012 虫使いの少女
坂となっている木々が折り重なる道のない森の中には奴らの脅威がある。
――うまそうだ……うまそうだ……食いたい……
雪野達を邪魔する様にどこら中に潜む【変物】達の呻き声や視線、横切る【残像】、そして自分達の様な者を狙って襲い掛かる。
――ウマそうだ、ニンゲン! 遊ぼう、遊ぼぅ! アソボぉおおぉう!
周りを警戒しつつ雪野は【化け物】、【幽霊】の手を払いよけながら、必死に倒れた草を見て小羽の行き先を追っていた。だが……
――食わせろ! 食わせろ、食わせろ、食わせろ!
「うわあぁっ! ううっ……あぁ離せ!」
「雪野さん!」
突如、木の上にへばり付いて雪野達を追いかけていた【一つ目の黒い塊】は覆いかぶる様に彼を押し倒し、モップの様なフサフサの手で雪野の首を絞めつけた。
――食う食う喰らう。ヒヒッヒヒ、うまそうだ……ウマそうだぁアアアア!
「こ、んなっ、ところで、このぉおおおお! うぅ……花月……」
「雪野さん今、助けます!」
――グゥワアッ! ガッ……ウぅううう……
その瞬間、勢いよく【化け物】を投げ飛ばす花月がいて、近くの木の幹にへばり付く【黒い塊】が動けないうちに雪野は上体を起こし走り出した。
「花月、今のうちに行くぞ!」
「はい!」
木々をかき分けがむしゃらに進む雪野は足も元がおぼつかない中、人形を手に持ちその人形の帯に引っ掛けてあった短刀を抜き取って今、後ろから迫る【化け物】へと構えた。
――このぅ、食べてやる! えさ! エサエサエサエサァアアア!」
雪野へとニヤっと視線を向け、無数の細い腕を尖らせ飛び込んでくる【黒い塊】は、刹那、口を大きく開け鋭く尖った牙を見せていた。
「おわあああああ、わあああ! 俺に構うなよ! 俺はエサじゃないんだよ!」
とっさに短刀を掴む手を前に付きだし振りかざした雪野が閉じた目をそっと開いた時には、その【黒い塊】は目を潰された事により狙いがずれ彼の横へと落ちてきた。
そして揺れ蠢く黒い紐の様な腕が雪野の足、徐々に体へと絡まっていく。
「うぅ、あぁ……こ、このぉおおおおう!」
とっさに腕を大きく振り上げ【黒い塊】へと振り下ろした。すると粉が飛び散る様に黒い霧がたち、それは次第に縮まっていく。
「はあ……よかった。これがあって……」
安堵する雪野に潰された目で渋る様に雪野を見る【化け物】は、次にこう漏らした。
――アァこの匂い、オマエ、アノ時の……大きくなった、ナ。ウマそうな、エサ……
「だから……俺は食い物じゃないって。それしか言えないのか……」
「今の【化け物】に見覚えがあったんですか? 雪野さん」
「まあな……そんな事より小羽ちゃんを追わないと」
「でも、小羽さんの居場所はもう分かりません。虫達の羽音も聞こえませんし足跡を追う事ももうできません。完全に見失いました……」
小羽を想い、最悪な結果にこの任務を終える事にならないかという不安を覚えた。
もし小羽ちゃんが絶望しきった後の最後の逃げ道として死を選んでしまったら……
「くそ、どうすればいいんだ……」
「雪野さん!」
ふと花月の声と共に響く羽音に雪野は一匹の【虫】が円を描いている事に気づいた。赤目を光らせるその【虫】に案内されやがて雪野達は他の【虫】達が集まる小道に着いた。
「小羽さんはこの道を上がった先にいるのかもしれませんね」
「ああ。でも、何だか【虫】達はここを通るなって訴えているみたいだ……」
「そうですね。彼らはきっと、小羽さんの気持ちが分かるからこそ、こうしているんですよ……彼女は一人になりたいんじゃないでしょうか?」
「ああ、そうだな。でも……いま彼女を一人にしてしまったらだめだと思うんだ」
