011 果たさなければいけない約束
そこは本家、菊ノ亭の一室。
周りには本家の人たち、分家の人たち、そしてそれらに所属している使用人たちがいた。
父と紫、祖父、祖母の姿もすでにあった。
ザワザワと口々に使用人たちは雪野の死について話していた。
「木崎家の子が亡くなったことは聞いたけど、また生き返ったりしていないよね」
「今日の総会はその事についての詳しい話なんじゃないかな」
「そうだね。きっとそうだよ」
「もし、また生き返っていたら?」
「やだ、怖い!」
「また、二年前のようにならなければいいけどね」
二年前、それは葉月が亡くなった日。
彼女が雪野を生き返させるために亡くなった日。
その日に雪野は生き返った。
そして、総一郎は雪野を殺そうとした。
いや、一度殺したのだ。
でも雪野は人形の力で再び生き返った。
だが雪野には意識なく、そのまま周りにいた夏川家の者を襲った。
それを総一郎は呪符を彼に施し、雪野は人を殺さずにすんだ。
でも今回は……
季流が回想していたその時だった。
ガサッ!
そこでがさつに襖を開けて入って来るある女性がいた。
それは見覚えのある女で季流がいることに気づくと、一直線にこちらへと近づいてきた。
「季流、お前なにしでかしたんだ?」
「おや、美咲ですか。ずいぶん遅いおでましですね。このままこないのかと思いましたよ。今まで寝ていたんですか?」
「はっ! そんなわけないだろ。私は警察だ。今までちゃんと仕事していたんだよ」
「そうですか。それはお疲れ様です」
「それで、お前何してんだよ」
「何って、助けが必要な子供たちを救いに行っていたんですよ。あはは、私は優しいでしょ。褒めてもいいですよ」
「はぐらかすなよ。お前がなんでそんなことするんだ。葉月の葬式の日だって、やらなくてもいいことをわざわざやってお前らしくないぞ」
「私らしいって何ですか?」
そう言って睨み返すと、美咲は黙り込んだ。
「……」
「私がらしくないことをする理由ですが、それは私が葉月に頼まれたからですよ」
「葉月がお前に? 何を頼まれたんだ?」
「雪野くんの事を頼む。力になってほしいと……」
「それだけでお前は……」
「それだけじゃないですよ。葉月の願いですよ。もしあなたが頼まれた時はどうしていますか? 同じことをするでしょ?」
「それは、まあ……」
「私は葉月が死ぬまえ会っていたんです。彼女に会っていたんです。私は止めることができなかった。止めたかったのにできなかった。だからせめて葉月の死は無駄にしない。そう誓ったんです」
「お前……」
美咲は何も言えないのか無言のままだった。
と、その時、前方の襖が開かれた。
そこに現れたのは総一郎だった。
その威厳ある姿を見た周りの者たちは、いっせいに話し声を止めた。
辺りは静まり返る。
その後ろには、裕次郎、政貴が続いて入ってきていた。
「あ、お父さんたち、帰ってきた!」
「こら、ここからは大人だけしか入れないから、汰貴は自分のお部屋に戻っていなさい」
今、自分の娘である沙羅を抱いている泉美は汰貴にそう言い聞かせる。
「えー、やだ、やだー」
「そんな事いわないで、さあ」
「やーだ。やーだ。気になるからお母さんと一緒にいる。おとなしくしているからさぁ」
駄々をこねる汰貴に政貴は言った。
「汰貴、お母さんのいう事を聞きなさい。そうしないと後で私が怒りますよ、お母さんを」
真顔でそんなことを言う。
「……」
汰貴は首を傾げていた。
そのことばを聞いて一番、顔面を蒼白にしていたのは泉美だった。
「汰貴、お願いだから政貴くんを怒らせるようなことはしないで、そうじゃないと後で私がたくさんいじめられるのよ。汰貴もそんなの嫌でしょ」
それを聞いていた、政貴は妖艶な笑みを見せていた。
「う~、うん。分かった。いうこと聞くよ?」
