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彼女が死ぬ3日前  作者: leemero
第①章「六月の雨」

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第十四話 「知らない番号」

雷鳴が遠くで響いた。

部屋の窓が微かに震える。

あなたはスマートフォンを握り締めたまま動けなかった。

画面には二通のメッセージ。

『余計なことをするな』

『次は君も巻き込まれる』

知らない番号。

知らない相手。

だが、その言葉だけで十分だった。

誰かが見ている。

蒼井萌だけじゃない。

自分も。

呼吸が浅くなる。

喉が乾く。

落ち着け。

まず考えろ。

この番号は誰だ。

萌へメッセージを送っていた人物なのか。

それとも別人なのか。

あなたは返信画面を開く。

しばらく悩んだあと、一文だけ打った。

『誰だ』

送信。

すぐに既読が付く。

だが返事は来ない。

一分。

二分。

三分。

画面は静かなままだった。

やがて。

ピコン、と通知音が鳴る。

あなたは反射的に画面を見る。

返信は一言だけだった。

『知らない方がいい』

背筋が冷える。

ぞわりと鳥肌が立った。

冗談ではない。

本気だ。

画面越しなのに、その異様な空気が伝わってくる。

眠れない夜だった。

時計を見る。

午前一時。

窓の外ではまだ雨が降っている。

ベッドへ横になっても目は冴えたまま。

頭の中では今日の出来事が何度も繰り返されていた。

黒いパーカーの人物。

数字だけのアカウント。

知らない番号。

そして蒼井萌。

考えれば考えるほど分からなくなる。

そもそも。

なぜ萌なのか。

彼女はただの高校生だ。

目立つわけでもない。

トラブルを起こすタイプでもない。

そんな少女がなぜ。

気付けば朝になっていた。

六月八日。

窓の外には青空が広がっている。

久しぶりの晴れだった。

だが。

その青空を見ても気分は晴れなかった。

あなたは急いで学校へ向かう。

今日は確認しなければならない。

蒼井萌が生きているのか。

それだけを。

教室へ飛び込む。

息を切らしながら窓際を見る。

そして。

そこにいた。

蒼井萌。

いつもの席。

いつもの横顔。

窓の外を眺めている。

生きている。

六月八日だ。

六月七日を越えた。

あなたはその場に立ち尽くした。

助かった。

本当に。

助かったのか。

萌がこちらを見る。

目が合う。

すると。

不思議そうに首を傾げた。

「どうしたの?」

あなたは答えられない。

胸の奥が熱くなる。

安堵。

喜び。

混乱。

色々な感情が一気に押し寄せる。

萌は少し笑った。

「変な顔」

その何気ない一言が。

涙が出そうになるほど嬉しかった。

しかし。

その時だった。

教室の後ろで誰かが言った。

「そういえば昨日さ」

クラスメイトの声。

「駅前で警察来てたらしいな」

あなたの身体が固まる。

「なんか女子高生が倒れてたって」

別の生徒が続ける。

「でも無事だったらしいぞ」

「へぇ」

何気ない会話。

だが。

あなたの心臓は大きく脈打った。

駅前。

女子高生。

昨日。

それは。

本来なら蒼井萌が死ぬはずだった場所。

あなたはゆっくり拳を握る。

運命は変わった。

確かに。

だが。

終わっていない。

そんな気がした。

なぜなら。

窓際の蒼井萌は。

まだどこか悲しそうな顔をしていたから。

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