↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/66

18. 次男は兄を――



 「憧れている人物をあげなさい」と言われたら、迷わず父さんの名を口にする。

 聖女の再来と謳われる父さんの魔法の才は、ルーチェの永い歴史においても他にはないレベルだ。

 莫大な魔力量と、そこから繰り出される変幻自在な魔法の数々……憧れるなっていう方がおかしいでしょ。

 辺境伯爵じゃなければ、誰もが知る魔法師(メイジ)になっていたんだろうな。


 ——じゃあ、「尊敬する人は?」





◇◇◇



「……あーもう! ムカつく!」


 気にするに値しないバカ話だって分かっているのに、無性に兄さんの顔が見たくなった。

 勢いだけで執務室の前まで来たものの、重厚なその扉の前で立ち往生してしまう。


 室内にいるのは分かっているけれど、そこに出入りできるのは当主と夫人、そして特別に権限を与えられた者——兄さんだけだ。

 ……ほら、やっぱり兄さんはすごいんだから。


 早く出てこいって念が届いたのか、目の前の扉が開く。

 中から出てきた待ち望んだ人に、思い切り飛びついた。


「おわっ!? なんだよ、急にどうした?」

「……かまってくれるって言ったのに」

「時間が空いたらって言っただろーが……しょうがねぇな、お前も付き合え」

「うん?」


 促されるまま隣に並ぶと、髪をグシャっと一撫でされる。


「果樹園に行く。誰かさんがとんでもねぇ魔法をかけちまった一帯を、視察に行かねぇとな?」

「うぅ……」

「ハハッ! ちゃんと案内しろよ」


 まだ成人前なのに、兄さんは既にこうして当主代理を任されることが多い。

 俺の兄さんであるソルヴァスが大好きだけど、若様として立ち振る舞うソルヴァスはとにかく格好いいのだ。


「んふふ! お任せください『若様』〜!」

「はぁ? お前、調子に乗ってんなよ」


 呆れたような兄さんにくっつくと、デートみたいに腕を絡ませる。


「早く終わったら街の子供たちのところへ顔を出しに行こう。兄さんにも会いたがってたからさ」

「ガキ共の相手なんかしてらんねーっての。……ったく、面倒臭ぇな」

「ふふっ! 絶対に喜ぶよ」


 みんな兄さんのこと、大好きだもんね。

 ……まぁ、俺の兄さんだけど。




.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。