「よかった。汰貴はいい子ね~。さあ、外に出ましょうね」
汰貴の背中を押しながら、泉美は彼を優しく廊下へと誘導した。
それを見ていた季流は小さく呟いた。
「相変わらずですね、政貴さんは。泉美お姉さんをいじめるのが大好きですね」
それに美咲も言う。
「政貴お義兄さんのいじめっ子はある意味、泉美お姉ちゃん限定の愛だからね」
「愛、ですか? それは歪んでいますね」
遠くの方で泉美が政貴に話しかけた。
「政貴くん、これでお話は始められそうよ」
すると彼は次にこう言った。
「いや、まだだよ。泉美お前も出て行くんだ」
「え、なんで? また、また冗談だよね。いじわるしているだけだよね?」
「ううん、違うよ。君は沙羅を抱いているから、沙羅を起こさないようにしなきゃいけないでしょ。育児している君の体も心配だし、泉美は汰貴の様子を見ていてくれ。話の内容は後で話すから」
「政貴くん……分かったわ。ありがとうね」
そう言って、泉美は部屋から出て行った。
季流はぼそりと呟いた。
「あめとむち、ですか……?」
「そうだな……泉美お姉ちゃん、だまされやすいから」
と、そこで政貴は皆に言った。
「さて、そろそろ始めましょうか。私の家族が騒ぎたてて、すみません。総一郎様、お話しをどうぞ」
総一郎はうむと唸ると、話し始めた。
彼の一歩後ろには、妻である時和という優しそうなおばあさんがそっと立っていた。
「では、今日ここに集まってもらった理由だが、それは紅葉亭の者たちが、話しがあるとのことで今日この時、急きょ話の場を設けさせてもらった。それで、紅葉亭の者たちよ。いったい誰が何を言いたいんじゃ? 一人名乗りでよ」
そう言った時、草路はそっと手を伸ばした。
「は~い……」
よれよれの返事をした。
「草路か……久しぶりだな」
「久しぶりです。今日、話があるのは実は私ではなくて季流なんですよ。季流はちょうど二時間ほど前、木崎家の雪野くんと春夢ちゃんを連れてきました」
「そうか。それで彼はどうであった? 彼は生きていたのか?」
「はい。生きて紅葉亭の方に来ました」
その瞬間、皆喋りはしなかったものの顔を見合わせる者が多数いた。
「今は眠っています」
「そうか……」
「季流、ここからはお前が話してくれるかい?」
草路が後方にいる季流を見て言った。
「はい。それはもちろん。皆さんと話をしたいと頼んだのは私ですし。今回はこのような機会を設けさせていただきありがとうございます」
「前置きはいい。さあ、なぜお前が、我々が木崎家の異変に気付く前に、木崎家に出向いたのか教えてもらおうか」
季流は一端ため息をつき、言葉を吐いた。
「はい。私が木崎家を訪れた時にはまだ私は雪野くんが死んだことは知らされておりませんでした。それなのにいち早く木崎家に出向いた理由ですが、以前から私は雪野くんを目につけていましたし、私の婚約者であった亡き葉月の義理でしたが弟でもありました。したがって、日ごろから木崎家の近くを通勤していたんですよ」
「つまり……?」
季流は総一郎へと緊張した面持ちで目線を合わせた。
「つまり、ご質問にお答えするとたまたまです。たまたま、木崎家の近くを通った帰り、暗闇の森の中に赤く光る点が見えたので何かおかしいなと思いかけつけました」
季流は緩やかな笑みを皆に返した。
「そうか、そういう事だったか」
「はい」
季流はその後に続く総一郎の言葉を待った。
絶対、雪野のどうするかについて口論してくるだろう。
雪野は今回のことでより危険と見なされるのは確かだろう。
よって、総一郎は雪野を今度こそ殺しにかかる。
それをどうにかする必要があった。
「えー、わしからも話はある。わしは木崎家の惨劇を見てきた。季流が言った話を照らし合わせて説明するとだな。木崎の子供が亡くなった後、子供は二年前の葬儀の時のように生き返った。そして、人形は彼を動かし人を殺させた。その時に何らかの要因で火事が発生したと思われる。木崎家の者は季流が連れてきたもの以外は全滅であった」
