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断罪後から始まる泣き虫悪役令嬢の泥だらけ領地再生記 ―追放先の辺境村で干ばつを止めたら、商人ギルドに目をつけられました―  作者: 夜凪ユリエ


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第46話 『帰還』

 南部に戻ったとき、風は変わっていなかった。


 乾いている。


 畑は痩せ、空は高いまま。


 だが、人の目は違っていた。


「戻った」

「王都を動かした令嬢だ」


 ラグナ村の広場に人が集まる。


 連盟各村の代表もいる。


 アデルが腕を組み、静かに言う。


「よく戻ったな」


「逃げませんでした」


「知っている」


 短い応答。


 ブレイン村代表が一歩前に出る。


「解散案を出したこと、謝罪する」


「謝罪は不要です」


 エリシアは首を振る。


「揺れたのは当然」


「だが残った」


「全員で」


 レオンが小さく笑う。


「半袋の次は、国家か」


「まだ設計段階です」


 広場に板を置く。


 新しい項目を書く。


 国家備蓄制度――設計中。

 投機監視制度――審議中。

 南部連盟――維持。


「干ばつは終わっていません」


 静かな声。


「価格は安定しつつあるが、収穫は減少」


「国家制度が通るまで、連盟は続けます」


 アデルが頷く。


「ローヴェルは継続」


 ブレインも、他村も頷く。


 連盟は崩れなかった。


 その夜。


 ミレイアが報告を持ってくる。


「王都で投機監視案が議論入り」


「バルドは」


「沈黙」


 不気味だ。


「嵐の前かもしれません」


「はい」


 エリシアは空を見上げる。


 星が出ている。


「嬢」


 レオンが言う。


「俺は、次の干ばつもここにいる」


「頼りにしています」


「でもな」


 少しだけ視線を逸らす。


「全部背負うな」


 静かな言葉。


「俺たちも選ぶ」


 エリシアは小さく息を吐く。


「ありがとうございます」


 遠くで、ルナが笑っている。


 食事は足りている。


 少なくとも今は。


 翌日。


 王都から使者。


 封蝋は議会。


『南部連盟代表エリシア・ヴァルドールを国家備蓄制度設計顧問に任命する』


 広場がざわめく。


 アデルが低く言う。


「南部の顔、か」


「代表として引き受けます」


 責任は広がる。


 村から南部へ。


 南部から国家へ。


 だが根は同じだ。


 選ぶ。


 引き受ける。


 板に新しい線を引く。


 国家備蓄――設計開始。


 干ばつは続く。


 だが制度も続く。


 悪役令嬢は、もう断罪されない。


 代わりに問われる。


 結果で。


 物語は、国家編へと歩みを進めた。

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