャン、春夢?」

「今ね、いい事を思いついたんだけど……」

春夢は二匹にコソコソと提案を話した。

「ンニャ、その作戦に付き合うニャ~!」

「お供しますニャン」

「それじゃあ、出かけようか」

「ニャ!」

「ニャン!」

 春夢はその提案を実行するべく二匹と共に外へと出た。

 そこで春夢は一度確認する。

「帽子オッケー、かばんオッケー、その中の財布オッケー、それから、それから……他にもいろいろオッケー。それではレットゴー」

 家を出た春夢はまず、〈霊体変化〉した二匹と共にバス停に向かうため山道をおりていく。

「らんっららっらら~ん、るんっるるっるる~ん」

 その間、春夢は鼻歌交じりに木々が覆われた下り道を歩いて行った。

バス亭につき、待つ。

「ランラン、ルンルン、買い物だ~」

そしてバスがきて、中に乗り込みショッピングセンターへ向かう。

「一人で買い物できるかな~。できるかな~」

 バスの中でシロは言った。

「それにしても、春夢。勝手に家を出てしまってよかったんですかニャン?」

「う~ん、今回は仕方ないよ。もし怒られてもこれだけは引けないよ。春夢は何としても、お兄ちゃんたちと誕生会すんだからね。驚かせてやるんだから」 

彼女のある計画、それは一人で誕生日の準備をし、雪野たちを驚かすことだった。

「シロ、今の春夢は止めることはできないニャ。クロたちは春夢見守ろうぜ。見守り人、いや、見守り猫として」

「……ニャン、分かりましたニャン! シロたちは春夢のする事を見守りますニャン!」

「よーし、がんばるぞー」

 バスに乗ること三十分後、目的地に着いた春夢は気合いを入れてショッピングセンター桜へと入って行った。

 その店内は広く、まず入り口にパン屋さんが見え、いい匂いが香ってきていた。

「わあ、パンのいい匂いがするね」

「そうですね~。おいしそうですニャン」

「食べたいニャン、食べたいニャン!」

「だめだよ、目的はケーキ屋さんまで行く事。それまで余計な出費は出してはいけないのだ」

「分かったニャ! では、ケーキ屋さんまで向かうニャ!」

「そうしますニャン!」

「うん、いこう!」

 春夢は二匹に続けて伝えた。

「クロとシロは春夢についてきてね。この前、お兄ちゃんたちと買い物に来たことがあるから、ケーキ屋さん場所は分かっているんだぁ。確かこの先をまっすぐいったらいいはず」