総一郎は美咲に目を向けた。
「美咲、それで間違いはないな」
「はい、詳しいことはもう少し調べないといけないと思いますが、軽く見たところそのようなことだろうと思います」
「皆、木崎家で何が起きたかは理解したか? さて、ここからが本題だが、木崎の子をこれからどうするか皆の意見を聞きたい。木崎雪野をこのまま生かすか、殺すか……意見を聞きたい」
やはりその話題が出た。
雪野を殺すか、殺さないか。
季流はそこで手をあげた。
「まずは季流か、お前の意見を聞こうか?」
「私の意見は昔から変りません。私は彼を殺させません。生かします。誰が何と言おうと絶対に私が生かさせます」
季流は真剣な面持ちで総一郎を見た。
周りの目は季流に集中する。
そこで、季流はさらにこう付け加えた。
「私が彼の後見人となります。紅葉亭で彼を預からせてくれませんか?」
父は心配そうにこちらを眺めており、紫は怪訝そうな顔つきでイラたちを露にしていた。
彼らには何も言わず、その言葉を口にしたのだから仕方がない。
他の人たちはというと口々にこそこそと話し合い、裕次郎や稲実は言い出した。
「ふざけるな。父上がそんなこと許すわけがないだろう!」
「季流、それはちょっと難しい話だと思うわよ」
「そうだ、あの子供は危険なんだ。そうですよね、父上」
二人の意見に総一郎は固く口を閉ざして、周りの様子を伺っていた。
そして、美咲が感情的に言葉を吐く。
「季流、お前何考えてんだ。お前の家で面倒みるだと、少しはお前の家族の事を考えろよ。葉月を殺したのは木崎の子供といってもいいじゃないか。それなのにお前はなぜそんな子供の面倒を見ようとしてんだ」
美咲がそう言ってしまう気持ちも分かるが、季流には役目がある。
雪野を守る事。
葉月の想いを守る事。
「さっきも言ったでしょ、美咲。私は葉月の意思を尊重したい。そして、彼女の死を無駄にしたくないんです」
「それでも……」
「雪野くんもそんなこと望んでいませんでした。望んでもいないのに人形に呪われてしまった彼の気持ちは分かりますか? 彼は人を殺してしまったんですよ。葉月を、大切なものをみんな奪われて彼はどんなに苦しいと思っているんですか?」
季流は何度も雪野の気持ちを考えるようにした。
自分と置き換えてみようとした。
もちろん、美咲のように雪野を恨む気持ちがどこかにあることを季流は感じている。
でもそれではダメだと思い、その気持ちを押さえつけた。
雪野だって望んではいなかった、彼だって一族の呪いを受け運が悪かった被害者の一人だと思うようにした。
そうでなければやっていけなかった。
「子供の気持ちなんかどうでもいい。問題なのは我々の命がその子供によって脅かされないかだ」
その言葉に青葉亭の時政は兄である裕次郎に言った。
「兄さん、それがあなたの意見ですか? もう少し冷静になってはどうかと思います。私は木崎の子供を殺す事は季流くん同様反対です」
「なんだと、お前はあの現場に行っていないからそう言えるんだ。木崎家で私は無残にも焼け焦げた死体をたくさん見てきた。その腹には穴があいていて、それは木崎の子供がつけた穴だった。あれは化け物が付けた穴だ。恐ろしい、本当に恐ろしい。自分まであんなことになるのは私はごめんだね」
「それが本心ですか。次期夏川家の当主となる方の発言とは思えないですね」
「なんだ、文句あるか! 私はみんなの内なる意見を代弁して言っただけだ。みんなこう思っているはずだ。死ぬのが怖いはずだ」
「みんながみんなそう思っていると思わないでください」
「くっ、じゃあ、お前は怖くないのかよ!」