「どうしてですか?」
「俺は……こういう時の気持ちがよく分かるから……」
一人で考え込んでしまう時は何度もある。花月やお兄さんがいない時など時間があればいくらでも考えてしまう。考えるだけ考えて一人自問自答していきついた先に答えもなくて、ただ歪んだ思考が固まって暗い事を考える。ろくでもない事を考えてしまう……
「だから放っておけない。今も苦しんでいる彼女を放っておけない。お前だって……俺をいつも結局、放ってはおかないだろ?」
そんな時にはやっぱり花月や季流、自分の味方が何とかしてしまうから。だから……
「雪野さん……そうですね。もちろんです。雪野さんを一人だけにしておく自信が私にはありませんから……」
「あはは……それじゃあ決まりだな」
「はい! 小羽さんに会いに行きましょう、助けましょう。それが私達の役目です」
「ああ」
小羽を想う【虫】達に雪野は一歩踏み込んで訴えた。
「ここをどいてくれ、【虫】たち」
「小羽さんに会わせてください。話をさせてください」
【虫】達はブンブンと強く声を鳴らしまるでここは通さないと言っている様で……
「このまま彼女を一人のままにしておくつもりか、どいてくれ! なぜ小羽ちゃんは村人達から嫌われなければいけないのか。それはお前達の存在が彼女を人々から遠ざけてきたからだ」
途端、怒りを露にして【虫】達は彼の周りを覆った。
「うぅ……」
「雪野さん!」
心配する花月に大丈夫だと顔や動作で促し、雪野は逃げ腰になりながらも言葉を紡いだ。
「もちろん小羽ちゃんを想っていた事は分かっている。彼女は一番の心のより所としてお前達を選んだ。お前達はただ彼女が悲しまない様ずっと彼女を見守って来たんだろう?」
【虫】達は動きを止め、その場で羽を動かし空に浮いたままじっとこちらを睨んでくる。
そんな彼ら雪野もじっと見つめ返した。
「お前達に聞く。小羽ちゃんをこのまま一人にしておいていいのか。今の話じゃなくこれからの話だ。このまま彼女を誰とも関わらせず孤独のままにさせておくつもりか?」
その言葉に反応したのか【虫】達が一斉に唸る。
「怒っているのか、そんな事はないと言いたいのか? でも実際はどうだ? 彼女は苦しんでいる。根本的な問題はお前達のせいじゃない事は分かっている。ただ俺はお前達の気持ちを聞きたい。小羽ちゃんを大事に見守って来たお前達に聞きたい。本当にこのままでいいのかと」
ピタッと羽音を落ち着かせ一定の音が響かせる【虫】達を見て雪野は伝えた。
「もしお前達が、俺達の事を信じてくれるなら道を開けてくれ。俺達も小羽ちゃんが幸せを願っている。彼女を救わせてくれ。俺達が小羽ちゃんのこれからを変えて見せる!」
しばらくの間の中、彼らが動きを見せたのは雪野が瞬きをした後すぐだった。
一斉に移動し始める【虫】達は左右に分かれ小羽の元へと通じる道を開けた。
「お前達……小羽ちゃんは絶対助ける。花月いこう!」
「はい!」
進みだそうとする二人の前方に漂う【虫】達は、小羽の元まで案内してくれる様だった。
「小羽ちゃんの元に連れてってくれるのか? ありがとな」
やがてちょっとした木が生えていない空間に出てそこに小羽の姿を見かける。だが……
「一体、あれは……あの姿は……」
「小羽さん……!?」
そこに待っていた光景は誰も予想していなかったモノであった。
木々のないある空間へと辿り着き足を止めた。そこで彼女は自分の手に持っていた琥珀石に気づき虚しくそれを見つめた。
「私は……」
雪野達が来て期待もしたが自分を支配する多くの気持ちはやはり辛いものばかりで……
