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魔法少女学園  作者: 弟子
2章
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2章幕間1

「うっ………」


気絶していた七瀬あすみは目を覚ます。


「みんな…」


七瀬あすみは辺りを見回す。どうやら自分の無事と状況の把握に勤しんでいるようだ。


「あ、会長!先生!」


七瀬あすみは倒れ起き上がらない白石光と姫野愛莉の存在に気づく。が、しかし、


「沙那たちの方が大変そう!」


どうやら七瀬あすみは戦場の方へと向かうようだ。


「みんな!手伝うよ!」


「ん、お前。目を覚ましたのか?」


ルビルが七瀬あすみに向かって返事を返す。


「何でそいつと話してるにゃん!早く手伝うにゃん!」


「は?」


七瀬あすみは古賀環の態度に不服なようだ。


「誰がお前なんか手伝うもんか!音刃(メロディースケール)!」


七瀬あすみは音による斬撃を放つ。それは古賀環へと命中するが、『反射』によってその攻撃は七瀬あすみへと跳ね返される。


「きゃあ!」


「ん、気をつけろ。あの猫の能力だ」


「どうしてそっちを助けるんだにゃ!?!!それに魔法って…。あすみっち魔法が使えたにゃんか?」


「さっきからどういうつもり?私には『天使』を手伝うつもりなんて毛頭ない。その意味わからないことを並べまくる性格やめたら?」


七瀬あすみと古賀環が口論を続けていると、他の戦闘をしていた者も、戦いを中断し、七瀬あすみに意識を向ける。


「そいつと話してると頭がおかしくなる!もうやめた方がいい!これら私からのアドバイスね」


「分かってる。流石になんか意味がわかんなすぎて反論しちゃった」


『天使』が七瀬あすみにアドバイスを送る。



「あすみ…、魔法が使えたようになったんだ…。てっきり魔法が使えるって普通に嘘ついてるのかと思ってたのに」


「うん、でも、魔法が使えるとはいえ、様子がさすがにおかしい」


如月葵と浦川沙那は冷静に状況を分析する。


「あなた。何ぼーっとしてるの。シャキッとしなさい!魔法が使えるんですから、一緒に戦いましょう」


「うん!沙那と一緒に戦えるなんて私幸せ」


「沙那…どういうこと?、そいつのことを沙那だなんて呼んで」


浦川沙那は七瀬あすみに問いかける。


「どういうことも何も、そのまんまの意味だけれど?」


「はぁ?」


浦川沙那は混乱した様子を顔にうかべる。七瀬あすみと会話が成立していないことにようやく気づいたようだ。


「さぁ、やってしまいなさい。あの方たちにあなたの魔法を見せてあげると良いです!」


「うん!」


七瀬あすみが会話を切り上げ、攻撃態勢に入る。


衝撃波(ソニックブーム)!」


「な!?」「うっ!」「え!」


七瀬あすみを中心とした音速を超えた振動による風が浦川沙那達の方へと飛んでいく。しかし、これはその3人を狙った攻撃ではないようだ。

古賀環は衝撃波を跳ね返し、如月葵や浦川沙那はきちんと攻撃の弾道を見切って、何事も無かったかのように衝撃波を避けている。


ザシュッ!ジュ!バタッ!

そして、その3人の後ろにいた他のクラスメイト達は首がはね、胴が避けるなど、多種多様な形で殲滅出来ている。七瀬あすみは思わず笑みを零す。


「七瀬あすみ、お前…自分が今何やってるのか分かってるのか…?」


「分かってるも何も?自分の目の前にいる敵を倒しているだけなんだけど?どうせその後ろにいたヤツらも、『月』が催眠とかで作り上げた魔獣なんでしょ?」


「そんなわけないでしょ!!!」


「うわ、びっくりした」


浦川沙那が急に声を張り上げる。強い勢いで急に否定されたためか、七瀬あすみも若干驚いた様相を隠せない。


「あすみ…いい加減にしなさい!私が…私が助ける!」


「へぇ、『太陽』と戦った後は次に『月』と戦えるのか。『太陽』は私がトドメを差したようなもんだし、楽しみ」


自分が魔法を使うということが楽しくなってきたのだろうか。七瀬あすみは積極的な交戦体勢を示している。


「たぁぁぁ!!」


爆音波(ソプラノボイス)!」


「くっ!」


七瀬あすみが口から発した爆音波(ソプラノボイス)が浦川沙那の体に命中する。


「どうしたの〜?お得意の催眠は使ってこないんですか〜?」


「……っ!」


七瀬あすみが挑発をすると、浦川沙那が再び攻撃を仕掛ける。


衝撃波(ソニックブーム)


