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冒険者

グロバディア王国で活動をする冒険者達は、四つの等級で分けられている。

それぞれの等級は金属の希少性によって表される。


銅級…新米冒険者程度、街のゴミ拾いや、低レベルの魔物の討伐など、比較的軽い依頼を受ける。


銀級…冒険者集団のリーダー格程度、技術と経験、実力を要求される。

大抵の人間はここで頭打ちとなる。


金級…一部の才能を持った人間が努力して成りうる到達点。

十年に一度現れる程度の稀な存在。

八年前の魔王軍の討伐にも多くの金級冒険者が貢献している。


白金級…絶対的強者、英雄。

百年に一度現れるか現れないかの極めて稀な才能を持った者が成りうる等級。

その影響力は凄まじく、一国の方針の決定権すら持つことがある。

全人類を滅ぼせる程の力を持つ存在。


ササキと名乗る騎士風の男は、小さなバッジをテイルに見せる。

それは国が運営する公的機関に冒険者と認められた証である。

ササキのバッジに使用されている金属は『銅』だった。


「銅級…本当に冒険者だったのか。」


ササキはバッジをしまう。


「あぁ、最近冒険者始めたばっかり。」


相手を警戒しながらも一応話は聞くテイル。

その話の中で、頭にある疑問が浮かぶ。

それを口にする。


「お前みたいに強いヤツでも銅級止まりなのか。」


その疑問に対し、ササキは困り顔で答える。


「そうなんだよ、ぶっちゃけ俺、超強い、この国の誰にも負けない自信がある。」


「だけど強いだけじゃダメみたいで、誰かと一緒にチームプレイをした経験がなきゃ、銀級には上がれないみたいでさ。」


こまり顔から再びにこやかになるササキ。

そしてテイルの方を指さす。


「そこで、お前みたいな見込みありそうなヤツを冒険者として俺のパーティにスカウトしてるってワケ!さっきの戦いはそのテスト、どう、納得?」


テイルは思考を巡らせる。

少なくとも銀級上位クラスの実力がありそうな冒険者が、なぜ自分のような才能のない存在をスカウトしようとするのか。

何か裏があるに違いない。

だが、テイルは頭がいい方ではなかった。

言葉での探り合いを面倒がったテイルは、簡潔な質問を選択する。


「…なんで俺だ?俺のこと知らない訳じゃないだろ。」


「え?何?お前有名人なの?」


テイルは自分のことを知らない人間との遭遇に少し驚く。

この国では英雄同士の間に生まれた凡夫として、テイルを知らぬ者はいなかったからだ。

だが、ササキが冒険者になる為に他国から来た人間だと考えた場合、合点がいく。


「…俺はハーフエルフだけど、魔法が得意じゃない、それに、近接戦闘もできない、俺みたいなヤツは冒険者なんて向いてない。」


「それに、この国じゃ俺は出来損ないで有名だ、俺みたいなヤツを連れてったら、お前のパーティの評価が下がるぞ…」


その言葉を聞いたササキは、軽薄な笑みを浮かべながら言う。


「ハハッ、心配すんな、足手まといが3人くらい居ても大丈夫なくらい俺は強いから。」


遠回しに自身をバカにする発言に怒るテイル。


「な、なんだお前!俺をバカにしてんのか!」


ササキは変顔をしながらテイルの前で奇妙な踊りを披露する。


「あぁしてるとも!悔しかったら俺より強くなってみな〜!」


「テメェッ…!」


殴りかかろうとするテイル。

その攻撃をひらりと躱し、ササキは逃げていく。

快晴の空を背に、水溜まりを踏みながら、二人は街中を走り回る。

テイルにとっては幼少期以来の人とのコミュニケーションだった。

そして、いつの日以来だろうか。

テイル顔に、笑顔が浮かんでいた。


去っていく二人を、怒りの目で見つめる者達がいた。

テイルに倒された魔神教の教徒達だ。

一人が立ち上がる。


「クソガキが…!痛い目に遭わせてやる…!」


すると、もう一人も立ち上がり、何やら奇妙な魔道具を操作する。


「ボスに連絡だ!」

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