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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
■第二部 マクニール魔法学院四年生

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穴の奥には

 ビリビリとした空気を感じるほど、アルとウルリッヒの間に緊張感が走る。

 やがて、アルが低い声で言った。

「わかった。では、勝手に一人で探索すればいい」

「ああ。もちろん、そうさせてもらう」

 ウルリッヒは勝ち誇った顔だ。そして、颯爽と奥の廊下へ歩き出した。

 えぇ~……?あの大量の虫、どうするの……?

 心配しながら見ていたら、ウルリッヒが片手を挙げて何か呟き、周囲が白く霞み始めた。

 え、何……?

 同時になんとなくヒンヤリしてくる。

 すると、驚いたことに虫がざわざわと動き始めた。壁の間に隙間があるのか、みるみるうちに姿を消してゆく。

 ……そうか!

 虫って寒いところが苦手だから、ウルリッヒは空気を冷やしたのね?!か、賢~い。


 ウルリッヒの姿が消え、アルは残ったベルティルデやグレタに「さあ、出よう」と促す。

 ベルティルデは不安そうにウルリッヒの去った方を見つつ、悄然と歩き出した。グレタもおとなしく後に続く。

「……いいの?ウルリッヒを奥に行かせて?」

 そっとアルに問えば、アルは苦笑した。

「突き当たりには、扉があると思うよ。扉は、鍵がなければ開けられないだろうから」

「あー……なるほど」

「アリーは、奥に何があるか見当がついている?」

「領の神殿と似ているからね、この廊下。なんとなく予測はつくよ」

 たぶん、この森を動かすための魔法陣が描いてある部屋だ。建国時の建材で作られている場所といえば、それしか想像できない。

 アルは得心した顔で頷いた。

「そうか。なんとなく知っている気がしたのは、城の地下と似ているからか……」

 へえ……王城の下にも魔法陣があるのね。


 ベルティルデとグレタに続いて私たちも歩き始めたとき。

 奥から、何か―――獣の咆哮のようなものが聞こえた。

 その瞬間、アルが私の背を押す。

「アリーたちは、このまま外へ!先生を呼ぶんだ!」

 そう指示して、すぐに身を翻して奥へ走っていった。

「えっ、な、何?」

「ウル!」

 グレタはオロオロとし、ベルティルデは血相を変える。そしてアルを追って奥へ行きかけたベルティルデの腕を私は慌てて掴み、リックに「外へ連れて言って!」と押し付けた。

「お嬢?!ダメだ、行くんなら俺が!」

「私の方が大きい魔法を使えるから!」

「ちょ、そういう問題じゃ……」

 わかってる!でも、こんな状況で外で待つのはムリ……!


 廊下は、ものすごく長く感じた。

 息を切らしながらたどり着いた行き止まりの広い空間には、黒い何かがいた。

 巨大な……イノシシみたいな獣?

 すっごいキバを持っている。全長は二メートル以上ありそうだ。

 私が着いたとき、ちょうどイノシシがまた咆哮したところだった。

 ビュッ!

 咆哮と同時に、黒い物体がいくつも飛んでくる。アルが短く呪文を唱え、氷の障壁を築いて黒い物体を弾く。

 足元に転がってきた黒いものを見ると、十センチくらいのトゲのようなものだ。

「アリー?!どうしてこっちに来た!」

 うひゃっ!

 アルに怒られた!

 アルは、私のやや左前方にいる。

 そのすぐそばに腕を押さえたウルリッヒがうずくまっていた。ケガをしているようだ。

 険しい顔のアルは再び呪文を唱え、今度は氷の槍を出現させた。全部で五本。

 それを、獣に向けて放つ。

「グォーーーッ!」

 獣が咆哮し、すべての槍が砕ける。

 ウソ、コイツ、ものすごく強くない?

 ビュッ!

 また、トゲが飛んでくる。

 アルは信じられない反射神経でウルリッヒを抱えて転がった。

 ダメ、私も加勢しなきゃ!

 慌てて呪文を唱え、獣に向けて放つ。風の魔法、最大限で。

 この頃、私は魔力を抑える腕輪を付けている。たまに授業で出力を間違えてしまうから、予防のために。

 今、外すヒマはない。

 とにかく力いっぱいやらないと!

「ガァッ!」

 獣は吹っ飛んで壁に貼り付いた。

 私は風を緩めず、アルに向かって叫ぶ。

「アル、もう一回、氷の槍で攻撃して!」

「……ハスタ・トレンス!」

 さっきの倍以上の太い槍が一本、出現した。

 氷じゃない。水だ。

 そして―――水の槍は一直線に獣を貫いた。

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! ありますよね現代でも『G』とか害虫退治に凍らせるみたいな殺虫剤! 試したことはないけど、本当に成功すると凍ったみたいに動かなくなるのかな? さて、本編では強敵登場!それで…
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