「分かりましたニャン」

「クロたちは春夢についてくニャ」

 その後、ひたすら春夢はまっすぐ突き進んでいく。

 ショッピングモールには、春夢たちが通る右の道の左右には飲食店、美容院とたこ焼き屋さん、寿司屋さんがあった。

 昼過ぎという事もあって、人はそれなりにいて込み合っていた。

「お父さん、お母さん、お腹すいた」

「それじゃあ、たこ焼きでも食べるか」

「うん」

「お母さんもそれでいい?」

「ええ、いいわよ。さあ、並びましょう」

 特に左側にすぎ見える屋台風のたこ焼き屋さんには行列ができていた。

 春夢はそれをおいしそうだなぁと眺め通り過ぎた。

 どんどん、奥へと進んでいく春夢は途中、魚屋さんの近くを過ぎ、その時クロは……

「ンニャ……いい匂いだニャ、魚の匂いだニャ~」

 シロの後ろにゆらゆらとついてきたクロは、そこで魚さんの方に向かっていったのであった。その事に気づかず春夢やシロはケーキ屋さんにどんどん足を進めていった。

「あ、ケーキ屋さんがあったよ!」

 春夢がショッピングモールの一番端の方にケーキ屋さんを見つけ指をしめした。

「クロとシロ、今からケーキを……」

後ろを振り返るとそこにはシロの姿がある。

 だが……クロの姿はなかった。

「あれ……クロは?」

「あれ? いませんニャン!」

「どこ行ったの?」

 春夢とシロは周りをきょろきょろと見渡してクロを探す。

「クロが迷子になりましたニャン! どこにも見当たりませんニャン!」

「どうしよう、どうしよう。どうしたらいいの、シロ!」

「とりあえず、クロを探すしかないですニャン!」

 と、そこで、ケーキ屋の前で騒いでいたせいか、定員さんが春夢に声をかけた。

「あの、どうかしましたか、お嬢ちゃん?」

「あ、えっと……」

 春夢は後ろを振り返り、シロを見た。

 そして、聞けるか聞こえないかくらいの声で言った。

「どうしよう、話しかけられちゃったし、このままケーキ買っちゃおうかな?」

「そうですね……それがいいと思いますニャン」

「とりあえず、ケーキを買ったらすぐ探そう」

「ニャン!」 

 頷くシロ。

 春夢は店員さんを見て、聞いてみた。

「あのね。お姉さん。実は誕生日ケーキを買いたくて、どれがいいですか?」

 ケージの中にはショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキなど沢山のケーキがあった。

「誕生日ケーキね。それならこれなんて、どうかしら?」

 店員さんは、その中にある一番左端にある大きな丸いケーキを指さした。

 白いクリームの上にイチゴやチョコ、フルーツなどトッピングされたそのケーキに春夢は目を光らせた。

「わあ、すごい。おいしそうだね」

「そう言ってもらえてうれしいな。それで、どれにするかもう決めたかな?」

「はい、これにします!」

 春夢は即答した。

「そう。お買い上げは、二五六〇円になります」

「ん?」

「お嬢ちゃん、ちゃんとお金は持ってきたかな?」

「あ、お金。ちょっと待っていてね」

 春夢はカバンの中にある財布を探る。

「今日は一人でおつかいなの?」

「うん……初めてだよ」

「それは偉いね~。すごいね~」

 褒められて、春夢は気分よくそこで財布をまるごと定員さんに渡した。

「お姉さん、はい」

「ん? お嬢ちゃんまだお金の単位、分からなかったかぁ~」

「うん。でもね。春夢ね。今日までおじちゃんやおばちゃんのお手伝いとかして、いっぱいお金ためたんだぁ。だからきっと足りるはずだよ!」

 自信たっぷりに春夢はそうこぼした。

 店員さんは小銭を机の上に全部出した。

 そこには、一円、五円、十円、五〇円と小銭ばかりでたまに五〇円や一〇〇円が見え隠れする具合だった。

 店員さんはそれを見て、苦い顔をした。

「ちょっとまってね。今、計算するね……」

 春夢は少しの間、待った。

 そして、店員さんが全てのお金を数え終ると、春夢に告げた。

「ごめんね。ちょっと、お金が足りないみたいだなぁ」

「えー」

「全部で五四九円、小さいケーキ一つなら買えるんだけど。どうしますか?」

 店員さんは親切に春夢を気遣って、そう言ってくる。

 だけど……

「みんなで食べるつもりでいたから、それじゃあ、だめだよ……」

「それじゃあ、残念だけどまたお家の人ときてね。はい」

 店員さんは春夢の小銭がたくさん詰まった財布を彼女に渡す。

「いつでも待っているから」

 受け取り、春夢は財布をカバンそっと入れた。

「うん……お姉ちゃん、バイバイ」

「バイバイ」

春夢は踵返し、シロを見る。

「残念でしたニャン! ケーキは諦めて何か他の物を買うしかないですニャン!」

「えっと、五百円ぐらいでなにが買えるかな?」

「シロも金銭感覚に疎いため、分かりかねますニャン……」

「そっか……」

「春夢、とりあえず今はクロを探しますニャン!」

「そうだね。行こうか……」

 春夢はすっかり気持ちが落ち込みそんな様子で歩き出した。


 その頃、クロはというと……

「ニャ~、おいしそうだニャ~」

 ケージの中にある多種多様な魚の数にクロは興奮していた。

「いろんな色の魚があるニャ! こいつは赤い! こっちの奴もすごいニャ!」

 ケージの中を左、右と覗き込むように見渡す。

 そして……

「なあなあ、シロもどう思うニャ! 春夢のも……あれ?」

 振り返った。

「あれ、あれ? 二人ともどこいったニャァア~!」

 周りを見渡しても春夢とシロの姿は見当たらず、クロは一瞬にして気を落として慌てたのであった。

「どうするニャ! どうするニャ! 二人が迷子になったニャー!」

 迷子になったのは彼のはずだが、そんな事を口にするクロがいた。

「いやいや、落ち着くニャ! このままではダメだニャ……」

やがてそう呟いたクロは、いったん落ち着こうと深呼吸をしてからこう決めた。

「仕方ない、探すしかないニャ……シロ~、春夢~」

 クロはその言葉通り、二人を探すべく周りをうろちょろと移動しだしたのだ。

「クロはここにいるニャー。早く出てくるニャー」

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