村人達の顔や言葉などの今までの記憶が頭の中に流れ、恐怖や悲しみと嫌な感覚が次々に溢れ出した。やがて琥珀石に零れた涙を見て彼女は緊張の糸が切れた様に思うまま泣いた。
「なんで……泣いているの、私……分かっていたじゃない、最初から……ううっ……」
(最初から諦めていたのは……諦めたふりをしていたのはこうなる事が分かっていたから。きっと今まで以上に耐えられない。こんな苦しい気持ちに気づきたくなかったから、最初から期待など持たなければそれが普通なんだと割り切ってしまえる。日常が変わらなければ何もなければ……その異常な日常がこんな嫌な日々が普通だと思えたのなら……)
視界がぼやけ目を閉じたその瞬間、ふと違和感を覚えた小羽は目を見開く。
「え、なに……?」
それは自分の内から沸き起こる感覚で、不安になり虫達達に目を向けると彼らの姿が何かと同化する様に歪み出しやがて奇妙な形へと変化しだす。
「なに、これ……もう、なんなの……?」
様々な事に戸惑うもそれがどうでもよくなっていく様に思考が揺れ動き、体中に膨れ上がるその熱を感じながら小羽はその何かに身をゆだね意識を閉ざしたのだ。
「小羽ちゃん! どうしたの?」
雪野達は琥珀石を持ち変貌を遂げた小羽を目にした。彼女の背には透明な羽が生えており、薄く開かれた瞳は雪野達を映していない様に色を失くしていた。
「どうしたんですか、小羽さん! 私達の声が聞こえますか?」
彼女の瞳の色の変化にも気づき雪野は先程、他のとは違い一匹だけ赤色の目をしていた【虫】の事を思い出していた。彼女の目の色は今……
「赤い。もしかして……何かにとりつかれている、のか?」
「え?」
「それじゃあさっきの【虫】も……」
彼女の中には何かがいる、直感でそう確信したとき以前と違い赤くなった瞳を開かせた。
「ああ……久しぶりだ、【虫】達よ」
声は小羽のものだがその豪然たる面持ちは彼女がもう小羽ではない事の証だった。
しかし彼女の体にとりついたその意識は一体、誰だ?
「もしかして〈虫使いの少女〉なのか……?」
飛び回り騒ぎ出す【虫】達に微笑む彼女の姿を見てふとその考えを口に出した時、小羽の瞳は彼を捉えた。映す景色は一瞬にして閉ざされ、【虫】達の羽音や体や足にかかる重力も感じなくなっていく。そしてその代わりに頭の中にはある記憶が流れ込んでくる。
これは〈虫使いの少女〉の仕業か、それとも人形……?
「あぁ……」
辺りは田んぼだらけ和服を着ている多くの人々の姿や知っている長い階段、その先にある宮の前まで駆け上がる幼い少女。映された最初の光景は温かな日常だった――
【虫】と共に戯れる子供の姿。
――あはは、まって。まってよ!
その子供がすくすく育ち、いつまでも変わらず虫と会話している姿。
――今日はね。嬉しい事があったんだ。聞いてくれる。きっとあなた達も……
その少女は小羽とよく似ていた。
やがて彼女は村人達から尊まれ、崇められる存在になった。
――私ね、選ばれたんだよ。私は特別だからね。明日から私は……
巫女となり崇められ彼女の家は幸に満ちた。だが……彼女が生きた時はそう長くはなかった。
――どうして? なぜこんな事に……
度重なる自然の脅威、村を襲う厄災、疲弊した村を救うため少女はこの後、生贄として死を促される。恐怖の中、彼女は知った。いや、ずっと思いつ続けて気づかぬふりをしていた。本当は皆、自分を厄介者だと思っていた事、また恐れていた事を……村人達のその歪んだ顔を見彼女は最後に【虫】達に言ったのだ。
――お前達を置いて行くわけにはいかない……
だから死の直前に彼女は村人達の前で宣言した。
――私は、再びこの地へ帰るだろう。いつか必ず!
