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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
■第二部 マクニール魔法学院四年生

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穴の中へ

 ハッとウルリッヒが我に返る。

「ベルのやつめ!連れ戻してくる」

「え、待って……」

 慌てて止めたけれど、ウルリッヒは俊敏な動作であっという間に穴に消えた。

 は、早いよ、ウルリッヒ……。

 アルが額を押さえ、盛大に息を吐く。

「考えなしが三人……」

 うん……ホントにね……。

 これって、先生を呼ぶ方がいいのかなぁ。でも隠しポイントなら、みんなで行って調べるのが正解かも。

 穴を見ながら悩んでいたら、私を制するようにアルが片手をこちらに向けた。

「アリーはここで待機しておいて。僕が三人を連れ戻してくる。もし、しばらく待っても戻ってこないなら、先生に連絡を」

「え?……それより、みんなで行く方が」

「基本的に、森にこんな奥の見えない穴は作らない。力の強い魔獣が中に入り込んでしまったら、交流会前の先生たちのチェックから漏れる可能性があるからね。何もいないならいいけど、そうじゃなかった場合、みんなで行くのは危ない」

 それを聞いて、後ろにいたグレタの班の子たちがざわざわとした。

 力の強い魔獣と聞いて、不安になったようだ。

 私も不安になった。

「じゃあ、なおさら私も一緒に行く」

「ダメ」

「ダメじゃないよ。アル一人で、あの三人を説得出来るの?」

「うっ……」

 私の言葉は、痛いところを突いたみたい。アルの顔が引きつった。

 ……だと思った。

 それでなくても、普段からウルリッヒたちを避けているのに、アル一人でトラブルなくすんなり連れ戻せるワケないじゃん。

 私の横でリックが苦笑した。

「じゃ、俺とお嬢さま、アルフレッド殿下の三人で行きましょう。……ゆっくり300数えて、帰ってこなかったら破光弾で先生に連絡をお願いします」

 後半は、後ろのグレタ班に向けた指示だ。

 最年長の伯爵令息が硬い顔で頷く。

 300くらいで……戻ってこれるかしら?


 穴は、少し進むと左に曲がり、すぐに白い壁の廊下になった。

 ……あれ?これ、洞窟じゃないよ。

 うっすらと壁自体が光っていて、明かりがなくても歩ける。

 この廊下に似た場所を、私は知っている。

 これは―――

「きゃーーーーーっ!」

「いやぁ!!」

 そのとき、奥から悲鳴が聞こえた。

 私たちは一瞬、顔を見合わせ、急いで声の元へ。

 廊下を今度は右に曲がったら、やや開けた空間に出た。

 そこで、グレタとベルティルデが踊っていた。

 ……いや、違う。

 何かを払っている?

 その前で、ウルリッヒが呆れた顔で立っている。

 ……えーと、どういう状況なの、これ。

「ウルリッヒさま、これは……」

 私が話しかければ、ベルティルデが涙を溜めた目で叫んだ。

「ちょっと、アリッサ!わたくしの背中、背中ぁ!」

「はい?」

「虫がいますの!取って!取ってぇぇぇ!」

「私も!!!私もぉぉぉぉ!」

 二人の背中を見れば。

 ……ひゃあ!

 前世のゴ●ブリに似た虫が何匹かくっついてるぅ!

「いやー!」

 思わず私も叫んで、すぐ横にいたアルにしがみついた。

 ダメ。私もアレはダメ。

 するとリックが、やれやれといった様子で、ベルティルデとグレタから虫を払った。そして、下に落ちた虫を躊躇いなく踏み潰す。

 うわぁ……。

「毒もない虫に、騒ぎすぎです」

「そ、そういう問題ではなくてよ……」

 ベルティルデが息も絶え絶えに呟く。

 うん。毒のあるなしじゃないのよ、リック!

 アレは、生理的に嫌悪感を抱くのよ!

 息を整えつつ、ベルティルデが恨みがましい目でウルリッヒを見た。

「酷いですわ。眺めているだけなんて」

 文句を言われて、ウルリッヒは胸を張る。

「当たり前ではないか。私もあんな虫は触れぬ。だから、それ以上行くと危ないぞと警告したのに」

「理由を!理由をちゃんと言うべきでしょ!」

「理由を言う前に、そなたらがさっさと先へ行くのが悪い」

 先……?

 開けた空間の先に続く廊下を見てみる。

「ヒッ!」

 いやぁ、天井にゴ……がいっぱい!!地獄じゃん!!

 私はさらにアルにしがみついた。

 イヤだ。もう出たい、ここ。

 アルが私の背を優しくトントンとしながら、ウルリッヒたちに言う。

「ここは、勝手に入っては行けないところだ。外へ出よう」

「勝手に入ってはいけない?」

 途端にウルリッヒの目がキランと光った。

「アルフレッドはここがどういうところか、知っているのか」

「来たことはないし、予測に過ぎないけれどね。……さあ、虫がこっちに来るかも知れない。戻るよ」

 さすがにベルティルデもグレタも異を唱えず、素直に頷く。

 しかし、ウルリッヒが納得しなかった。

「この奥に、何か隠されているというなら、私は見に行く。一人で行くから、そなたたちは戻れ」

「ウルリッヒ。集団行動を乱すな」

「私に命令するな、アルフレッド」

 ピリッ。

 突然、空気がひりついた。

 アルが……怒ってる。周りの空気が冷えていくよ……。

 ベルティルデが「ウル!」と大きな声を出した。

「ここは、わたくしたちの国ではないわ。貴方の好き勝手にしては駄目」

「……交流会で、行ってはならぬと定められた線を越えておらぬ。自由に探索して問題のない場所であろう?」

 好戦的な眼差しで、ウルリッヒはアルを見ている。

 まあ、確かにそうなんだけど。

 その前に、あの虫を越えて先へ行けるの、ウルリッヒ?

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読んでます! 洞窟と聞くと、日本人のイメージだとクマさんが1番に上がるかな? 最近特にクマ問題が多いせいもあるけど。 さて、前世のGににたあいつの集団! 普通に自分も駄目だろうな〜(笑…
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