「危機感はありますよ。そのうえで彼を殺しはしないが、ある処置が必要かと思いました。また木崎家の一族のような惨劇にならないよう最悪の場合、子供を鎖につなぐかして、動きを封じる。それがいいかと考えました。それが私の意見です」
「封じるって、ちょっとむごくないか?」
「殺すとかぬかしていたあなたがそれを言いますか?」
「それはそれで生き地獄だなと思っただけだ!」
「昔なら、それくらい当たり前だったでしょう。夏川家に残る文献には夏川家を逃亡した者、掟を破った者はそのような仕打ちを受けていたのです。ただ、現在が軽くなっただけだ」
そこで、ある女性がそっと手をあげた。
「あなた、ちょっといい?」
亜麻色の短い髪でおっとりとした顔つきの女性が時政に向けて言った。
「私はもっと木崎家のお子様は大切に優しく接してあげた方がいいと思うよ。季流ちゃんが言ったように家族を失って辛いはずです。そこはちゃんと理解してあげたいな。なによりまだ子供なんだからちゃんと愛情をもって育てないとだめだと思うの!」
じっと彼を見つめる。
「緑……分かったよ。私の意見はあくまで最悪の場合を想定したものだから、なるべくいい方向にもっていくよ」
緑と呼ばれた女性はそれを聞いて安心した様子でほほ笑んだ。
「そうなの。よかったわ」
そして続ける。
「皆さん私の意見は木崎の子を殺さずに普通に過ごさせてあげる。人形の脅威についての問題はそれに対処できる大人がちゃんと彼についていることで対処するっていうのはどうかしら」
緑は季流の方をチラッと見た。
目が合った季流は彼女が言いたいことを察して自分に何ができるか考えた。
「ちょっといい?」
そこで稲実が割って入る。
「そんな人、夏川家の人間の中にいるのかしら。総一郎様でさえ互角の打ち合いをしていたというのに。人形の力はそれだけ厄介なもの。万が一、子供が暴走した場合、誰がそれを止めるのよ」
「私が止めます!」
そこで季流は声をあげた。
「私には《霊繰畏》の力があります。いざという時、それで彼の動きを封じます。それが対処法です」
「お前みたいな若輩者にそれができると思っているのか? あまりにも信憑性がないぞ」
「そこは信じてもらわないと困ります。私はこれでもかなり力の方は強いと自負しているのですが。なにせ、昔、ある女性の心臓を誤って能力で止めてしまうほどの力をもっていますから……その日から、私は力をなるべく抑えようと気休めではありますが、特殊なメガネをしているほどです」
「季流……」
横にいる美咲はぼそりと呟いた。
「そうか。そういえばそうだったな。私の娘を殺しかけたのはお前だったな、季流」
「ちょっと母さん、そのことは……」
季流は美咲の言葉をさえぎって言った。
「はい。その節はすみません……本来、人外の物、動物にしかその能力は強く効かないはずで、人にはあまり作用されにくいのですが、私の場合は人にも強く力が効いてしまうようです」
「過信は身を亡ぼすと言うぞ、季流」
「それじゃあ試してみますか? 私がここにいる全員の動きを封じることができれば、私を信用してくれますか?」
「ああ、分かった。やれるものならやってみろ」
それに美咲は、
「ちょっと季流、お前バカか。そんなことできるわけがないだろう。こんな大勢に無理だ」
「やってみなければ分からないでしょ。私は何としてもここで優位に立たないといけないんです。たとえ無理なことでも一時的に皆を気絶させる程度でやって見せます」
「むちゃくちゃな……そんなことできるのかよ、本当に」
そこで、総一郎は言った。
「まあ待て、季流。勝負は話し合いが終わった後だ。お前が勝てば、何でもいう事を聞いてやる」
「それなら、今からでも……」
「お前は一人で突っ走り過ぎだ。何を焦っている? お前の家族の気持ちはもう聞いたのか? そこをおろそかにしてはいかんぞ」
それを聞いて季流は言葉を詰まらせる。
