12. 双子の兄は考察する
原作アンチの民になると開き直ったヲタクは強いんだ。
脳内にある“ののの”の記憶を掻き集めて、俺……いや、ルナリアについて考察する。
……が、どんなに思い返しても、今ある記憶以上のことは思い出せない。
そりゃそうだよなぁ……あれだけ分厚かった公式ファンブックに、2行だもん。
でも、その情報の少なさがかえってウケたのか、いわゆる二次創作では結構活躍してたんだよ、ルナリア。
王太子×従者@過去捏造モノが王道だったけど、もはや原作接点皆無な四大令息×ルナリアなんてのもあったなぁ……
……いけない、また脱線しちゃった。
自室のベッドの上でもだもだと思考を続ける。
窓から差し込む陽光はこの季節にしては暖かく、とても気持ちのいい日だ。
——さて。
死亡フラグを回避するには、なんとか死因を特定したいところ。
今分かっている情報は『王立学園入学を目前に死ぬ』ということのみ。
情報としては少なすぎて泣けてくるレベルだけど……これは押さえておくべき重要ポイントだよね。
王太子付従者が死んだから、その双子の妹を従者に据える——なんて、現実ではあり得ない。
——いや、正妃がゴリ押ししたとすれば、あり得るのか?
それにしたって、他の家門が黙ってはいないだろうけれど。
俺の場合は、安定者から従者へそのまま持ち上がったようなものだから、表立っての反発は起こらなかった。
……反発を起こす間もなく決定事項として発表された、ということは考えられる?
狸親父——いや、現王の考えそうなことだ。
だとしたら、『王立学園入学を目前に』は、比喩ではなく『文字通り』目前ということ?
……うーん、分からない。
考えれば考えるほど、深みにはまりそうだ。
「……気分転換しようか」
思考が沼りそうな時は——アレだ。
うららかな日差しも、俺を外へと誘ってくれているわけだしね。
「そうだ、訓練エリアに行こう」
ベッドから跳ね起きると、鼻歌交じりに屋敷の裏へと向かう。
ルーチェの屋敷の裏には森が広がっていて……ぶっちゃけ、ただの森だ。
それを建前上、訓練エリアと呼んでいる。
ほら、カタチって大事じゃない?
昔は結構魔物も出たらしいけど、今では静かなものだよ。
……え、訓練と称して狩り尽くしたんだろうって?
…………エヘッ!
まぁ、あそこなら心置きなく魔法が訓練できるってこと!
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