自ら振り下ろす短剣は戸惑いなく胸へと振り下ろされ最後の時、彼女は涙して悔やんだ。
『なぜ? 私は……皆から受け入れられないのだろう?』
はっきりとした色がつき瞬間、小羽と〈虫使いの少女〉の言葉が重なった。
森の中にある広い空間で琥珀石を手に泣いている小羽の姿が映ったのを最後にして景色は真っ黒に染まる。だが次第に光が膨れ上がり同時にある声が響いてきた――
「……の、さん! 雪野さん! しっかりしてください、雪野さん!」
よく知っている声に雪野は意識を、感覚を現実に戻していった。
「あ……花月。いま俺……何か少し気持ち悪い……」
「雪野さん? 大丈夫ですか? いま意識が……」
「あー、そうか。俺、小羽ちゃんの記憶を見ていたんだ……いや〈虫使いの少女〉だ」
「それって……」
花月はそっと彼女の方に顔を向けた。
「今、彼女の中には〈虫使いの少女〉がいる。この村の伝説は本当にあった事だったんだ」
「伝説って昨日の夜、言っていた……それじゃあ彼女は村人達に……」
花月が疑問を口に出した瞬間、少女は目を閉じがくんと力なく顔を下げ、体を丸めた。
しばらくしてふと上体を起こす彼女は不思議そうに雪野達を見つめていた。
「あれ……? 雪野さん、花月さん……?」
虚ろに開かれた目はちゃんと視点があっていないかの様に思え違和感はあったが、確かに彼女は自分達の名前を呼んだのだ。
「あなたは小羽ちゃんなの……? いや、小羽ちゃんだよね!」
返事がこない代わりに彼女は目線を雪野達から逸らし【虫】達を見た。
「昔から思っていたの……なぜあなた達と一緒にいるとこんなに懐かしい気持ちになるのか。愛おしく思うのか。ずっとそれは私にはあなた達しかいないから、一人だったから、寂しかったからって、ずっと思っていた……」
ザワザワザワザワ――【虫】は聞く。
「だけど、それだけじゃないみたいね。私は……私は……」
ザワザワザワザワ――【虫】は鳴く。
「私は帰ってきたのだと、再びあなた達の元へ……」
風と共に【虫】は散る! 円を描き宙に舞う! 渦を巻く黒い竜巻の如く歓喜を示す【虫】達の轟は、辺り一面の落ち葉や小枝を舞い上がらせる程の突風を起こした。その雄叫びと同時に目を細める雪野達は両手を天へと掲げる小羽を見る。
「長い間、変わらずあなた達は私を待っていてくれたのね。ありがとう」
返事するかの様に【虫】達は、それぞれに言葉を発する様に小刻みに鳴々する。
「でも、あなた達はやりすぎたわね。この体の持ち主の為とはいえ、村の人達を襲うなんて……今すぐ呪いを解きなさい、さあ!」
【虫】達は一斉に声の主に従った。小羽ではない小羽でもある少女に従った。
空を舞う【虫】達は一瞬の黒い飛行機雲を映しだして消えていった。
その後の空には雲が覆いかぶり、灰色が村全体を侵食し様と強風と共に広まっていた。
雪野達が小羽を追って山の中へと消えてから三十分は経過していて、村人達を落ち着かせた後、公民館に残った季流は深刻そうな表情で近づいてくる小羽の父親の呟きを聞いた。
「結局こうですよ。私も小羽も諦めているんです……」
琥珀石が戻っても小羽を犯人だと疑う事を止めない村人達により小羽は逃げ出した。その結果に季流は特に驚きはしなかった。うまくいくとは限らないとある程度、予想はしていた事だ。
「琥珀石はもう見つかりました、あなた達のおかげです。だから……もうお帰りください。これ以上は求めません。小羽もそう思う事でしょう」