そしていったん落ち着く。
確かに父さんや紫さん、おじいちゃんにおばあちゃんの意見も聞く必要があった。
そして理解してもらって承諾をえる必要もあった。
「はい……分かりました。稲実おばさん、お話を続けてください」
「ああ、分かった」
稲実は続ける。
「草路、季流は紅葉亭で子供を面倒見たいって言っているみたいだけど、それはそちらでみんなが了解している事なの?」
父はそう聞かれ、こちらに視線をちらちらと向けてきた。
そして答える。
「いや……季流からさっき初めて聞いたよ、稲実姉ちゃん。だから正直戸惑ってはいるんだけどね。季流の頼みだから僕的にはなるべくそれを聞いてあげたいなぁと思っているよ。紫はどうかな? 紅葉亭に雪野くんをおいてあげてもいいかな?」
紫は難しい顔をしてしばらく言葉を詰まらせた後、答えた。
「えっと、私は……それは反対する」
「それはなんで? 紫」
そっと、草路は聞いた。
「私たちにはまだ、幼い月花と花月がいるだろう。娘をなるべく危険にあわせたくない」
「そうだよね。その気持ちは分かるよ」
「でも、私は殺すのはどうかと思う。子供にはまだまだ……人間にはそれぞれ生きる権利があると思うから、どうにかして生かせないだろうか? 殺すのはちょっといき過ぎている」
「うん。そうだよね。僕も彼を殺したくはない。稲実姉ちゃん、どうにか生かす方向に進めてはくれないかな?」
「今のところ、うちのバカ夫以外は生かすという意見が多いから、そこは大丈夫だろう」
「ちょ、バ、バカって……ひどすぎるぞ、稲実」
稲実の後ろにいる裕次郎はぶつぶつ呟く。
だが、そんなことは放っておいて彼女は言う。
「ついでに言うと、私も子供を生かす方に賛成だ。後はどこでどんな風に暮らさせるかだな」
「そういうわけだよ。兄さん。誰も兄さんの意見に賛成じゃない」
時政が裕次郎に向けて言った。
「もう、なんだよ。まるで私が悪者みたいに……みんな知っているはずだぞ。あの子供と関わると人が亡くなる。ここ数年でどれだけの人が亡くなったと思っているんだ」
「確かにここ数年、夏川家の者、木崎家の一族は多く亡くなっている。しかし、それは任務中の事故であったり、老衰であったりと木崎家の惨劇以外は子供とは一切関係がないように思われるよ」
「……ふん、そうかよ! もう知るか! 皆の好きにしろよ!」
裕次郎はこれ以上は何も言えないようで、それを見た稲実がこう述べる。
「さて、これであらかた決まったようだね。それじゃあ最終確認としてここにいる夏川家の皆さんに子供を生かすことが適切であると言う方は手をあげてください」
それに季流は手をあげる。
周りの多くが手をあげた。
そして、雪野を殺すことに賛成していた裕次郎も皆に遅れて手をあげた。
「ほぼ全員だね。総一郎さま、これで話し合いは終わりかと」
「私は木崎の子を殺すことに賛成だ。それは昔から変わらぬことよ」
「……しかし、総一郎さま、多数決でもう子供を生かす事は決まりました」
「分かっておる。だから勝負なのじゃ」
総一郎は稲実から視線を季流へと向けた。
「季流お前は先ほど、ここにいる全員のうごきを封じると言ったが、視界に映らない者が一人でもいたらそれは難しかろう。それにこの人数。ここは私と勝負をしないか。私さえ倒せればあの子供の事もお前に任せられる」
「はい。それはありがたいハンデですね。これで簡単にことを終わらせることができますよ」
「ふふ、生意気な。わしの力を見くびるでないぞ」
「見くびってなどいませんよ。これはちょっとした挑発です。少しでも私が勝つ確率をあげるためのね」
「あはは、面白い。面白いぞ季流。その生意気な態度を壊してやる」
「こっちこそ、その堂々とした態度を崩して見せますよ!」
その瞬間、季流の言葉と同時ににらみ合いが始まった。




