5/17(金) <再会>
今日も昼休みに、佐々木さんと図書室の端で待ち合わせた。
さっそく明日、ふたりでデートに行こうと僕は提案した。
佐々木さんも賛成してくれた。
駅で待ち合わせて、繁華街をふたりでブラブラ歩くことにした。
ふたりで映画を見たり、喫茶店で『なろう』について語ったりしよう、と決めた。
別れ際に僕は勇気を出して、佐々木さんの口にキスをした。
佐々木さんに「コラッ、学校だぞ」と言われた。
こちらの世界は今日も静かだった。
みんなはタッセの方にいるんだろう。
僕もタッセに行こうと思い立ち上がった瞬間、後ろからドンッと押された。
振り向くと、タラスが居た。
「タラス、なんで君が生きてる……」
そう言おうと思ったら、口の中に血のような味が広がった。
僕の口から血がゲボッと出てきた。
血……なぜ?
遅れて僕の胸から鋭い痛みがした。
よく見るとタラスが血の付いたナイフを持っていた。
タラスに後ろから心臓を刺されたのか!?
「治れ、治れ僕の心臓……」
痛みに堪えながら心臓を治す。
「チッ、失敗か……」
「待てっ!」
タラスは舌打ちし僕の前から去ろうとしたので、心臓を治しながら僕は出入り口に飛び、タラスの逃走を阻止する。
「僕の質問に答えてもらおうか」
タラスとしばらく睨み合うと、タラスは観念して石の椅子に座った。
タラスは腕を組み、高圧的な態度で僕を睨む。
「まず言っておこう。この村にはもう君は不要だ。だから私は責任を持って君を除きたい。それが私の行動理念全てだ」
「じゃあ最初の質問。なんで生きてるの? 僕が殺したはずなのに」
「村が帝国軍に襲われた後、気がついたら私はタッセで治療されていた。君に教えていない私の直属の部下が、死にかけの私をタッセまで運んだのだ。
その後、君がタッセを襲った時に死に、その後タッセと共に復活した。
君はおそらく、この村を復活させる時にゼロから私を作り直したのだろう。
本当はこの村を潰させた時に、贖罪として君と死ぬつもりだったんだがな、私の計画はいつも上手くいかない」
「村を潰させた? まるでタラスが村を潰したみたいな言い方だね」
「そうだが? 私の部下はスパイでね。君の居ない時に攻めるよう帝国軍に情報を流させた」
ドクッと僕の中に怒りの感情が湧いた。
僕はタラスの胸ぐらを掴み上げた。
「お前か! お前のせいか!」
「また感情で私を殺すのか? 一度私を殺して後悔したのだろ」
タラスを殺すつもりで僕は手を振り上げたが、タラスの一言で気持ちが揺らいだ。
迷っていたらタラスが自分語りを始めた。
「もともとクーデターを計画したのが私と部下と友の三人でね。皇帝に不信感を感じてたんだ。
失敗し逃げたが、この時には集めた人達の気持ちがバラバラになっていた。
それをまとめるカリスマが欲しくて呼んだのが君だよ。
だが、それは間違いだった。
君が村の成長を止まると私は確信し、責任として村ごと君を消すことにしたのさ。
フフ、勝手な話だろう。責任と言って自分を正当化したいだけなんだよ」
「何を、言いたい?」
「ガキを神の代わりにした私がバカだったという話さ」
「僕に殺されるよう煽ってるの?」
「その通りだ。私を罰しろ。私を殺せ。そしてまた後悔するんだ。それが君の成長に必要だ」
僕はまだ自問自答していた。
本当にタラスを処刑していいのか、処刑すべきなのか。
そして、僕の中で一つの結論が出た。
「……いいよ、君の願いを叶えよう。僕をこの世界から除くよ――
『寝る前5分は全知全能』の最新話を確認すると、キスの話が書かれていた。
僕のファーストキスの話が全世界に公開されていると考えると、超恥ずかしくなった。
しかしおかげで、僕は決心できた。
明日、『寝る前5分は全知全能』を完結させてやる。
最終回にすれば『僕を除きたい』というタラスの願いは叶うし、僕のプライベートが公開されることも無くなる。
何があっても、明日を最終回にしなくちゃならない。
そのための算段は、既についている。




