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推しに夢中  作者: 虚月 悠奈


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36/41

36.推しに内緒のティータイム

「華ちゃんは?どこか怪我してない?」


白衣の天使、いや白衣は着てないが、とにかく治癒魔法の天才が、華に声をかける。

杏は先程、重症だった男の子の治療を終えたばかりなのに、すぐに他の怪我人に対処しようとしていた。


「大丈夫、ありがとう!私よりも女の子の方を先に治してあげて。」


男の子の元から離れようとしない妹を、華は目で示した。

女の子はそこまでの大怪我は負っていないが、それでも細かい擦り傷などが沢山できていた。

その様子から、兄が妹を傷つけないようギリギリで戦っていたであろうことが読み取れる。


「あ!ママっ!」


4人の元に先程のロングヘアの女性、ソフィアが戻ってきた。

ソフィアは気を失ったサミュエルを魔王様の元に連れていくと言い、一度部屋を出ていた。

ソフィアに女の子が抱きつく。

杏は女の子の動きに合わせて、治療を続けてあげていた。

ソフィアが女の子を愛おしそうに見つめて、頭を撫でるその様子に、華は先程までここが戦場だったということをすっかり忘れて魅入ってしまう。

心が浄化されていくような気がした。


「私が目を離したばかりに、苦労をかけたな……。」


ソフィアは女の子を抱き上げると、そのまま男の子の元へと向かう。

もう片方の腕で優しく抱き上げると、くるりと振り返った。


「ここは酷い匂いだ。早く出よう。私の部屋に来るといい。礼がしたい。」


その言葉に、華と杏が頷く。






「2人とも紅茶は飲めるか?」


部屋に着くと、ソフィアは杏と華に席に着くよう促した。

オシャレなテーブルに、2人は少し遠慮がちに座った。


「はい。」

「大丈夫です。飲めます。」


4人がけのテーブルで、空いた席の1つに女の子が座る。

少しだけ高さが足りず、テーブルから顔をひょっこり覗かせるその様がとても愛らしかった。


「砂糖やミルクは?」


ソフィアは男の子を寝室へと運ぶと、そのままキッチンへと向かい、お湯を沸かし始めた。


「私はそのままで。」

「お砂糖だけお願いします!」

「ああ、分かった。エヴァは今日もココアかな?」

「うん!運ぶの手伝う!」


さっき座ったばかりなのだが、女の子は椅子から立ち上がりキッチンの所へと駆けて行った。

しばらくして、素敵な茶葉の匂いと共に、ソフィアがリビングに現れた。


「待たせたな。熱いから気をつけて飲んでくれ。」

「「ありがとうございます!」」


暖かい紅茶が喉を通り、華はやっと心が落ち着いて来た。

喉がとても乾いていたことに気がつく。

潤いを求めて、こくりこくりと喉が動いた。


「改めて、2人とも、私の名はソフィアと言う。名乗るのが遅くなってすまない。この度は私の可愛い子供達を救ってくれて、本当にありがとう。」


ソフィアが深々と頭を下げる。

それを見て、2人は慌てた。


「そんな、私なんて何も出来なくて見てるだけだったし。」

「私もソフィアさんが戦ってる間に2人の治療をしていただけで……。」

「いや、杏さんはめちゃくちゃすごいよ!私の時もだけど、あの状態からあんなに回復させるなんて。」


華は言いながら若干嫌な言い方になってしまったと、反省する。

杏は、それが私の唯一の取り柄だからね、できることをやったまでだと謙遜する。


「謙遜することはない。2人がいなかったら、私は愛する人たちを失っていただろう。」


ソフィアが再び、女の子と寝室にいる男の子の方へと目を向ける。


「あのね、ママ。このお姉さんが、くらいところから引っ張りあげてくれたの。」


女の子が華を指さしながらソフィアに報告する。

人に向かって指をさしてはいけないと優しく諭しながら、ソフィアは改めて華の方へ向いてお辞儀をした。

あまり否定するのも良くないかと、華は観念して照れながら紅茶を飲んだ。


「今後この城で何か困ったことがあれば、ぜひ私を頼って欲しい。この恩は忘れない。私が必ず力になろう。」


力強い眼差しに、無敵な気持ちになった。

ふたりは強く頷く。


「とりあえず、サミュエルについては安心して欲しい。あの怪しいタブレットの件もあって、一旦命だけは勘弁してやったが、すぐに処罰させる予定だ。」

「ありがとうございます。」


お礼を言いながら、華は何故か不安が拭えなかった。

まだ彼が生きている限り、華の心が一生休まることはないのだろうか。


「今のところ、なにか体に不調はないか?変な薬を打たれたりしていないだろうか?」

「はい、今回は大丈夫です。ただやっぱり、あのタブレットだけが心配で。私が画面を見た時には私の顔写真と、プロフィールのようなものがつらつらと書かれていて、正直気味悪かったです。あれの操作をされると、決まっておかしくなります。まるでマインドコントロールを受けているかのように……。」

「なるほど、そこに関してはソル様がサミュエルから聞き出してくれることを祈ろう。この件が片付くまで、全力でサポートする。……だから、そんな顔をするな。」


眉間に皺を寄せる華の顔に、ソフィアが手を伸ばす。

シワを伸ばすように、優しく肌に触れた。

その距離感に、華は思わず顔を赤くした。


───さすが攻略対象なだけある!……でも気になるのは……。


華は女の子に目を向けた。


───ソフィアに子供はいなかったはず。この子達は一体誰なんだろう。



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