1章XI 『光線』
プリ撮るぞ〜人生初プリクラだ〜。 なんか綺麗な大人の女性が側面にプリントされてる箱が10個くらい陳列してる。なにこれ怖い…近くでは女子高生が写真をチョキチョキしている。怖い…。
「凄い…めっちゃキラキラしてる。どの機械で撮るのが1番いいの?」
「ん〜分かんない。私もプリなんで全然撮らないしね」
はい知識全滅。まぁどれも一緒でしょってことで一番手前のやつに入って撮ることにした。
お金を入れると、機械が自動でカメラを動かし、私たちは指示通りに体を配置する。ふむふむ。横に並んでとったり、あとは遠近を活かしたトリックアート的な写真も撮れるのか。そして指でハートを作ったり、抱き合ったり…??
「ちょっと待って?愛莉。これもしかしてこの機械カップル用だったりしない!?」
さすがに抱き合ったりするのってカップル専用モードとか、何かしらそういうのが入ってるとしか思えない。
「ん〜。そうかもね。紗夜ちんはやだ?嫌なら全然別のところに移動するけど…」
「いやまぁ…お金もったいないし…。じゃあいいかな…」
そう。お金がもったいないしね。プリって1回500円くらい取られるんだ。とんだぼったくりである。うん。だから仕方ない。
そう心にいいきかせ、私は愛莉と体を抱き合わせる。愛莉の体温が直に伝わってくる。ちょっと体温が高いのかな。ちょっといい匂いする。というか大丈夫かな?私臭くない…?今日何色の下着つけてきたっけ。って今それは関係ないか。
「はぁ…なんか写真を撮ってるだけなのにどっと疲れた…」
「終わったね〜。外で写真受け取れるけど、なんか落書きとかする?」
なるほどこういうシステムなのか。箱の外に出ると、モニターに撮った写真がデジタルで表示され、なにかペンとかで落書きができるようになっている。デフォルトで顔が可愛くなる加工が施されている。
……目でか。普通の人ならここに猫耳とかそういうのを書いてデコレーションするんだろう。まぁでも…
「うーん。2人で撮った大事な写真だし、このままでいいかな」
「そうだね〜。私もそう思う〜」
こうして私たち2人は写真を現像した。これは大事に飾っておこう。帰りに額縁でも買おうかな。プリクラって飾る時は何を使って飾ればいいんですか?教えて偉い人。
「ほんじゃ、本命の服を買いに行きますか〜」
「完全に忘れてたわ。指導お願いします」
そういえば、ここに来た目的は服を買うことだった。正直今来てる小学生時代の服で全然いいんだけど。って気になってきた。なんてったって面倒くさい。服とかあんまよく分かんないし。
「いや〜腕がなるな〜。紗夜ちんは大人しい系だからね〜。大人っぽい服装が似合うと思うんだよ〜」
大人っぽい服装か。パッと思いつかないのだけれど。どんなものがあるんだろう。と考えていると愛莉が見繕った服を持ってきた…?にっこにこの笑顔である。あれ何着ある…?
「よーし。とりあえず10着見繕ってきたからこれ全部着てみて〜」
「10着!?ちょ多いって。勘弁してください」
10着なんて私が持っている全ての服よりも多い。3着あれば人間は服って着回せるんだよ。
「ダメダメ〜やっぱり服なんて実際着てみないと分からないんだから、試着しなさい!」
仕方ないので言われるがままに服を着る。デニムと合わせたカッコイイ系に、白のワンピースで清楚系、ゴスロリっぽい服もある。こいつ私を着せ替え人形みたいにして遊んでないか?
「うんうん〜どれも可愛いね〜」
「それで?結局どれが一番マシそう?」
「え〜。正直どれも全部可愛かったからな〜。紗夜ちんが自分で選びなよ〜。こっち向いて〜」
言いながら愛莉のスマホは私に向いて、パシャパシャと音を立てている。写真を撮るな写真を。
ほんで、それじゃあ愛莉を呼んできた意味がなかろう。自分で選ぶのか…遊園地ってことは動きやすい服装の方がいいんだろうか…。でもな〜。
「1番気に入ったのはこのシンプルな白のワンピースなんだけど、遊園地行くための服ってことはもうちょっと動きやすい服の方がいいのかな…?」
「よし!じゃあそれにしよう〜。店員さん〜」
愛莉が急に店員を呼び出す。待って服屋の店員って店員の中でもカースト上位に来るやばい奴らなんじゃ…。
「ちょ!ちょっと待ってよ。まだこれに確定したという訳じゃ…」
「大丈夫大丈夫〜。スカート部分の捲れが心配ならデニムを下に履いて合わせればいいし、なんなら同じ色とテイストのキャミワンピースも買っておこう。そうすれば紗夜ちんの要望ピッタリだもんね〜。服なんてのは自分が最初の直感で選んだものを選ぶのが1番正解なんだよ〜」
愛莉に早口でまくし立てられる。
そういうものなのか。なんか言われるがままに服を買ってるけど、騙されてたりしない…?
こうして買い物が終わった。意外と服って少量でも重いな。世の彼氏持ちが荷物持ちを雇うのも気持ちが分かる。紙袋とかいうのだと心もとないし、なんか途中で底が抜けそう。
「今日は楽しかったよ〜。じゃあまた明後日の遊園地でね〜」
「うん、!また今度」
長ーい買い物が終わった。あ、そういえば指輪を買ったの忘れてたな、なんなら今日あげちゃっても良かったんだけど。やっぱり誕生日にあげることにしようかな…。