「しかし、小羽さんの気持ちを聞いてからではないと……」
「あの子も、そう望むはずです!」
「そうですか?」
「きっと……大丈夫です。また今までと同じに戻るだけですから」
「私も本人の意思を無視して動ける程お人よしではないのでこれ以上無理に行動に移す事はしません。ただ後は人々の態度とやはり最後に彼女自身の気持ちに任せます」
「はい。そうしてください……これは仕方ない事なんです」
父親のそんな言葉を聞いた直後、人々のざわめきと共に公民館前の広場に異変が起きた。
「あ、あれはなんだぁ! 虫じゃないのか? 逃げろ!」
皆、一人の男が指さす方を見て怯えた様な表情をし、一瞬にしてその場には彼らの叫び声が広がる。季流も森に目を向けそこから黒い塊が押し寄せてくる光景を確認した。
「虫だぁ、虫が来る!」
「うわあああ! 虫だ。虫が襲いに来たぞ!」
「みんな逃げて!」
「助けて! ママ!」
男女それに子供も集まるこの場で季流は考える。
「果たしてこの状況……彼らはこの村の人々を襲いにきたのでしょうか?」
【虫】達を追い払うべきか迷ったが、季流は小羽の命令なく【虫】達は動かないだろうと考え様子を見る事にした。
「ここは信じましょう」
よく知る〈彼〉と不幸に対しての受け止め方が似ている事、そして村人に恐怖した日でさえ村人を傷つける事はしなかった小羽を信じる事にした。もし最悪な状況になったとしても対処できるよう季流は人々の動きや【虫】の動きにしっかり目を凝らし観察した。
ブブブンブンブブンブンブブン――――――
迫ってくる【虫】達との距離は五十mほど近づいた。広場から散った村人達には目もくれず、病人が寝かされている公民館に向かって一斉に飛んでいく彼らの姿があった。
「どうやら村人達を襲いに来た訳ではない様ですね。だとすると……」
公民館の玄関に立っていた彼はすぐその場を動き、建物の裏へと足早に向かった。
「きゃあああ、【虫】だ! 誰か、助けて……」
「わぁあぁ! やめろやめろ、やめろ!」
「【虫】だぁ! 死ぬ、死ぬぅ!」
公民館の中へと入っていく【虫】達はそこで何をしているのだろうか?
中を覗き込んだ時こんな光景が目に入ってくる。弱々しく手を振り上げて追い払おうとする老いた女性もいれば、その場から何とか広場にでた若い男性もいた。
この時点で【虫】達が彼らに危害を与えていたのらなら季流はすぐ、《霊繰畏》の言葉の力で強制的に止めるところだったが、手で払われてもその針で彼らを刺す事もなくただ患者の幹部にまとわり付こうとする【虫】達を見て季流は大丈夫だと彼らの行動を見守った。
患部を蛇の様な舌で舐める【虫】達がいて、やがて一人の男性が不思議そうに呟いた。
「なんだ?」
やがて【虫】は離れ、広場に出る沢山の患者達は自分の体の違和感に気づきだしていた。
「どういう事だ? 傷が直っとる。痛みももう苦しくないぞぉ」
「本当だ。もうあの痛みやだるさが嘘の様に無くなったわい」
【虫】達は役割を終えたという合図の様に羽音を強く鳴らし森の中へと帰っていく。
「虫が去った……この村は、おら達は救われたんだぁ!」
村人の歓声の中、季流を怖がる事なく一匹の赤目の【虫】は周りを飛びまるでついてこいと言う様に円を描き森の方へとゆっくり進んでいく。
「ついて行けばいいんですか……?」
虫達の行き先はおそらく小羽の所だろう。
ふと頬に垂れた雫に顔を上げると雲行きは怪しく一雨きそうな空模様だった。




