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5/16(木) <始まり>

今日は学校に行くと、下駄箱に手紙が入っていた。

昼休みに図書室に来てほしいという。

最後に『佐々木』と名前が書かれていた。

やっぱりバレていた。

女の子に呼び出されるなんて初めてだし、何をされるか分からず僕は怖くてビクビクしていた。


図書室の端の、誰も来ないような棚の陰。

僕と佐々木さんのふたりきり。

「私のことそんなに好きなの?」と佐々木さんに言われたから、僕は観念して「初恋だ」と答えた。

すると佐々木さんは「実は私も君のこと、昔から気になってた」と言った。

「それって、好きって事?」ときいたら、彼女は顔を赤くしてコクンとうなずいた。


今日、僕に、カノジョが出来た。

戦争に突入して3日目。

うまく行けば今日じゅうに終戦のはずだ。

千里眼で見てみると、第三の壁は突破できて、第四の壁も壊れ始めている様子だった。

第三の壁は大穴があいて崩れ落ち、敵兵の死体が転がっていた。

激しい戦闘だったのがよく分かる。


僕の国の軍の主力部隊が休憩を終え、第四の壁に向け進軍していたのが見えた。

僕は主力部隊の上空にワープした。

僕の事に気づいた兵たちが、うおおぉぉっと雄叫びをあげる。


「あと一息だ! 僕は何も出来ないが、みんななら出来る!」


僕が鼓舞すると、兵たちのやる気がぐっと上昇した。


第四の壁は既にボロボロだ。

兵たちは複数人の風魔法と炎魔法を混ぜ合わせ、巨大な炎の玉にして壁にぶつけていた。

レンガで出来た壁がガラガラという音をたててめくれる。

それでも壁の表面が剥ぎ取られるくらいで、壁はまだ崩れない。

大ワザを使った魔法使いが少し下がり、MP量の多い魔法使いからMPを分けてもらう。

その間に他の部隊がドラゴンや騎馬兵に対処する。

魔法部隊にMPが補充され、また大ワザを壁にぶつけた。

するとついに第四の壁に魔法が貫通し、壁は轟音をたてながら崩壊していった。


「やったぞ! 全軍、進め!」


ソルアが大声で叫んだ。

敵の城へ攻めていく。

ここでついに、帝国軍が白旗を高くあげた。

戦争が終わったのだ。


「勝鬨をあげろぉ!」

「真の神の勝利だあ!」


みんなが思いおもいに叫ぶ。


「神様ぁ、見てましたか! 勝ちました!」


ニャオが僕に向かって声をあげた。

集中が切れたのかニャオがその場に倒れそうになったので、体を掴んで支えてあげた。


「ニャオもお疲れ。これで僕たちの国に平和が訪れるんだよ」


僕はニャオのネコ耳をなでてあげた。


しばらくして、城へ攻め込んだ人たちがぞろぞろと出てきた。

なんだか浮かない顔をしている。


「皇帝を引きずり出すはずが、どこにも見あたらないんです。逃げられた、と考えるべきですかね」


ため息混じりでヴィダが言った。


「逃げられたらどうなるの?」

「タッセ以外の街を首都にして、報復にここに攻めてくるでしょう。まだまだ戦争は続きます」

「そうか……」

「ああそうそう、神様に確認したいことがあります」

「確認?」

「事前に聞いておけばよかったのですが……これからこの国を帝国にするか共和国にするか、どちらが良いでしょう」

「どう違うの?」

「あなたを皇帝としたゼディロ帝国とするか、我々庶民が政治の中心となるゼディロ共和国にするか、という違いです」

「僕が皇帝? いやいや無理だよ。共和国にしたら良いよ」

「承りました、そのように致します。さぁこれからが大変だ。政治が始まるぞぉ!」


ヴィダは元気を取り戻し、意気揚々と城へ戻っていった。

これからこの街を中心にゼディロの時代が、ゼディロ共和国の歴史が始まるのだろう。

街を吸収したので資源不足に困る事もないし、敵軍が来ても迎え撃つ軍事力も手に入れた。

僕の国は、もう僕が居なくてもやっていけそうだ――

こっちの世界ではカノジョが出来た。

あっちの世界では戦争に勝利出来た。

5月16日、今日は最高の記念日だ。

幸せな気持ちの中、僕は眠りについた。

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