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出発

ガナジャ村。

グロバディア王国の辺境にあるこの村に、国の調査団が送られることになった。

その理由は、銀級冒険者ササキ・アキラが提出した報告書にあった。

報告書に目を通したギルドは、ギルド直轄の調査部隊を例のガナジャ村へと派遣した。

その結果、ゴブリンの襲撃と村人の失踪に【魔神教】が関わっていることが発覚したのだ。


そのため、ギルドはこの一件を国へと報告。

国は早急に調査団を結成し、村に残っているであろう魔神教の痕跡を調べることとなった。

調査団には国の兵士のみならず、選抜された優秀な冒険者達も加えられる。

選ばれた冒険者は五人。


金級【金剛鉄人】

王国に五人しかいない金級冒険者の一人。

常に魔法金属の奇妙な鎧に身を包んでおり、素顔を知るものは限られている。


銀級【雷鳴の狙撃手】

雷魔法を得意とする上級魔法使い。

十六歳という若さにして、既に金級の実力があると噂されている。


銀級【我狼】

狼の獣人と人間のハーフ。

獣人の身体能力を有しており、本来獣人が得意としない魔法の才能もある。


銀級【超速】

王国では珍しい固有能力(スキル)の保持者。

固有能力(スキル)による超高速の体術により敵を殲滅する。

ササキの事である。


銅級【テイル・フロンティア】

最近冒険者になりたてのハーフエルフ。

中級魔法をある程度使用でき、弓の才能が少しある。


夜、ササキの家。

テイルは自らが調査団に加えられたことをササキから聞き、驚く。


「はぁ!?なんで俺が調査団に!?」


「俺が国に直談判して頼んどいたの、メンバーはここに書いてあるから、仲良く調査に行こうね。」


ササキに紙を渡されるテイル。

そこには、今回招集されるメンバーが書いてあった。


「オイオイ、完全に場違いだろ…俺…」


記されていたメンバーは皆、ギルドからその功績を認められ《二つ名》を与えられた猛者ばかりだった。

自分の知らぬ間にササキに二つ名が与えられていたことに気がつくテイル。


「ササキには二つ名があるのに、俺はまだ何もない…情けないな。」


ササキがテイルの肩に手を置く。


「ま、そんなに気にすんな、ゆっくり確実にレベルアップしていこうぜ?」


「お前に言われると煽られてるような気がする!」


腕を組み、胸を張るテイル。


「だが、見てろよササキ!俺はすぐにでもお前に追いつく冒険者になってやるからな!」


ササキは笑みをこぼす。


「そりゃ楽しみだ。」


「笑うな!」


二人はくだらない会話をして、悪友のように笑い合う。

そして時は過ぎてゆく。


「調査団の出発は明日の早朝だ、寝坊したらいけない、もう寝とこうぜ。」


こうして二人は床に就く。

ササキの家は豪邸であり、部屋がいくつもあった。

テイルは与えられた自室でベッドに入っていたが、どうも寝付けなかった。

目を閉じると鮮明に浮かぶ光景。


ゴブリンと戦った時も、大ウサギを討伐した時も、魔神教の幹部に襲われた時も…

いつも、己は無力であった。


そして、自分を嘲笑する人々の眼差しを思い出す。

ササキが名を上げていく中、自分はいつまでも銅級のまま。


「クソッ…俺はいつまでもこのままなのかよ

…」


焦りと悔しさで、よく眠れなかった。


…翌日。

テイルとササキは調査団の集合場所へ向かう。

そこには、鎧に身を包んだ王国の兵士が三人と、例の冒険者達がいた。

その中に二つ、見覚えのある人影があった。

その人影もテイル達に気がついたようで、声をあげる。


「なっ!なんでお前らがここにいるんだよ!」


人影の正体はクレアとティアだった。

彼女らの存在に気がついたテイルもまた驚く。


「お、お前らこそなんでいるんだよ!?」


「アタシらは呼ばれたんだよ、冒険者【雷鳴の狙撃手】と【我狼】としてな。」


なんと、雷鳴の狙撃手の正体はクレアであり、我狼の正体はティアであった。

ティアがモジモジしながら、テイルの方をチラチラみる。

そして口を開く。


「ど、どうも…」


テイルは咄嗟に挨拶を返す。


「あ、ど、どうも…」


ティアは人とコミュニケーションを取るのが得意ではないようだ。

挨拶をしてから、何も話題を振ってこない。

テイルも知り合いとはよく話せるタイプだが、どちらかと言うと人見知りなので、特に会話が発展しない。

二人の間に気まずい沈黙が訪れる。

その沈黙を、ササキが破壊する。


「いやー、俺達も呼ばれてきたのよ、ほら。」


ササキはクレアに紙を見せる。

それは今回招集された冒険者達の名が記されている名簿だった。

この名簿は今回同伴する全ての人間に配られている。


「はぁ!?アタシこんなの知らねーぞ!?」


「ク、クレアちゃん…私、クレアちゃんに事前に確認してねって、名簿…渡したよね…」


クレアはティアから名簿を渡されたが、面倒くさがって見なかった。

そして、そのまま存在を忘れていたのだ。


「渡したか!?」


「渡したよぉ…」


二人がコントのような会話をしていると、王国の兵士がこの場にいる全員に向けて声をあげる。


「これでメンバーは全員揃ったな!これよりガナジャ村へ遠征に向かう!皆、準備はいいか!」


今までずっと黙っていた人物、金剛鉄人が声を発する。


『あぁ、問題ない。』


その声は、どこか無機質なモノだった。

続いてササキが準備完了の意を示す。

同じくテイルも。


「クソ!もうどうにでもなれ!」


半分ヤケクソで、クレアも準備完了の合図をする。

それをなだめつつ、ティアも合図をする。

こうして、五人は同じ馬車に乗り、魔神教の痕跡を追うためガナジャ村へと向かった。

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