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魔法少女学園  作者: 弟子
2章
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2章幕間2

「ポテチうめぇ〜、やっぱ研究が上手くいかない時はポテチとコーラだよな〜。あっ、ポテチ切れた。おい向後〜、ポテチ買ってこいよ」


「お言葉ですが、支部長」


「なんだ」


「最近堕落しすぎでは無いですか?昔とは見る影もないですよ」


 私の部下の向後が、私の机を見ながら話しかけてくる。

 いやまぁ確かに私の机は今食べかすやらお菓子や清涼飲料水のゴミとかで溢れかえっているが。


「だってもう絶対研究上手くいかないもんこれさぁーー。時間が経てば経つほど無理ゲーになるんだって!!あぁそうだ酒買ってこいよ!」


「はぁ……。一体なんの研究をしてるのか教えてくれないため知りませんが……。まぁいいです。言うことを聞いてあげますよ」


 向後が背後の扉から出ていく。よーし、パシリ成功だ。


「ほんじゃ、テレビでも見ますかね〜。今なんのアニメやってたっけかなぁ〜」


 私は机の上に付属されている小型のテレビを起動する。すると、最初の画面にはニュース番組が映り、速報で矢野輔が生放送で会見をしている様子が映し出された。


「あ、ジジイ。会見なんて開いてなにしてんだか。ってか、ここ社長室じゃん」


 社長室には1度入ったことがある。あの出来事……、姫野愛莉が国魔連に襲撃をかけて来た時の後だ。あの後、矢野輔の目論見を図るために社長室に押しかけたのだが、物の見事にあしらわれてしまった。


「ったく、どうせしょうもないことで会見して……」


「この度、我々国魔連は魔法少女を完全に隔離することを義務付けることに致しました」


「……は?」


 ポテチの袋を口に付け、カスをがぶ飲みしている手が止まる。今、魔法少女を隔離……っつったか?


「遂に……遂にこの時がやって参りました!2090年にして、我が党の公約の実現。魔法少女の無効化!これほどに国民の皆さんが待ち望んだことは無いでしょう!!」


「ち、ちょっと待てよ!魔法少女の隔離ってお前…だって…」


 この国では記録が正しければ、2062年以降、7歳になった少女たちは魔法の発現を義務化されているはずだ。私も実際、遺伝的には魔法が発現していなかったが、無理やり魔力を適合させてもらった側の人間。てことは単純計算だ…。35歳以下の全女性は魔法少女ってことになる。そいつらを全員隔離って……。おいおい、少子高齢化の影響はこんな所にまで出てるのかよ。


「この国の内陸部に大型なシェルターを作成いたしました。魔法少女はここに隔離され、出る事は一切許されません。管理は我々国魔連に一任させて頂きます。これで、シェルターの外側の人間は晴れて、魔法のない平和な生活を得られることでしょう」


「やべぇ、なんだこれは!こうしちゃいられない!」


 私は研究室を飛び出して、急いで社長室へと向かう。社長室はここから階段を20階分登った先だ。かなり苦しいが、エレベーターを使う権限を私は持っていない。


 魔法少女の無力化だと…?度々そんなことは言っていたような気がするが、まさかここまで政策が進んでいたとは思わなかった。それに、私達はどうなる?我々研究者だって一応魔法少女だ。私達まで隔離なんて言われたらたまったもんじゃないぞ!


「はぁ…はぁ…着いた!」


 高層にある社長室へと着く。私は鍵のかかっている扉を4次元空間からすり抜け、社長室の中へと姿を現す。


「おい!矢野!これは一体どういうことだ!」


「おやおや、今は会見中ですよ。1研究者風情が口を挟まないでほしいものですが」


「うるせぇ!!」


 私は間髪入れずに矢野へ近づき、握りこぶしを顔面に入れる…が、全く手応えがなく、なんならその勢いのまま私は床に倒れ込む。まるで…、いや比喩でもなんでもなく、私は今矢野の体をすり抜けたような…。


「『透過』による物理攻撃の完全な無効化。この魔法も素晴らしい」


「!?」


『透過』…だと?またこいつ新しい魔法を…。


「だが、良いのか?お前が魔法を使っているってことが今全世界に生放送されてるが」


「ふふ、お気遣い感謝します。しかし、それだけ研究室に籠っていると、世間の常識や風潮に取り残されているようで可哀想ですね」


「…何が言いたい」


「私、矢野輔の公約はこうです。魔法少女による魔力被害の鎮静。そのために全ての魔法を私が『回収』するということ。私が『回収』の魔法の持ち主であること。また、その魔法の特殊性故、魔力の崩壊の原因たり得ないこと。全て国民には周知済みですよ」


「全ての魔法……?はっ。お前何言ってるんだ?魔法なんて少女の数だけ存在している。全ての魔法を『回収』だなんて到底無理な話だ」


「はぁ…。あなたの仰っている意味がよく分かりません。」


「なんだと…?」


「だから、そのための魔法少女の隔離じゃないですか。魔法少女を隔離してしまえば、新たな魔法少女が生まれることは無い。よって。新たな魔法が生まれることもない。そうすれば、隔離された魔法少女が全員死ぬ頃、私は全ての魔法を『回収』出来たことになる」


 なるほど…。確かに道理は叶っている。だが、それには致命的な1点が存在しているはずだ。


「おかしいな。何故魔法少女が全員死ぬ頃、お前が生きていることが前提として考えられている?矢野──お前の年齢は私も詳しくは聞いたことないが、今はマジックリングで若く見えているとはいえ、少なくとも、70、いや80は行っているはずだ。そんな人間が隔離された魔法少女が死ぬまで生きていられるとでも?」


「なるほど。そういうことでしたか。その点についてはご心配しないで頂きたい」


「どういうことだ」


 寿命を伸ばす魔法を獲得している…?とはいえ、寿命を伸ばす魔法といえど、限度があるはずだ。『無限』なんてことはありえない。


「はぁ…。何でもかんでも教えて貰えるとは思わないでいただきたいですね。お話はここまでです。私はこれから仕事があるのでね。会見も終わらせてください」


「お、おい!待て!まだ話が…」


「そうだ。良いことを思いつきました。魔法少女隔離施設管理人長。やってしまいなさい」


「管理人長だと……っ!?」


 管理人長という知らない人間が呼び出されたため、足音がする後ろ側を警戒して振り返る。が、そこには見知った顔が立っていた。


「姫野……!?なぜお前がここに!」


「先生、ごめんね。眠れ」


「くっ!」


 姫野の魔法が行使された。自分では制御しきれない睡魔が体を襲う。まるで、全身麻酔をかけられた時のようだ。意識が…途切れる……!くっ…!


 ✦︎


「よくやった。姫野。褒めて遣わす。それじゃあそいつを研究室に戻しておけ」


「分かりました」


 姫野愛莉は百鬼つばめを抱えて立ち上がる。


「くれぐれも、余計な真似はするなよ。お前には常に見張りがついている。有事以外の時にはお前には必ず我々が新しく完全した、魔力無効薬を適宜注射してもらう。効力は約1日って所だが、1日2回は打つようにしておけ。それでは消えろ」


「かしこまりました」


 姫野愛莉は自分で自分の首に注射を打ち、そのまま社長室を去って、研究室に向かっていった。


「………チッ!」


 その顔は唇をかみしめており、穏やかな様子では無かったが……。



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