「いやぁ!」


「だーかーら、そういうの、馬鹿の一つ覚えって言うんだよ。なんでさっきから牛みたいに突っ込んでくるだけなのさ!」


「私には…………」


「あ?」


「私には………あなたを殺せない」


「は?…どういうことだって…、同情でも誘おうって話?でもそれなら有り難いよ。私は沙那をあんな酷い目に合わせたような『月』──お前に一切同情も容赦もするつもりはない。覚悟しな!」


「!」


七瀬あすみは立ち尽くしている浦川沙那の腹部に強烈な打撃を加える。しかし、浦川沙那にダメージは無い。『透過』によって、七瀬あすみの腕は浦川沙那の体を貫通している。


「あすみ…」


「!?なんでお前私の名前を……。って自己紹介はさっきしたか…。」


「あすみは……何故……戦うの?」


浦川沙那は涙を流している。


「そんなの決まってる」


「約束したんだ。沙那の前から、私は絶対に居なくなったりしないって!!!」


「ふっ……」


浦川沙那は笑った。浦川沙那は戦意を失っていく。

七瀬あすみは腕に精一杯の魔力を込めた。


超音波破壊(オーバードライブ)!!!!」


浦川沙那の内臓を七瀬あすみの腕から発される超音波で破壊する。心臓、肝臓、膵臓、胃、脳、全てをだ。浦川沙那は体の形を保てなくなり、皮膚と血液が充満した半液体へと形を変える。そう、彼女は七瀬あすみにやられる時までも、笑っていた。


「あぁ!!!」「嘘でしょ!!!!!!」


如月葵と古賀環が浦川沙那───いや、かつて浦川沙那だったものへと駆け寄る。


「七瀬あすみ!こんなことして許されると思ってるのか!!」


「別にあんたに許してもらう必要なんてない。私は私の正義に従っているだけ」


「そんな………こんなことって!」


「あすみ。じゃあ一旦帰ろうか」


「ん?いいの?」


ルナが七瀬あすみに声をかける。


「もうあいつらには戦う意思がないよ。無闇に戦う必要は無い。さぁ、戻ろう」


「ん〜、確かに。じゃあ帰ろっか」


「ん、こっちも、フレアが目覚めた。一緒に帰ろう」


「よーし、どうせひとりで帰れるから置いて帰ってもいいと思ってたけどね〜笑」


七瀬あすみは戦いが終わり、肩を下ろす。後ろでは古賀環と如月葵が七瀬あすみのことを鬼のような形相で睨みつけている。


「じゃあね。また会えたら」


七瀬あすみは軽く2人に挨拶して、ルナたちの後をつける。もうみんな向こう側に行ってしまってるみたい。ルナだけが、私を待ってくれていた。


「さぁ、一緒に帰ろう。フィニィ」


「うん」


✦︎


 目の前に1人の少女が立っている。

 片手でぬいぐるみを背負い、ボロボロの衣服を着ながらその目には軽く涙を浮かべている。年齢は3歳くらいだと思う。


「あなたは…?」


 その様子に私は思わず声をかける。誰だって目の前にこんないたいけな少女が居たら放っておけないはずだよ。


「私は…私は…………」


「そんな所で何してるのー?もう帰るわよー」


「は、はーい!」


 後ろから私を呼ぶ声がする。


「あ、あの!」


「!」


泣いている少女が呼び止めてきた。手に抱いているぬいぐるみを強く抱きしめ、綿が飛び出てしまうのでは無いかというほど、形は変形している。


「さな……」


「え?」


「さなって……言います……」


「さな?良い名前だね。そんなに泣いてどうしたの?」


「ママが…」


「ママ?」


「ママとパパが……居なくなっちゃった……ひっぐ…ぐっ……」


「そっか……」


迷子……かな?


「ほら!一緒に遊ぼ!このシャベルは凄いんだよ〜なんでも作れるの!」


「え……」


「いいから!一緒に遊ぼ!私たちもう友達でしょ?泣いてばっかりじゃ楽しくないよ」


「でも……」


「さな」


「!」


「私は居なくなったりしないよ」


「!!」


「ほら、だから安心して。遊ぼうよ〜!ねぇお母さんもうちょっと遊んでもいい〜?」


「あの!」


「どしたの?」


「あなたのお、お名前は…」


「あぁごめんごめん。私はあすみ。七瀬あすみって言うの。これからよろしくね!」

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