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断罪後から始まる泣き虫悪役令嬢の泥だらけ領地再生記 ―追放先の辺境村で干ばつを止めたら、商人ギルドに目をつけられました―  作者: 夜凪ユリエ


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第81話 『在庫解放』

 ――終わらせます。


 その言葉は、まだ空気に残っていた。


 広場のざわめきは消えていない。


 区画は保たれている。


 だが限界は近い。


「配給、あと半日だ!」


「持たねぇぞ!」


 声が飛び交う。


 ナディアが低く言う。


「時間切れ寸前だな」


 レオンが言う。


「次で決めるしかねぇ」


 ミレイアが帳面を閉じる。


「在庫です」


 エリシアは頷く。


 王都の中に残る最後の供給。


 商人倉庫。


 閉ざされた扉の向こう。


 そこにある。


 フィオナが言う。


「場所は把握済み」


「主要倉庫、三か所」


 ナディアが笑う。


「全部開けるか」


「はい」


 エリシアは答える。


 迷いはない。


 レオンが言う。


「完全に敵地だぞ」


「承知しています」


 エリシアは歩き出す。


 石畳の通り。


 人々の視線が集まる。


 期待。


 不安。


 そして――


 決断を待つ目。


 倉庫街。


 巨大な石造りの建物。


 閉ざされた扉。


 その前に立つ商人たち。


「ここは私有地だ」


「入るな」


 ナディアが笑う。


「来たな」


 レオンが前に出る。


 だがエリシアが手で制する。


「話します」


 一歩前へ。


「非常時です」


 商人が吐き捨てる。


「関係ない」


「契約がある」


 ミレイアが言う。


「供給妨害です」


「違反だ」


 商人が笑う。


「証明できるか?」


 沈黙。


 そのとき。


 後ろから声。


「できるでしょう」


 振り向く。


 セシル・ヴァルトン。


 ゆっくりと歩いてくる。


 その顔は穏やかだ。


 だが目は鋭い。


「面白い場面です」


 ナディアが言う。


「邪魔すんな」


 セシルは肩をすくめる。


「観察です」


 そしてエリシアを見る。


「どうします?」


 試すような視線。


 エリシアは答える。


「開けます」


 その一言。


 空気が凍る。


 商人が叫ぶ。


「ふざけるな!」


「違法だ!」


 レオンが笑う。


「いいねぇ」


 ナディアが言う。


「やれ」


 エリシアはフィオナを見る。


「記録を」


「はい」


 フィオナが即座に動く。


 そのとき。


 エリシアは声を上げた。


「王都住民へ」


 広場に響く。


 人々が振り向く。


「現在、食料不足が発生しています」


「国家として、供給を確保します」


 ミレイアが板を掲げる。


 **在庫解放**


 ざわめき。


 セシルが静かに言う。


「公開ですか」


 エリシアは頷く。


「はい」


 隠さない。


 全員に見せる。


 ナディアが笑う。


「逃げ場ねぇな」


 商人たちの顔が変わる。


 周囲の視線。


 圧。


 レオンが前に出る。


「開けろ」


 低い声。


 兵士が動く。


 扉に手をかける。


「やめろ!」


 商人が叫ぶ。


 だが止まらない。


 ぎし、と音が響く。


 重い扉が――


 開く。


 中にあるのは、


 積み上げられた穀物袋。


 大量。


 人々が息を呑む。


「……あった」


「こんなに……」


 ざわめきが広がる。


 恐怖が崩れる。


 ナディアが笑う。


「これで終わりだな」


 ミレイアが言う。


「供給回復」


 レオンが言う。


「価格落ちるぞ」


 エリシアは言う。


「配給に回します」


 フィオナが即座に指示。


 兵士が動く。


 穀物が運ばれる。


 その様子を、


 人々が見ている。


 安心。


 安堵。


 そして――


 信頼。


 ミレイアが価格板を見る。


 数字が書き換えられる。


 穀物価格――


 **急落。**


 ざわめきが歓声に変わる。


「下がった!」


「戻る!」


 ナディアが笑う。


「勝ちだ」


 レオンも笑う。


「決まったな」


 エリシアは静かに息を吐く。


 だが。


 そのとき。


 セシルが言った。


「見事です」


 振り向く。


 その顔には、


 確かな評価。


 だが同時に――


「ですが」


 その声が低くなる。


「これで市場は終わりません」


 ミレイアが言う。


「まだ何かあるのか」


 セシルは少し笑う。


「市場は損失を嫌う」


 そして指を軽く上げる。


「つまり」


 その瞬間。


 倉庫の奥から声。


「契約だ!」


「損害賠償だ!」


 ナディアが眉をひそめる。


「……来たな」


 フィオナが言う。


「法的反撃」


 レオンが笑う。


「次はそっちか」


 エリシアは板を見る。


 在庫解放。


 成功。


 だが。


 終わっていない。


 セシルは静かに言った。


「令嬢」


「次は」


 その目が冷たい。


「政治です」


 沈黙。


 市場は崩れた。


 だが戦いは終わらない。


 次の戦場は――


 **議会。**

ついに「在庫解放」で一気に形勢逆転です。


ここが読者的にも一番気持ちいいポイント。

ですが、ここからが本当の戦い。


次は“政治”。

制度は責任を問われます。


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