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推しに夢中  作者: 虚月 悠奈


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39.推しがどうなるルートなの!?

まごつく杏に、なんだか華は楽しくなってしまう。

いつもは大人っぽく見える杏だが、恋愛の事となると急に年相応の可愛らしい女性となるらしい。

すごい勢いで目を泳がせて、落ち着かない様子の杏を華がさらに追い詰めようとする。


「言ってくれないのなら、私が当てちゃおうかな〜」

「え!?」


自分が話し出すまでは待ってくれるだろうと思っていたのだろうか。

杏の顔色がたくさん変わる。


「まずは〜、うーん、定番はやっぱあとに置いとくとして、ズバリ、生まれた村で、杏さんの帰りを待ってる人ですか?」


その言葉に控えめに首を振る杏。


「じゃあ、あの人のルートは消えたか……。これまで立ち寄った村の人も違いますもんね?」

「……うん。」

「うーん、なら……。あ、……。」


華のトーンが急に落ちる。

杏は少しだけ、華のことを心配した。


「あの、おそらく違うと思うんだけど、……。」


ヴォイドさんじゃないよね?

と華が小さい声で尋ねる。

杏の肩の力が少しだけ抜けた。

表情も少し緩くなる。


「ふふ。やっぱり気にしてるんじゃん。大丈夫だよ!私はヴォイドさんのこと、なんとも思ってないから。」

「気にしてな……いことはないですね。確かに……。だって推しだもん。」


また推しとか言ってると笑う杏に、華が再び攻撃を仕掛ける。


「はいはい。あ!え、待ってもしかして……。」


確信を突いてきそうな華の雰囲気に、杏がごくりと喉を鳴らす。


「もしかして、魔王様……?最近よく話しに行ってるよね?しかも杏さん自らって聞いてるよ。」

「ははっ。まぁ確かにね。」


先程よりもさらに緊張が溶けた様子で、杏はお腹を抱えた。


「確かに、最近よく魔王様の所に行ってるけど、なんて言うか……。うーん、ほんと言葉にするのが難しいんだけど、なんかほっとけないって言うか。私が今まで持っていたイメージとは違うんだよね。なーんかお節介焼きに行っちゃう、みたいな。前みたいに絶対倒さなきゃって感じじゃ無くなっちゃってて。仲間のみんなには申し訳ないんだけど……。」


切ないような複雑な表情を浮かべる杏に、華も少しシリアスな気持ちになる。


「なんかごめんね、て感じだと他の幹部の人もないよね。じゃあやっぱ、今まで旅をしてきた仲間かな?」


そう言って、華は杏の方を見る。

その表情で、肯定だと言うことを確信した。

照れているような覚悟のような、強いヒロインにふさわしい、素敵な笑顔だった。


──てことは、やっぱ王道の勇者ルートか。


「はやく、みんなが助けに来てくれるといいね。」

「うん。皆なら絶対にここにたどり着けるって信じてる。私も、それまでにできることをめいいっぱいやらなきゃね。」


勇者ルートだと、杏が連れ去られてからおよそ1ヶ月で勇者が魔王城にたどり着くルートがほとんどだ。

人によっては育成でめちゃくちゃ濃い1ヶ月を過ごす人もいれば、RTAで爆速でお迎えに来る人もいる。

今回のプレーヤーの実力は、一体どんなものなのだろう。


「ゆ……その人の、どんな所が、好き?」


気がついたら、華は口に出していた。

まるで自分に問いかけているかのようにも感じられたその質問に、杏が答える。


「そうだね、何時からなんだろう。気がつけばそばにいるのが当たり前で、いつも私のことを想ってくれてる。もちろん仲間に対しても優しいんだけど、私にはまた特別優しくしてくれてる感じがして。気がついたらあの人の役に立ちたい、共に居させて欲しいって、そう思うようになっていったかな。」


話し終えた杏が、華の方に微笑みかける。


「恋って本当にストンって落ちるものなんだね。」


首を少しだけ傾けて、膝を抱き上げるようにして座る。

サラリとつややかな髪がひと房肩から落ちて、その髪の隙間から除く黒い瞳が、とても美しかった。


杏の話でルートが分かり、華のこれからの行動に目標ができる。

ただ、ヴォイド目線で行くと、勇者ルートはあまり当たりのルートではない。

そもそも魔王側のキャラクターなので、攻略対象にしてくれただけでありがたく思わないといけないのかもしれないが。


お互いの好きな人のことも話し合って、前より少しだけ距離が縮まった2人。

華は時計を見て驚いた。


「え、もうこんな時間!?」


その大きな声につられて、杏も時計を見る。

時刻はなんと真夜中。

ヴォイドの部屋に戻ってきてから、なんと4時間が経とうとしてきていた。

いた。


「ねえ、杏さん」

「うん。」


2人は立ち上がりながら、顔を見合わせる。

言葉にしなくても、お互いが何を考えているかが伝わった。

嫌な汗が、華のこめかみをつぅっと流れていった。


──流石に遅すぎる。ヴォイドたちに何かあったのか。それとも今自分たちが置かれているこの状況、が緊急事態なのか。


どちらからともなく、2人は外へと繋がる扉の方へ駆け寄っていった。

華の頭に浮かぶのは、やはりサミュエル。

彼が、まだ実験の途中だと言っても、華は驚かないだろう。


外出の許可はもちろん貰っていない。

ノアもさすがにもう自室へ戻ってしまっている。

杏は躊躇わずに部屋の扉を開き外に出た。

華も杏の後ろについて外へと飛び出していった。

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